放課後児童支援員の処遇改善について
目的
放課後児童支援員の離職率の高さと人材確保の困難が続く中、会派として令和7年度予算編成で実施を要望した放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業が見送りとなった。先行実施自治体との待遇格差がもたらす影響への区の認識と、見送りの理由、今後の実施方針を質す。
質問
- 放課後児童支援員の離職率の高さと人材確保が困難な現状への認識と、課題解決のための対策
- 本事業を実施する23区中7区との間で、一般スタッフで約13万円、施設長レベルで約39万円の年収差が生じる可能性がある中、待遇格差が人材流出と人材の質の低下を招く懸念への見解と対策
- 令和7年度予算で本事業の実施が見送られた具体的な理由と、早期実施への考え
答弁
課題認識と対策(教育委員会事務局次長)
こども家庭庁の令和5年度調査で、応募者の獲得に必要な賃金設定の難しさが人材確保の課題として挙げられており、区のきっずクラブ運営委託事業者へのヒアリングでも同様の意見があったと答弁。令和4年2月より国・都の補助制度を活用し、収入の3%程度となる月額9,000円相当の処遇改善に取り組んできたとした。
待遇格差への対応
事業者の判断により処遇改善が可能となるよう、令和7年度より委託料の人件費単価等を増額すると答弁。あわせて、令和7年度からきっずクラブに電子連絡帳を導入し、業務負担の軽減により職員がこどもと向き合う時間を増やすとした。
予算見送りの理由と今後
令和7年度は人件費単価の増額等により必要に応じて処遇改善に対応できると考えており、事業者へのヒアリング等を通じてその効果を確認した上で、令和8年度以降の予算編成において改めて本事業の実施の必要性を判断すると答弁した。
結果
本事業の実施には至らず、区は令和7年度の人件費単価増額の効果を確認した上で令和8年度以降に改めて判断するとの答弁にとどまった。一方で、委託料の人件費単価増額と電子連絡帳導入という令和7年度の具体策を確認した。
その後の展開
区はこの質問で、令和7年度はきっずクラブの委託料の人件費単価増額等により処遇改善に対応し、事業者へのヒアリング等を通じてその効果を確認した上で、令和8年度以降の予算編成において本事業の実施の必要性を改めて判断すると答弁した。
その後、令和8年度当初予算に放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業が予算化され、現在実施されている。本事業は、放課後児童クラブで働く支援員の経験年数や研修修了状況等に応じて段階的な処遇改善を行う制度で、国の制度設計では、放課後児童支援員で年額約13万円、専門研修を修了した中堅層で年額約26万円、施設長・事業所長クラスで年額約39万円という水準が処遇改善額の目安として示されている。
予算案の説明に際して私が行った質疑に対し、財政課長からは、人材を確保するためにはキャリアアップの仕組みが必要であると判断したこと、経験のある支援員に長く定着してもらう必要性が高まっていること、事業者の確保や人材募集をめぐる状況が直近で一層厳しさを増していることが、導入の背景として説明された。
令和6年11月の予算要望書提出から一般質問、令和8年度予算への反映までの経緯は、関連記事にまとめている。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
大綱3、放課後児童支援員の処遇改善について質問いたします。
放課後児童支援員の皆様は、こどもたちの放課後を安全・安心に見守り、健全な育成を支える上で、地域社会における子育て支援の中核を担う存在です。しかしながら、依然として離職率が高く、人材確保が困難な状況が続いており、この状況がこどもたちへの支援体制に深刻な影響を与えています。
そうした現状を踏まえて、令和7年度予算編成において、会派として放課後児童支援員の賃上げを行う放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の実施を強く要望いたしましたが、事業の実施は見送りとなりました。
そこでまず、区長にお伺いいたします。放課後児童支援員の離職率の高さ、そして、人材確保の困難な現状について、区長はどのように認識し、課題解決のためにどのような対策を検討されているのでしょうか。具体的にお聞かせください。
次に、先行自治体の状況を踏まえてお伺いします。
東京23区においては、文京区や世田谷区など7つの自治体が既に本事業を実施し、支援員の処遇改善を進めています。本区がこれらの自治体と待遇面で差が開くことは、人材流出を招き、結果としてこどもたちへの支援の質を低下させるだけでなく、意欲の高い優秀な人材が本区を避けることで人材の質の低下を招く懸念もあります。
本事業を実施している自治体と実施していない自治体では、放課後児童支援員の年収について、一般スタッフで約13万円、施設長レベルでは約39万円の差が生じる可能性があります。同じ仕事を行うのに自治体間で待遇格差がある場合、どちらの自治体により質の高い人材が集まりやすいかは言うまでもありません。
実際に本区と先行自治体の両方で放課後児童支援事業を実施している事業者からは、本事業を実施していない本区の施設に質の高い人材を配置するのは困難であるとの偽らざる声が届いております。既に同様の事業を実施している先行自治体と本区との待遇格差が人材の流出、そして人材の質の低下を招く可能性について、区長はどのように考えているのでしょうか。具体的な対策と併せてお聞かせください。
最後に、令和7年度予算における本事業の見送りについてお伺いします。
昨今の物価高騰は、支援員の生活をより一層圧迫し、経済的な理由から離職を選択せざるを得ない状況も生まれており、早急な対応が求められます。
令和7年度予算において本事業の実施が見送られた具体的な理由、今後の本事業の早期実施について、区長はどのように考えているのでしょうか、伺います。
繰り返しますが、放課後児童支援員は、地域社会における子育て支援の中核的存在です。本事業はその役割を担う人材を守り育てるために不可欠であり、本区全体の未来を見据えた重要な投資です。早期実施は喫緊の課題であると考えます。区長の明確な答弁を期待し、次の質問に移ります。
34:
◯教育委員会事務局次長(青柳幸恵) 次に、放課後児童支援員の処遇改善についてお答えします。
まず、離職率と人材確保の課題認識と対策についてです。
令和5年度にこども家庭庁が実施した調査によると、放課後児童支援員の人材確保に関する課題の一つとして、応募者の獲得に必要な賃金設定とするのが難しいことが挙げられております。
本区で毎年実施しているきっずクラブ運営委託事業者に対するヒアリングにおいても同様の意見があったことから、令和4年2月より、国及び東京都の補助制度を活用し、収入の3%程度となる月額9,000円相当の処遇改善に取り組んできたところです。
次に、先行自治体との待遇格差による影響についてです。
同調査によると、人材定着に関する課題の一つとして、定着に向けた取組に十分な体制・費用を用意することができないということが挙げられております。こうした状況を踏まえ、本区では、事業者の判断により処遇改善が可能となるよう、令和7年度より委託料の人件費単価等を増額いたします。
また、同調査では、人材定着に関する課題として、職員の業務負担が大きいことも挙げられております。本区では、令和7年度よりきっずクラブに電子連絡帳を導入することとしており、連絡帳に関する業務を軽減し、職員がこどもと向き合う時間を増やしていくことで質の向上を図ってまいります。
なお、質の向上という観点では、職員の研修も重要です。区が主催する研修では、公営、民営を問わず指導員の能力向上に努めており、きっずクラブ全体の質の向上を図っております。
次に、令和7年度予算での見送りの理由と今後の対応についてです。
放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業は、経験年数等に応じた賃金改善の仕組みを設ける場合に、委託事業者に対して補助を行うものです。
本区では、令和7年度は人件費単価の増額等を行うため、必要に応じて処遇改善にも対応できると考えておりますので、今後、事業者へのヒアリング等を通じ、その効果を確認いたします。
その上で、令和8年度以降の予算編成において、改めて本事業の実施の必要性について判断してまいります。
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