千石三丁目データセンター計画 指導要綱の構造問題を問う
目的
千石三丁目データセンター計画をめぐる住民説明会(計7回)の現場実態を踏まえ、大規模データセンターに係る建築計画の早期周知に関する指導要綱が機能しているかを検証し、要綱の構造的課題と制度の空白を質す。
質問
- 要綱の所管である建築調整課は、計7回の住民説明会に出席したか
- 昨年12月の本委員会で提言した3点(生活影響ベースの説明、報告資料の行政側設計、有識者の関与)がなぜ要綱に反映されなかったのか
- 約120万リットルの重油備蓄が住宅地に隣接して行われることへの生活環境影響評価が、法令にも要綱にも制度化されていない空白をどう認識するか
- 今後の説明会・事業者協議への所管出席、第三者専門家の関与、稼働後の継続的モニタリングと是正措置を事前に合意する仕組みの導入
- 東京都が策定中のデータセンター建設ガイドラインとの連携、区の要綱見直し
答弁
説明会への出席(建築調整課長)
建築調整課は計7回の説明会にいずれも出席していないことを認めた。中立性を保つ観点から今後も出席は考えていないが、事業者には区民の不安を受け止めた丁寧な説明・対応を引き続き求めるとした。
要綱の運用・第三者検証
具体的な基準がない中で学識経験者を区単独で入れるのは現時点では無理があるとの答弁にとどまった。環境影響評価は規模10万平米・高さ100メートル超の建物が対象であり現時点では難しいとしつつ、意見があったことは環境部署に伝えるとした。
稼働後のモニタリング
シミュレーションと稼働後の状況が変わり得ることは区も認識しており、紛争解決の中で対応窓口の設置やモニタリング結果の周知を事業者に提案するなどの対応をしていきたいと答弁した。
都ガイドラインとの連携
区の現状を東京都に共有していると答弁。都も周知の必要性やまちづくりとの整合性の重要性を認識しており、環境面や土地利用も含め都の動向を注視しながら区としても適宜対応するとした。
結果
所管が説明会に一度も出席していない事実が確認され、区は事業者の説明内容に住民の納得が得られていないことを認めた。説明期間は90日から120日に延長されており、区は理解を得る期間として事業者に丁寧な説明を求め続けるとした。私は、説明会が一巡して明らかになった問題点を踏まえ、住民の不安を解消し事業者にしっかり説明させる要綱へのアップデートが必須であると求めた。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
150:
◯中島雄太郎委員 千石三丁目データセンター計画について伺います。
本計画をめぐる住民説明会は本年2月6日、8日の通常説明会、2月12、14日の専門的説明会、2月21、22、23の、雪が降りましたので、その振替説明会と計7回開催されております。
まず、事実確認をさせてください。この7回の説明会に大規模データセンターに係る建築計画の早期周知に関する指導要綱、以下、要綱と言いますけれども、この要綱の所管である建築調整課は出席していますか、伺います。
151:
◯建築調整課長 こちらのほう建築調整課としては出席しておりません。
以上です。
152:
◯中島雄太郎委員 要綱をつくった所管が説明会に出席していないと、そして、説明会においてその要綱が機能しているのかどうか検証もしていないというのは、私はこれは極めておかしな話だと思います。
この説明会に所管が不在であることが何を引き起こしているのかということを説明会の現場から申し上げます。
説明会では事業者が「江東区の指導要綱に従って対応しています」という言葉を繰り返すわけなんですね。この言葉が出るたびに住民との対話は止まります。住民は生活影響について具体的に問いかけているんですけれども、要綱がそれをカバーしていない、その質問に答えなさい、それを説明しなさいというふうになっていないので、要するに要綱が住民の問いに応答する仕組みを持っていないんですね。ですから、事業者のほうは住民の説明に対して、それは要綱の範囲を超えるとして対応を拒むことができるわけです。つまり、本区の要綱の要求水準が低ければ低いほど、事業者にとっては住民の質問をカットする盾になってしまうわけなんですね。
