江東区議会議員 中島雄太郎

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23区の家庭ごみ有料化「しない」もまた区民負担増につながる ─見落とされている交付金と建替費用の関係

3月26日の江東区議会清掃港湾・臨海部対策特別委員会で、家庭ごみ有料化と国の交付金の関係について質疑を行いました。有料化の「する・しない」はこれまで区民負担の増減として語られてきましたが、実はどちらを選んでも区民負担は増える——そういう構造になっていることが、委員会の答弁を通じて明確になりました。

清掃工場の建替費用は数千億円規模

前回までのブログで取り上げた通り、今回公表された一廃計画(第6次)原案には、板橋・多摩川・足立・品川・葛飾の5工場の規模拡大と、新江東清掃工場の1,800トンから1,200トンへの縮小が盛り込まれています。

この建替費用について、区長会が設置した検証委員会の中で委員から「現在の建設コストはトンあたり約2億円」「新設予定の5工場で日量1,800トン、総額約3,600億円規模」との指摘がありました。新江東を加えればさらに膨らみます。

にもかかわらず、原案にはこの建替費用も財政計画も一切記載されていません。委員会で「試算はされていますか」と問うたところ、清掃一組は「各区の財政主管課長等の協力を得ながら将来の見込みについて確認しているところ。まだ具体的なところをお示しできる段階にない」と答弁しました。

数千億円規模の事業計画を公表しながら、その財源の見通しを示さない。この時点で説明責任として問題がありますが、今回はその先の話をします。

交付金は事業費の約25%

清掃工場の建替に際しては、国の循環型社会形成推進交付金が財源の一部として活用されています。この交付金がどの程度の割合を占めるのか、委員会で問うたところ、清掃一組から「これまでの交付額は事業費全体の約25%」という実績が示されました。

仮に検証委員会で示された3,600億円規模の事業費に当てはめれば、約900億円に相当します。清掃工場の建替の財源として極めて大きな割合です。

有料化しなければ交付金が減額される制度設計

ここからが本題です。

この交付金には、施設規模の適正化を目的とした上限ルールがあります。国が示す基準から算定される施設規模を上限として、交付金の対象として認めるという仕組みです。

委員会での清掃一組の答弁によれば、家庭ごみ有料化を実施する場合にはこの上限が適用されない。逆に言えば、有料化をしていなければ上限が適用され、交付額が減額になるということです。

つまり、有料化の有無が交付金の額に直結する制度設計になっています。有料化をすればごみが減り、工場の規模を小さくできるはずだという考え方が背景にあり、有料化をしていないのに大きな工場を建てるなら、それは「過大」だとみなされるわけです。

清掃一組は環境省と「例外」を交渉している

委員会の答弁の中で、もう一つ重要な事実が明らかになりました。

清掃一組は、環境省に対して「23区が特別な状況にある」として、交付要件の例外適用について協議を行っていると答弁したのです。23区は昼間人口が多い、観光客など流動人口の影響がある、事業系ごみの比率が高い——こうした特殊性を根拠に、有料化をしていなくても上限を適用しないでほしいと交渉しているということです。

これは公の場で明らかになったのは今回が初めてです。裏を返せば、有料化をしていないことが交付金上不利であることを清掃一組自身が十分に認識した上で、正面から有料化に取り組む代わりに、例外を認めてもらう交渉をしているということです。

しかし、この「例外」がいつまで認められるかは不透明です。国は2006年から自治体に有料化を求める方針を打ち出しており、全国の7割の自治体がすでに実施しています。23区だけがいつまでも例外でいられる保証はありません。

「見える負担」と「見えない負担」──有料化議論の本質

ここまでの議論を踏まえて、有料化の「する・しない」を区民の負担という観点から整理してみます。

有料化した場合の負担は明快です。1リットル1円の指定ごみ袋であれば、標準的な世帯で年間約4,700円程度の負担増になります。これは目に見える負担です。ごみ袋を買うたびに実感する。だからこそ、有料化への反発は直感的で強い。

一方、有料化しない場合はどうか。交付金の減額リスク約900億円を23区の約540万世帯で割ると、1世帯あたり約16,700円の単発の負担です。有料化すれば年間約4,700円のごみ袋代が毎年かかり続けることを考えれば、数字だけを比較すれば有料化しないほうが区民にとっては得に見えます。

しかし、有料化しないことの代償はこの数字にとどまりません。

  • ごみ量が減らなければ焼却余力5%の綱渡りが続き、全量焼却体制そのものが危機にさらされます。
  • 将来の建替規模も現行のまま確定し、3,600億円超の建替費用がそのままのしかかります。
  • 環境省との例外交渉がいつまで通るかわからない以上、交付金の減額幅が今後さらに拡大するリスクもあります。
  • そしてごみが減らなければ焼却灰も減らず、23区最後の埋立処分場である新海面処分場の寿命を縮めることになります。次の処分場はありません。

一方、有料化すればごみが約10%減り、これらのリスクの多くを軽減できる可能性があります。焼却余力は改善し、将来の工場規模を縮小できれば建替費用そのものを下げられます。

ごみ袋代は「見える負担」です。しかし、有料化しないことで区民が被るデメリット——焼却余力の低下、交付金の減額、建替費用の膨張——は、全て「見えない負担」です。見える負担だけを見れば有料化反対が合理的に思える。しかし、見えない負担を含めれば、話は全く違ってきます。

2026年3月26日江東区議会清掃港湾・臨海部対策特別委員会での答弁に基づき作成

そして問題は、この「見えない負担」が区民にほとんど知らされていないことです。

問われているのは情報公開と説明責任

私が委員会の最後に意見として述べたのは、まさにこの点です。

有料化なしで新江東を縮小すれば焼却余力は5%まで低下し全量焼却体制が綱渡りになること。有料化をしなくても交付金の減額によって結局区民負担が増える可能性があること。有料化すればごみが減り、将来の建替規模や費用を抑えられる可能性があること。

これらを全て正直に区民に説明し、その上で区民が有料化を受け入れるかどうかの判断を仰ぐのが、民主主義のあるべき姿ではないでしょうか。

検証委員会の答申は昨年10月に提出されていながら、区長会は今年3月19日まで5ヶ月間非公開にしていました。財政計画も「まだお示しできる段階にない」。交付金と有料化の関係もこれまで公には議論されてこなかった。判断材料を持たない区民に対して「理解が得られない」と言うのは、本末転倒です。

そもそも、これほど区民生活に直結する重大な政策の方向性が、法的な議決機関ではない区長会という場で実質的に決められ、各区の議会にはその過程すら十分に共有されていないこと自体に、制度的な問題はないのか。この点については、改めて次回のブログで掘り下げたいと思います。

区民に対して誠実に情報を開示し、説明を尽くすことを引き続き求めてまいります。

江東区の暮らしに関するご意見・ご相談はお気軽にご連絡ください。

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