江東区が放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業を開始 ─会派の提案が実現、予算委で委託費増額の効果を検証
令和8年度予算審査特別委員会(教育費)において、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業について質疑を行いました。
1年越しの提案が実現
この事業は、放課後児童支援員の経験年数等に応じて賃金を改善する仕組みで、国・東京都・区がそれぞれ3分の1ずつ負担する補助事業です。令和8年度予算では補助額6,391万円が計上されました。
私は令和7年2月の一般質問、そして令和7年度予算審査特別委員会で本事業の早期実施を繰り返し求めてきました。当時、区はこの事業ではなく、きっずクラブの委託料を総額約1億2,600万円(5.7%)増額するという対応を取りました。「事業者の判断で支援員の処遇改善にも対応していく」というのが区の説明でした。
時間はかかりましたが、令和8年度予算でようやく実施に至ったことは評価しています。
委託費の増額は本当に賃上げにつながったのか
今回の質疑の核心は、令和7年度の委託費増額という判断の検証です。
区の答弁によると、令和7年6月の事業者ヒアリングでは、学校内クラブを運営する11事業者のうち8事業者が「給与・賃金面で効果があった」と回答。残る3事業者のうち1社は「元々の給与設定が高いため効果なし」、2社は「今後検討する」との回答でした。
しかし、具体的に何%の賃上げが実現したのかという数字は示されませんでした。一部事業者で常勤職員の年間平均給与が60〜70万円アップ、非常勤職員の時給が100〜150円アップした事例があるとのことですが、全体像は把握できていないというのが実態です。
区は約6%の委託料増額を行いましたが、それに見合う賃上げが実現したかどうか、現時点では分からない。にもかかわらず、令和8年度もA登録の支援員については同じ手法で対応しようとしています。効果の把握が不十分なまま同じ対応を繰り返すことは適切ではないと指摘しました。
キャリアアップ事業のほうが効果的だったのか
もう一つの重要な論点として、委託費増額とキャリアアップ処遇改善事業のどちらが効果的だったのかを問いました。

区の答弁は、「B登録の放課後児童支援員の処遇改善のみを考えた場合には、委託料の増額よりも同事業のほうが直接的な処遇改善が期待される」というものでした。A登録を含むきっずクラブ全体の委託料を社会経済状況に見合ったものにするために委託料増額にも意義があったとの説明ですが、B登録の支援員の処遇改善に関しては、キャリアアップ事業のほうが効果的だったことを事実上認めた形です。
指摘した通りの事態が起きた
私は一般質問において、先行自治体との待遇格差が支援員の人材流出を招くこと、事業者からも質の高い人材の配置が困難になっているという声を取り上げました。
前日の質疑で、まさにその状況が現実のものとなったことが明らかになりました。地域教育課長の答弁によれば、令和7年度の委託料増額後も事業者ヒアリングでは「一定の賃金上昇を図ったものの、まだ十分ではない」との声があり、さらに一部の事業者からは、他自治体と比較して委託料が不十分であるとの理由から、令和8年度の受託辞退の申し出もあったとのことです。支援員個人の人材流出にとどまらず、委託事業者そのものが江東区から離れ始めているという深刻な事態です。
あの段階で本事業を実施していれば、国と都の補助を活用しながら、より早く、より直接的に支援員の処遇改善を進めることができました。
放課後児童支援員に限らず、保育士や介護職員など、エッセンシャルワーカーの人材確保は自治体間の競争です。区民生活に直結する分野で打てる手を出し惜しみすれば、その間に人材は待遇の良い他区に流れます。活用できる国や都の補助事業は速やかに活用するよう、引き続き求めてまいります。