江東区議会議員|中島雄太郎

ブログ

  1. トップ
  2. >
  3. ブログ
  4. >
  5. 江東区の放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業をめぐるこれまでの経緯について
2026年2月2日

江東区の放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業をめぐるこれまでの経緯について

江東区の令和8年度当初予算案において、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業が実施されることになりました。

放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業は、放課後児童クラブで働く支援員の経験年数や研修修了状況等に応じて、段階的な処遇改善を行う制度です。

国の制度設計では、処遇改善額の目安として、
・放課後児童支援員で年額約13万円(月額約1万円)
・一定の専門研修を修了した中堅層で年額約26万円(月額約2万円)
・施設長・事業所長クラスでは年額約39万円(月額約3万円)
といった水準が示されています。

江東区の制度においても、経験や役割に応じた処遇改善が行われることが期待されます。

放課後児童支援員の離職率の高さや人材確保の難しさは、以前から現場で指摘されてきた課題であり、放課後の子どもたちの安全・安心な居場所の確保や、支援の質の維持にも直結する問題です。

今回の予算案に本事業が盛り込まれたことを受け、これまでの経緯を整理しておきたいと思います。

私自身、こうした状況が一過性のものではなく、構造的な課題であると受け止め、議会での質疑や区長への要望書提出を通じて、継続して問題提起を行ってきました。

以下では、区長に提出した要望書、一般質問でのやりとり、そして令和8年度予算説明時の財政課長との質疑を中心に、これまでの流れを振り返ります。

区長に提出した予算要望について

令和6年11月26日付で、江東区長に対し、令和7年度予算に向けた緊急追加要望として「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」の実施を求める要望書を提出しました。

要望書では、主に次の点を指摘しています。

・放課後児童支援員の離職率が高止まりし、人材確保や定着が困難な状況が続いていること
・文京区や世田谷区など、既に本事業を実施している他自治体との待遇格差が拡大し、人材流出の一因となっていること
・物価高騰や生活費の上昇により、支援員の生活環境が一層厳しくなっていること

そのうえで、経験年数等に応じた賃金改善を行うキャリアアップ処遇改善事業の導入が、人材確保と定着につながり、結果として子どもたちへの安定した支援体制の確立につながるとの考えを示しました。

一般質問における問題提起と区の答弁

こうした問題意識を踏まえ、議会の一般質問においても、放課後児童支援員の処遇改善について取り上げました。

質問では、離職率の高さや人材確保の困難さに対する区の認識、先行自治体との待遇格差がもたらす影響、令和7年度予算で本事業が見送られた理由、そして今後の対応について確認しました。

これに対し区側からは、国や都の補助制度を活用した処遇改善や、委託費の人件費単価引き上げなど、これまでの取り組みについて説明がありました。

また、令和7年度については、まず委託費全体を引き上げ、事業者の自主的な判断による処遇改善の状況を見たうえで、その効果を確認し、令和8年度以降の予算編成において本事業の必要性を判断するとの考えが示されました。

【一般質問(令和7年第1回定例会)より抜粋】

放課後児童支援員の皆様は、こどもたちの放課後を安全・安心に見守り、健全な育成を支える上で、地域社会における子育て支援の中核を担う存在です。

(中略)

本事業を実施している自治体と実施していない自治体では、放課後児童支援員の年収について、一般スタッフで約13万円、施設長レベルでは約39万円の差が生じる可能性があります。

(中略)

本事業はその役割を担う人材を守り育てるために不可欠であり、本区全体の未来を見据えた重要な投資です。早期実施は喫緊の課題であると考えます。

※一般質問の全文は、江東区議会公式サイトに掲載されている議事録をご参照ください。
https://www.city.koto.tokyo.dbsr.jp/470435?Template=document&Id=2555#one:31

令和8年度予算説明時における財政課長とのやりとり

その後、令和8年度当初予算案の説明に際し、財政課長から説明を受けた際に、本事業の導入に至った背景について、私から質疑を行いました。

私からは、令和7年度予算編成時に本事業が見送られた際、「委託費全体を引き上げたうえで、事業者の自主的な処遇改善の状況を見て判断する」との考えが示されていたことを確認したうえで、今回実施に至った理由について説明を求めました。

これに対し財政課長からは、人材を確保するためにはキャリアアップの仕組みが必要であると判断したこと、経験のある支援員に長く定着してもらい、江東区の学童クラブで働き続けてもらう必要性が高まっていることが、導入理由として説明されました。

また、事業者の確保や人材募集をめぐる状況が直近で一層厳しさを増していること、人件費の高騰や学童クラブの需要増加を踏まえ、委託費の底上げとあわせて本事業を実施することで、安定した運営体制を整える狙いであるとの説明がありました。

さらに、前年度に実施された委託費引き上げが、実際に支援員の処遇改善につながったのかについて確認したところ、財政課長からは、令和7年度の実績については現時点では十分な分析ができていないとの回答がありました。

これらのやりとりを通じて、当初想定されていた「結果を見てから次の判断を行う」という段階的な対応では対応しきれないほど、人材確保をめぐる状況が厳しさを増しているとの認識が示されました。

令和8年度予算案への反映と今後について

こうした経緯を経て、令和8年度当初予算案において、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業が盛り込まれました。

本事業が実際に人材確保や定着につながり、放課後の子どもたちの環境改善にどのような効果をもたらすかは、今後の制度運用にかかっています。引き続き、現場の状況や事業の実施状況を確認しながら、必要な検証と改善が行われているかを注視していきます。

■参考ページ
令和8年度(2026年度)江東区予算(案)概要(PDF:7,122KB)
https://www.city.koto.lg.jp/011102/documents/8tousyoyosanangaiyou.pdf

投稿者:江東区議会議員 中島雄太郎

江東区の暮らしに関するご意見・ご相談・お問合せはお気軽にご連絡ください。

次の記事

前の記事