江東区千石・豊洲五丁目データセンター ―個別計画への対応と要綱改正はどうつながるのか。委員会で見えた区の道筋
この記事のポイント
- 10月16日の防災・まちづくり対策特別委員会で、データセンター関連の陳情11件が審査され、すべて継続審査となりました。
- 私の質問に対し、区は要綱について「硬直的なものではない」とし、必要に応じた見直しの検討も視野に入れると答弁。事前説明については、事業者が任意で行った事前の協議の内容も含めて説明するよう促すとしました。
- これまで要綱の見直しは「いつか」の話で、どんな条件がそろえば、どう取り組むのかが見えませんでした。今回、千石の協議会で知見を蓄積し、効果が高いものから反映していくという道筋が、これまでより具体的に示されました。 千石で得た知見を、豊洲五丁目など次の計画に生かしていくための道筋です。時期や項目は、引き続き求めていきます。
委員会の結果
前回の記事でお伝えした通り、10月16日の防災・まちづくり対策特別委員会で、千石三丁目をはじめとするデータセンター関連の陳情11件が一括で審査され、すべて継続審査となりました。
質疑の中では、東京電力の引き込み工事も含めた窓口の一元化を事業者に求めること、低周波音を測る騒音計の購入も含めて検討することが示されました。
私が聞いたこと
いま困っている千石の住民に寄り添うことが第一であることは、言うまでもありません。一方で、豊洲五丁目でも同規模の計画が出てきており、江東区では今後も同種の計画が出てくる可能性が高い。1年後の計画で、千石と同じテーマでまたトラブルになるのであれば、何も進歩していないことになります。区には、個別の計画への対応と制度の見直しの両方が求められています。
この認識のもと、3点を質問しました。
1.協議会での知見は、要綱の見直しにつながるのか
千石では連絡協議会が立ち上がり、事業者との協議が進んでいます。そこでは、住民が聞きたいことと事業者の説明がどこで噛み合わないのか、何を事前に説明しておくべきだったのかといった、次の計画に生かせる知見がたまっているはずです。これを千石の個別対応で終わらせず、要綱の見直しにつなげるべきではないかと問いました。
区は、知見を蓄積し、国や都の動向とも連携しながら、要綱は硬直的なものではないので、必要に応じて見直しを検討することも視野に入れて対応すると答えました。
2.見直しは一括か、できるものから順次か
現行の要綱には、事前説明のあり方、説明会の対象範囲、報告内容の標準化、第三者評価、稼働後のモニタリングといった課題があります。すべての知見がそろってから一括で見直すのか、今すぐ取りかかれるものから進めるのかを問いました。
区は、要綱は手段であり目的は紛争の予防なので、改正の効果が高いのであれば柔軟に対応し、改正を待たなくても丁寧な説明を促すことはできる、と答えました。
制度化が常に最善とは限らない、という考え方には一定の合理性があります。そのうえで、改正したほうがよいことが明らかになったときには、区の裁量で整備している要綱やガイドラインを改正してほしいと求めました。
3.千石と豊洲五丁目で起きた、事前説明の不平等をどう考えるか
千石では、事業者が一部の大規模マンションに、看板の設置より1年ほど前から計画を説明していました。説明会の場で、ほかの住民から「その1年の差は取り戻せない」という声が上がりました。豊洲五丁目のデータセンター計画でも、同じ声が私のもとに寄せられています。
看板の設置前の事業者の活動を区がコントロールできないことは理解しています。それでも、少なくとも説明会のスタートの時点で、事業者がいつ、誰に、どのような事前説明をしたのか、その事実を開示することは必要ではないかと問いました。
区は、事前説明の有無にかかわらず改めて丁寧に説明するよう求めており、事前に任意でどのような協議をしたのかも含めて、丁寧に説明するよう促していくと答えました。
ただし、後から説明を受けても、失われた1年は戻りません。工事は前へ前へと進んでいくからです。町会や既存の組織の枠外にいる周辺住民にもきちんと情報が届き、不平等が生じない仕組みが必要です。事前説明のあり方には、もう一歩踏み込んでほしいと求めました。
区の答弁から見えた方向性
3つの答弁を合わせると、区の方向性は次のように整理できます。
- 千石の協議会で得られる知見を蓄積し、要綱の見直しにつなげる
- すべてがそろうのを待たず、効果が高いものから柔軟に反映する
- 既存の組織の枠外にいる住民にも情報が届く仕組みを、改正を待たずに進める(事前の協議の内容の説明や、協議会の経過・結果の周知を事業者に求める)
区の歩みは確かに遅く、陳情が積み上がり続けている一因もそこにあります。区はそのことを受け止めなければなりません。
それでも、これまで「いつかはやるかもしれない」にとどまっていた要綱の見直しについて、どういう条件で、どう進めるのかが、これまでよりかなり具体的に語られました。 まだはっきりとは見えないものの、区がロードマップを意識して歩みを進めていることを確認できたと受け止めています。
残された課題
- 見直しの時期や、どの項目から反映するのかは示されていません。事前説明のあり方、説明会の対象範囲、報告内容の標準化、第三者評価、稼働後のモニタリングの順次反映を求めていきます。
- 第三者による検証は「現時点では困難」のままです。
- 事前の協議の内容を後から説明するだけでは、説明の時期の差は埋まりません。
千石の知見を、豊洲五丁目と次の計画へ
この日の委員会では、私以外の委員からも、区がもっと主体的に関わるべきだという声が相次ぎました。
最後に区長は、多くの陳情が寄せられていることを重く受け止めているとし、この問題は長期的に区として取り組んでいかなければならない課題であり、区としてできることを職員一同、知恵を絞りながら対応していくと述べました。
「長期的に取り組む」とは、どういうことか。私は、一度のルールづくりで解決するのではなく、計画ごとに得られた知見を積み重ね、そのたびに仕組みを改善していくことだと考えています。
もちろん、千石でも豊洲五丁目でも、いま計画が進んでいる現場で、区が住民に寄り添うことが最も重要であることは言うまでもありません。そのうえで、千石で得られた知見が、豊洲五丁目の計画で生きる。そして豊洲五丁目で得られた知見が、次の計画で生きる。協議会での取り組みを要綱の見直しにつなげるという今回の答弁は、まさにその積み重ねの仕組みです。区長の言う長期的な取り組みに、具体的な形を与えるものだと受け止めています。
そうした積み重ねによって、区民の生活環境を守り、データセンターとの共生のあり方を改善していく。それが、いま区に求められていることだと考えています。
現状の歩みは遅いかもしれません。それでも、一歩一歩、着実に進めていくことが大切です。この日の委員会が、その一歩につながるものになったと受け止めています。
見えてきた道筋が、具体的な要綱の見直しとして形になるよう、千石の協議の行方とあわせて、これからも注視していきます。
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