江東区では、千石三丁目と豊洲五丁目で、住宅地のすぐそばに大規模データセンターを建てる計画が進んでいます。私は2025年から区議会でこの問題を取り上げてきました。そのすべてを、時系列でまとめています。
最終更新:2026年11月1日
いまの状況
- 千石三丁目:2026年8月に着工。隣接する3マンション(662世帯、約1,500人)が影響を受けます。地元の連絡協議会で、事業者との協議が続いています。
- 豊洲五丁目:千石とほぼ同じ規模の「(仮称)HND12」が、2027年1月に着工予定です。
- 区:2026年10月の委員会で、千石で得た知見をもとに指導要綱を見直す道筋を示しました。関連する陳情11件は継続審査です。
これまでの経緯
議会質問私の質問 ブログ報告・解説 前進区の対応が動いたところ
2024年〜2025年:計画の判明と、要綱ができるまで
住宅地のすぐそばの計画が明らかになり、区は対応方針と指導要綱をつくりました。私は要綱案の段階で、生活への影響で説明させること、報告の仕様を区が決めること、専門家を入れることを求めましたが、反映されませんでした。
- 2024年末千石三丁目の建設計画が明らかになり、住民の不安が広がる。
- 2025年3月24日区が「江東区データセンター建設対応方針」を公表。
- 2025年6月30日議会質問データセンター建設と千石のまちづくりについて新駅を契機とするまちづくりとの整合性を質問。区が計画の初期段階で、まちづくり方針に沿った機能の導入を事業者に働きかけていることを確認。
- 2025年10月8日議会質問千石データセンターと住民対話・まちづくり提案書との整合性住民と事業者の対話が機能しているか、地域のまちづくり提案書と整合するかを質問。区が主体的に調整するよう求めた。
- 2025年12月5日議会質問排熱・騒音・電磁波の報告仕様は設計されているか──データセンター指導要綱案要綱案に対し、生活影響の指標での説明、区による報告仕様の設計、専門家の関与の3点を提起。区は「基準がない」とした。
- 2025年12月15日区が「大規模データセンターに係る建築計画の早期周知に関する指導要綱」を制定(2026年2月1日施行)。
2026年1月〜3月:説明会で見えた要綱の限界
7回の説明会は噛み合わず、事業者は「区の要綱に従っている」と繰り返しました。3月の委員会で、区は住民の納得が得られていないことを認め、部長は「武器がない」と述べました。
- 2026年2月千石で住民説明会が計7回開かれる。私はそのうち4回に参加。
- 2026年2月13日ブログなぜ都心の住宅地・江東区千石で大規模データセンター計画が進められているのかAI向けではなく、大手町に近い金融・基幹系の施設であること。規制が整う前に建てる動機と、説明会が噛み合わない理由を整理。
- 2026年2月20日ブログ「準工業地域だから自己責任」「害はない」は本当か?寄せられた疑問に答えるXで寄せられた反論に答え、問題は住民の自己責任ではなく、制度が新しい施設に追いついていないことだと示した。
- 2026年2月24日ブログ江東区千石データセンター計画 ―区の要綱は誰を守っているのか事業者が「区の要綱に従っている」と繰り返し、要綱が住民ではなく事業者の盾になっている構造を指摘。
- 2026年3月10日議会質問千石三丁目データセンター計画 指導要綱の構造問題を問う所管課が7回の説明会に一度も出席していないことを確認。区は住民の納得が得られていないことを認めた。
- 2026年3月10日ブログ江東区千石データセンター ―要綱の限界を行政自身が認めた日同じ日の委員会の報告。部長が「武器がない」と述べ、要綱の限界を区自身が認めた。
- 2026年3月17日ブログ江東区がデータセンター建設のガイドラインを公表 ―その意義と限界、東京都のガイドラインの行方区の住民向けガイドライン(31ページ)を評価しつつ、事業者を動かす「武器」にはならないと指摘。同じ日に東京都の担当3局と意見交換。
2026年4月〜6月:都・業界・国が動き、区が一歩を踏み出す
都のガイドラインは「お願い」にとどまる一方、業界団体は第三者評価を明記し、国も「自治体が定めることが合理的」と表明しました。区長は本会議で区の主体的な関与を認め、自治体として全国初となる業界団体への要望書を提出しました。
- 2026年4月2日ブログ東京都がデータセンターのガイドラインを公表 ― 義務規定ゼロ、問われる江東区の独自ルール都のガイドラインは「お願いベース」にとどまり、実効性あるルールは区市町村がつくるしかないと指摘。
- 2026年5月2日ブログ江東区千石データセンター問題 ―業界・行政・住民が同じ方向を向いた今、区は動けるか業界団体のガイドラインが第三者評価や「法令順守=安全ではない」を明記。報告仕様・第三者検証・稼働後モニタリングの3点に論点が絞られた。
- 2026年5月6日ブログ江東区千石データセンター ―39年放置された「当分の間」が、新しい公害を生む前に非常用発電機12台・計35MWの排ガスに、1987年の例外規定で大気汚染防止法の基準が適用されない問題を検証。
- 2026年5月15日ブログNHKネタドリで全国放送 ―江東区千石データセンター問題と、国・専門家・業界が示した「自治体が動くしかない」という結論番組で国土交通省が「自治体が条例などで定めることが合理的」とコメント。千葉県印西市はすでに条例改正に動いている。