この要綱の第1条には、良好な近接関係を保持し、もって地域における健全な生活環境の維持及び向上に資することを目的とすると書かれているんです。しかし、現場で起きていることはこの目的とは正反対なんです。つまり、事業者が要綱に従うことが住民との対話の遮断を正当化し、健全な生活環境の維持どころか、住民の不安を制度的に放置する根拠になってしまっているわけです。しかも、本区の所管が説明会に不在であるために、事業者による要綱の解釈が正しいか検証する主体が会場にいないわけなんですね。事業者が説明していることが要綱に沿っているのか沿っていないのかって誰も検証できないという状況が発生しているわけです。結果として要綱の解釈権が事業者に事実上独占されてしまっているわけです。
さらに深刻なのは、所管が現場を見ていない以上、私が今この本委員会において、説明会ではこういう問題が起きていますと指摘しても、区側は一次情報を持っていないということになるわけですね。つまり、これは私だけの問題ではなくて、ほかの会派の議員が質問しても同じことが起こるわけです。つまり、議会全体のチェック機能が制度的に骨抜きになっているわけです、所管が説明会に出席していないことによって。
その上でこの構造がどういう具体的な問題を引き起こしているのかを説明いたします。
私は昨年12月5日のこの建設委員会、発言番号126から130で要綱案に対して3点の問題提起をしています。第1に、住民が知りたいのは、法令適合性ではなく生活影響であること、第2に、報告資料を行政側が設計すべきであること、第3に、有識者を入れなければ実効性がないということ。
これらが結果的には要綱に反映されなかった結果、何が起きたか。報告資料を行政が設計していないから、住民側が1年前から懸念をしていた非常用発電機の騒音データが説明会の資料から丸ごと欠落しておりました。事業者が自分で説明項目を選べる以上、都合の悪いデータは出てきません、説明会には。生活影響ベースの指標がないので、住民が騒音の実態を質問しても、事業者は「法令上のデシベル基準内です」としか答えません。しかし、デシベル基準内であっても、24時間365日連続で発生する音は、いわゆる道路騒音とか工場の稼働音とは性質が根本的に異なります。そもそもデータセンターの室外機がどういう音を出すのか説明すらありません。さらにサーバー群が発する低周波騒音については、どういう音なのか、それが人体にどのような影響を及ぼすのかも全く説明されていません。しかし、要綱がこうした生活影響の観点での説明を求めていない以上、事業者は答える義務がないわけです。住民の問いと事業者の答えが永遠にかみ合わない構造になってしまっているわけです、本区の要綱によって。
第三者検証がないから、事業者が説明会で出している排熱シミュレーションの前提条件が南風2メートルのみという甘い設定でも、それを指摘する専門家も説明会にはおりません。住民が自力で問題点を発見して説明会で追及するしかないという状態になっているわけです。
加えて、説明会で最大のテーマとなっているのが非常用発電機の燃料として地下に備蓄される約120万リットルの重油であります。120万リットルというのはガソリンスタンド10か所から12か所分に相当する量であり、住民からはこの重油についての首都直下型地震の流出リスクについて繰り返し質問が出ています。自分のマンションのすぐそばにガソリンスタンド10から12個分の重油が備蓄されるってなったら、誰だって驚くし、不安に思うのは当然だと思うんですね。しかし、事業者側は、備蓄する重油に関してはコンクリートの躯体で囲っており、外部流出はしない設計とだけ繰り返すのみで、詳細なシミュレーションや想定範囲の提示は行っていません。そして、現行の要綱はこの規模の危険物備蓄が住宅地に隣接して行われることに対する生活影響への評価をそもそも求めていません。建築基準法、消防法上は適法であっても、住民の生活環境に対する影響評価という観点は、現行の建築・防災関連法令のいずれにも制度化されていないのが実態であります。
以上を踏まえて伺います。
第1に、12月5日のこの委員会で私が具体的に提言した3点がなぜ要綱に反映されなかったのか、第2に、要綱に基づく説明会が現場でどのように機能しているか所管としてどう把握し、どう評価しているか、第3に、120万リットルの重油備蓄について、これは先ほどから繰り返し申しているように、ガソリンスタンド10から12か所分に相当する量なんですけれども、これが説明会で大きなテーマとなっています。しかし、この規模の危険物備蓄が住宅地に隣接して行われることに対する生活影響への影響評価は現行の法令にも要綱にも制度化されていません。この制度の空白について所管はどう認識していますか、伺います。
