江東区議会議員 中島雄太郎

江東区議会議員|中島雄太郎

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江東区の町会・自治会、本当の危機は担い手不足。区は「ご指摘のとおり」

この記事のポイント

  • 江東区が「町会・自治会活性化取組方針」の素案を示した(来年3月に方針案)
  • 町会・自治会が挙げる課題の最多は「役員の担い手不足」85.2%。新規加入の少なさ(53.0%)を大きく上回る
  • 3年前に区が「不可欠」と答弁した「町会と並列の新たな地域コミュニティ」は、素案に記述がない
  • 担い手不足こそ中心課題だという指摘に、区は「ご指摘のとおり」と答弁。役割の集中の是正や行政からの依頼事項の見直しに取り組むとした
町会の課題は「新規加入」より「担い手」
町会・自治会が挙げる運営上の課題(区全体、課題と回答した団体の割合)
役員の担い手不足85.2%
役員の高齢化84.7%
新規加入が少ない53.0%
出典:江東区「町会・自治会活性化取組方針(素案)」町会・自治会へのアンケート

10月6日の江東区議会区民環境委員会で、区が示した「町会・自治会活性化取組方針(素案)」について質疑を行いました。

素案は、加入率の低下と担い手不足をひとまとめの課題として扱っています。しかし区自身のアンケートを読むと、町会が直面している本当の危機は、加入者の減少よりも、担い手の不足です。私自身の町会役員の経験も交えて、その点を問いました。

3年前に区が「不可欠」と認めたものが、素案にない

私は2023年の一般質問で、町会の役割の変革と「オープン化」を提案しました。ほぼ高齢者のみで構成される役員会に、若い人が入って意見し、アイデアを出すのは容易ではありません。町会自身が組織を開き、新しい提案を受け入れる体制をつくるべきだ、という提案です。あわせて、町会と並列の新たな地域コミュニティの形成も提案しました。

区はそのとき、こう答弁しています。

  • オープン化を含む町会のアップデート策は「有効な解決策になり得る」
  • NPO・市民団体・企業・大学などの担い手を結びつける新たな地域コミュニティの形成は「不可欠」
  • 他自治体の取組事例の研究を進める

ところが今回の素案には、新たな地域コミュニティについての記述がありません。オープン化も、事例集の「心構え」に載っているだけで、区の支援策には入っていません。そこで、この3年間の事例研究の結果と、素案に反映されていない理由を尋ねました。

部長の答弁は、方針の対象を広げすぎると目的や焦点がぼやけるため、今回は町会・自治会に対象を限定した、というものでした。NPOやボランティア団体については、ボランティア・地域活動センターなどで取り組んでおり、その成果も見ながら「全体的な地域コミュニティのあり方を検討していく」としています。

つまり、3年前の「不可欠」は撤回されてはいないものの、まだ形になっていない。それが現状です。

本当の危機は「加入率」より「担い手不足」

江東区の町会・自治会の加入率は52.6%で、緩やかに低下が続いています。素案もこの加入率の低下を出発点にしています。

しかし、素案に載っている町会・自治会へのアンケートを地区別に見ると、様子が違います。

地区 役員の担い手不足 役員の高齢化 新規加入が少ない
区全体 85.2% 84.7% 53.0%
豊洲 72.7% 75.8% 36.4%
東陽・木場 83.3% 72.2% 38.9%
砂町 90.7% 95.3% 39.5%
南砂 86.7% 80.0% 36.7%

出典:江東区「町会・自治会活性化取組方針(素案)」町会・自治会の活動や運営上の課題(地区別)。各地区でその項目を課題と回答した団体の割合

「新規加入が少ない」を課題に挙げる団体が4割を切る地区が複数ある一方で、「担い手不足」はどの地区でも7割を超えています。町会が共通して抱えている問題は、新しい会員が入らないことよりも、運営を担う人がいないことです。

加入を増やしても、担い手が増えるとは限りません。私の住むマンションは管理組合で一括して町会に加入していますが、町会の仕事を担っているのはごく一部の方です。

平日19時の役員会に、現役世代は出られない

では、なぜ担い手がいないのか。委員会では、私自身の経験をお話ししました。

私は地元町会の役員会に2年ほど参加していました。定例の役員会は毎月1回、平日の19時からです。当時は子どもが保育園に通っていて、仕事のあと18時に迎えに行き、夕食をつくるのが私の家事分担でした。妻はその時間、まだ職場から帰っていません。

それでも出席を続けられたのは、職場が地元で、近所に住む母に役員会の日だけ子どもを見てもらえたからです。たまたま条件がそろっていただけで、電車で通勤している共働きの子育て世帯が、毎月平日の19時に地元の会議に出続けるのは、現実的には極めて困難です。

担い手がいないのは、意欲の問題ではありません。現役世代が参加できる形になっていないという、運営の仕組みの問題です。そして、その結果として、今の役員の方々が、なり手のいないまま何年も重い負担を抱え続けています。

区は「ご指摘のとおり」

町会関係者の8割以上が担い手不足に困っている以上、ここに重点的に取り組むべきではないか。素案は加入促進と担い手不足を一体的に扱っており、担い手不足への焦点が足りないのではないか。そう尋ねたのに対し、部長は「担い手不足への課題意識につきましては、ご指摘のとおり」と答えました。

そのうえで、方針の4つ目の柱「組織運営の効率化支援」の中で、次のような取組を進めるとしています。

  • 行政から町会への依頼事項の見直し
  • 町会・自治会の業務の棚卸しと再編
  • 特定の個人に役割が集中しすぎている実態の是正
  • こうしたテーマを扱うセミナーの開催(今年度から検討)

特に「行政からの依頼事項の見直し」は重要です。素案のアンケートでは、町会が負担に感じている行政からの依頼として、「行事への出席」42.8%、「人材の推薦」41.9%が挙がっています。こうした依頼は、町会費を払うだけの一般の会員ではなく、数少ない役員に集中します。区が町会に変化を求めるなら、まず区自身の依頼のあり方を変えることが先です。

ただし、担い手不足は、デジタルを活用すれば解決するという問題でもありません。若い世代や新しい住民が入っていきやすい町会にするにはどうすべきか。区には真剣に考えていただきたいと伝えました。

町会だけに頼らない地域づくりを

部長は、町会・自治会が防災、防犯、福祉的な支援、環境美化など、行政にとって不可欠な役割を担っていると答弁しました。そのとおりだと思います。

だからこそ、担い手不足が深刻化する中で、町会・自治会だけに全面的に頼り続けるのは危うい。町会の活動が立ち行かなくなったとき、防災などの不可欠な機能まで止まってしまいます。

町会を支えることと、町会と並列する新たな地域コミュニティを育てることは、対立するものではありません。並列する担い手が育てば、町会が一手に抱えてきた役割を分担でき、今の役員の方々の負担も軽くなります。私が3年前に「新たな地域コミュニティ」を提案したのは、そのためです。

方針は来年3月に方針案としてまとめられます。担い手不足への具体策と、区が3年前に不可欠と認めた新たな地域コミュニティの形成について、引き続き委員会の場で求めていきます。

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