- 2026年6月11日議会質問前進千石データセンター計画への区の主体的関与——協定・要綱・地区計画・稼働後モニタリング本会議の一般質問。区長が「区として主体的に関与すべき範囲がある」と認め、稼働後モニタリングなどを協定に位置づけることは「望ましい」と答弁。日本データセンター協会への協力要請も表明。
- 2026年6月16日ブログ江東区千石データセンター ―区はどこまで動くのか。区長が明言した「協会への働きかけ」とは一般質問の報告。区長答弁の意味と、残った「慎重な検討」を整理。
- 2026年6月23日前進区長が日本データセンター協会に要望書を提出(自治体として全国初と報道)。6項目に「第三者による環境評価」と「稼働後の継続的な確認」が入る。
- 2026年6月25日議会質問千石データセンター計画と日本データセンター協会への要望書について要望書の実効性を質問。区は要望の内容を事業者にも直接求めるとしたが、いつまでに何を実現するかは示さなかった。
- 2026年6月25日ブログ江東区千石データセンター ―「自治体初」の要望書、その実効性をどう確保するか要望6項目のうち千石に効くのは第三者評価と稼働後の確認。それを現場に効かせるのは協会ではなく区の仕事だと指摘。
2026年7月〜:千石の着工、豊洲五丁目の計画、要綱見直しへ
千石は着工し、豊洲五丁目でも同じ規模の計画が出てきました。10月の委員会で区は、千石の知見を蓄積して要綱を見直す道筋を示しました。千石で学んだことを、次の計画で生かせるかが問われています。
- 2026年7月千石で、町会と近隣マンションの代表による連絡協議会が発足。同月27日、豊洲五丁目「(仮称)HND12」の計画標識が設置される。8月には千石で建築確認済証が交付され、工事が始まる。
- 2026年8月15日ブログ豊洲五丁目にデータセンター計画 ―なぜ江東区にDCが集まり、区の税収にはならないのか23区では固定資産税が都税のため、税収は区に入らず、負担だけが地域に残る構造を解説。
- 2026年8月18日ブログもし豊洲五丁目のデータセンター用地に250戸のマンションが建っていたら ―江東区の受益を試算するマンションなら協力金約2.8億円と毎年の区民税が入るのに、データセンターでは区の直接収入はほぼゼロ。
- 2026年10月15日ブログ江東区千石データセンター ―10月16日の委員会で、区はどんな姿勢を示すのか新たに付託された陳情3本の内容と、千石と豊洲五丁目で見えた「説明の平等」という論点。
- 2026年10月16日ブログ前進江東区千石・豊洲五丁目データセンター ―個別計画への対応と要綱改正はどうつながるのか。委員会で見えた区の道筋陳情11件は継続審査。区は要綱を「硬直的なものではない」とし、千石の協議会で得た知見を蓄積して、効果の高いものから見直す道筋を示した。
- 2026年10月22日ブログ江東区千石データセンター ―現場に寄り添うことと、要綱の見直しは表裏一体。傍聴した住民の声から知見は区が現場に関わらなければ蓄積できない。何をどう蓄積しているかを示し、体制と予算を充てるよう求めた。
論点と区への要望
何が問題なのか
- 説明が噛み合わない:住民は排熱や低周波音など暮らしへの影響を問い、事業者は「法令と要綱に適合している」と答えます。要綱が、何をどの水準で説明すべきかを定めていないためです。
- 制度が施設に追いついていない:非常用発電機12台・計35MW、A重油約120万リットルの備蓄。それでも排ガスには、1987年の例外規定で大気汚染防止法の基準が適用されません。
- 説明に不平等がある:千石でも豊洲五丁目でも、一部の住民だけが計画を早く知り、多くの住民は看板が立ってから知りました。
- 負担だけが地域に残る:23区では固定資産税が都税のため、税収は江東区にほとんど入らず、騒音・排熱・危険物の負担だけが立地地域に残ります。
区に求めていること
- 報告仕様の標準化:騒音・低周波音・排熱・排ガスを、どの条件・方法・形式で報告するかを区が定める。
- 第三者による検証:事業者の自己評価ではなく、独立した専門家が前提と結果を確かめる。
- 稼働後のモニタリング:稼働後の実測と公表、基準を超えたときの是正の手順を、あらかじめ取り決める。
- 説明の平等:誰に、いつ、何を説明し、地域全体にどう開くかをルールにする。
- 千石の知見を次に生かす:協議で見えた課題を効果の高いものから要綱に反映し、豊洲五丁目とこれからの計画に生かす。
まだ届いていないこと
- 第三者による検証は、「現時点では困難」という答弁のままです。
- 要綱を見直す時期と、どの項目から反映するのかは、まだ示されていません。
- 要望書の実効性を、いつまでに、どこまで確保するのかも示されていません。
- 協定や要綱の運用強化、地区計画の活用は、いずれも「慎重な検討」にとどまっています。
私の考え
千石の計画は、すでに工事が始まっています。ここで何を学び、どうルールにするかで、次にデータセンターの隣に住むことになる区民の不安を減らすことができます。
千石の現場で住民に寄り添うことと、これからのために要綱を見直すことは、別々のものではなく表裏一体です。区が千石でとる態度は、区民全体に対する態度でもあります。豊洲五丁目、そしてその次の計画で同じトラブルを繰り返さないために、これからも議会で、区の具体的な一歩を求めていきます。
このページは、新しい動きがあるたびに更新します。データセンターに関するすべての記事と議会質問は、分野ページでも一覧できます。