153:
◯建築調整課長 基本的に事業者の、これは事業になりますので、事業者がしっかりと説明するということです。ただ、データセンター、非常に不安要素が大きいということで、我々、対応方針、あと要綱をつくって、その中でできるだけ出せる情報は出してくださいということで求めた結果が、結局、事業者としてできる限り丁寧に説明したものだというふうには考えておるところでございます。ただ、その内容が住民の方に御納得いただけていないというのも当然認識しておるところでございます。
あと、区としての把握でございますが、基本的に30日以内に、標識を設置してから30日以内に区として説明会の報告書というのを受け取っていまして、今、中島委員がおっしゃられた住民の方の不安、本当に私も、その報告書だけじゃなくて区長への手紙だとか、当然電話、窓口、これまでの対面でお話ししたこととかでかなり住民の方の不安というのはつかんでいます。つかんでいるからこそ、そういう対応方針なり要綱をつくって、しっかり説明してもらったと。
あともう一つ重要な点なんですけど、説明はまだ終わっていません。今回90日を120日に延ばしたことで、そういう説明、まず、一通りしっかり計画の周知をしてくださいと、30日で。残り少なくとも90日は、延ばしたことで理解を得る期間、なるべく理解を得る期間ということで確保していますので、これからまさに今おっしゃられたような、例えば、消防法には合致しているけども、その周りの環境はどう考えているのかとか、あと、非常用発電機、例えば、煤煙だとか、音だとか、そういったことに対しての、法律的な規制はないわけなんですけども、事業者としてどんな工夫をしたのかとか、あと、シミュレーションの結果も2メートルというふうに出ましたけど、現場でもやっぱり2メートルじゃなくて、これはちょっと具体的な数字、3メートルとたしか言っていたと思うんですが、あと、風向きを変えたらどうなるのかとか、そういったことなんかも当然私は把握しておりますので、ただ、すみません、説明会にはちょっと中立性の立場を保つという点から出席はできないんですけども、しっかり区民の不安は考えておりますので、これからも事業者に引き続き丁寧な説明、対応を求めていきたいというふうに考えております。
以上です。
154:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。
その要綱策定前に議会で具体的に提言した内容が要綱に反映されず、策定後の説明会では、繰り返しになりますけれども、私が指摘したとおりの問題が起きています。そして、事業者は要綱を盾にして住民の問いへの応答を拒み、要綱の解釈権は事業者に独占されている、現状はこういう状態になっております。
現行の要綱は住民を守る制度ではなく、事業者の手続完了を認証する制度になっています。もちろんまだまだ期間があるので、当然、今、建築調整課長が答弁されたように、ここから本区としてもいろいろ取り組んでいくとは思うんですけれども、いずれにしても現状はこうなっている、事業者の手続を認証する制度にこの本区の要綱というものがなってしまっており、それに対して地域住民は大変不安を募らせているという現状であります。
この事実を踏まえて5点伺います。
第1に、今後の説明、先ほど中立性の観点から説明会には出席できないというふうにおっしゃられましたけども、ちょっと私はここが分からないんですけども、今後の説明会あるいは事業者との協議の場に所管が出席する考えはありますか。自らつくった制度が現場でどう機能しているのかを所管自身が確認すべきであります。
第2に、要綱の運用について、排熱、騒音、振動等の技術的な論点に対する報告資料の策定、あるいは第三者専門家による研修の仕組みを導入する考えはありますか。また、120万リットルの重油備蓄に伴う生活環境影響について現行の要綱では対応できていませんが、これをどのような枠組みで評価、管理していく考えですか、伺います。
第3に、予算審査特別委員会で建築調整課長が区独自のガイドラインを新たに作成すると答弁しています。これは住民向けに論点を整理し、説明会で説明しやすくするための資料と理解していますが、問題の本質はそこではありません。住民は質問できないから、困っているのではなくて、質問しても事業者が答えなくて済む要綱の構造に問題があるわけです。ですから、区民向けの解説資料を幾ら整備しても、事業者に対する報告要求水準が変わらなければ、住民の問いに対して「要綱に従っています」という回答が繰り返されるだけであります。必要なのは住民側の資料ではなく、事業者に対して何をどのような仕様で説明されるかを行政が定める制度の整備ではないですか、伺います。
第4に、稼働後のモニタリングと是正措置について伺います。データセンターのリスクは稼働後に初めて顕在化するものが多いです。過去の我が国における公害問題を振り返れば、建設当時は合法であった施設が稼働後に周辺住民の生活環境や健康に深刻な影響を及ぼし、社会問題化した例は数多くあります。「建設時点では法令に適合していた」は、周辺住民の生活に対して将来の問題が起きないことの保障にはなりません。計画段階の説明会だけで完結させるのではなく、稼働後の継続的モニタリングと基準逸脱時の是正措置を事前に合意する仕組みが必要と考えますが、所管の見解を伺います。
第5に、東京都が現在策定中のデータセンター建設ガイドラインとの整合性について伺います。都が都道府県初のガイドラインを策定しようとしている中で、江東区は都心住宅地隣接型データセンターの先行事例を抱える自治体として都のガイドラインに現場の知見を提供する、あるいは都のガイドラインを踏まえて区の要綱を見直すといった連携を検討していますか、伺います。
155:
◯建築調整課長 まず、説明会の出席等ですけども、基本的には中立性を保つということから出席というのは考えていないんですけども、当然のことながら事業者にしっかりと区民の不安を受け止めて、しっかり説明、丁寧な対応をしていくようには当然求めてまいります。
あと、学識経験者の件ですけども、基本的に、例えば、消防に合致しているものだとか、あと、熱とか、具体的な基準がない中で学識経験者を区が単独でというのは、ちょっと今の現時点では無理があるかなというふうには考えております。
あと、環境影響評価ということですけれども、これはやっぱり当然区長への手紙だとか、以前からもそういう御意見は受けていて、うちの環境関係の部署とも話すわけなんですけども、基本的に環境アセスということになりますと、例えば、規模が10万平米とか、高さが100メートルとか超える建物というのが対象になりますので、現時点では難しいというふうには考えておりますが、そういった御意見があったことをしっかりと環境の部署にも伝えてまいります。
あと、モニタリング、窓口の件ですけども、まさにそれもよくやっぱり話題になりまして、なかなかシミュレーションしていても、例えば、風速がちょっと変われば、あと、火発の音なんかにしても、当然それは運営しながら状況が変わることがあるということで、例えば、これは話合いの中で、例えばですけど、対応窓口をつくるとか、あと、事業者によってはモニタリングをして、結果を知らせていくとか、そういったことで紛争が解決されるということなんであれば、それは事業者にそういうことを提案するなどといったことは紛争解決の中でしていきたいなと考えております。
あと、都のガイドラインの整合性ということなんですけども、当然これは都にも区の現状を共有しているところでございます。また、都のほうもそういった周知の必要性だとか、あと、まちづくりとの整合性だとか、そういう重要性は認識しておるようでございますので、引き続きそういう環境面だとか土地利用とかも含めて、都の動向を注視しながら、しっかりと区のほうでも適宜対応してまいりたいと考えております。
以上です。
156:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。
いずれにしても、現状はこの要綱というものが、要するに住民の聞きたいことをカバーしていない、あるいは事業者の説明の水準というものを規定していないことによって、事業者側の説明によって住民の不安が解消されていないという現実があるわけです。
ですから、説明会が1周したといいますか、1回終わったわけで、そこでるる述べましたけれども、問題点というものは非常に様々明らかになってきているわけです。ですから、その問題点を踏まえて要綱をアップデートし、住民の不安を解消するような要綱にしていく、事業者にしっかりと説明させる要綱にしていくということは、私はこれが必須だと考えておりますので、それは必ず取り組んでいただきたいと思います。
以上です。
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