江東区議会議員 中島雄太郎

江東区議会議員|中島雄太郎

ブログ

江東区、豪雨時のマンション浸水リスク調査は管理組合任せ|電気室対策済み4.3%

この記事のポイント

  • 千葉の豪雨では、電気室が水につかったマンションで約1か月の停電・断水が続いた
  • 江東区で電気室の浸水対策が済んでいる分譲マンションは、回答の4.3%にとどまる
  • 区は止水板の助成を検討する一方、リスクの高いマンションの調査はせず、リスクの把握を管理組合に委ねた
  • 23区中16区が実施する止水板助成を、江東区はまだ実施していない
  • 耐震化と同じく、まず区がリスクの高いマンションをあぶり出すべきだ

建物は無事でも、暮らせなくなる

今年8月の千葉の豪雨では、1階や地下の電気室が水につかったマンションで、停電や断水、エレベーターの停止が相次ぎました。松戸市のマンションでは約1か月にわたり断水とエレベーターの停止が続き、住民は仮設トイレや給水でしのいだといいます。

建物そのものは無傷でも、電気室一つが水につかるだけで、マンションは暮らせない建物になります。分譲マンションのストック戸数が行政区別で全国最多の江東区にとって、多くの区民に関わる問題です。

内水氾濫と、マンションの電気室

電気室にある受変電設備は、マンションの電気の入口です。ここが止まれば、各住戸の電気だけでなく、給水ポンプやエレベーターも止まります。非常用発電機が動くのは燃料が続く間だけで、受変電設備が水につかれば、電気が戻るまでに長い時間がかかります。そして受変電設備は、1階や地下に置かれていることが多いのが実情です。

荒川や隅田川があふれる大規模な水害(外水氾濫)では、区外への避難が呼びかけられます。一方、大雨で下水道が流しきれずに水があふれる内水氾濫では、多くの住民はそのまま自宅にとどまります。とどまった先で電気室が水につかれば、とどまっていても暮らしは成り立ちません。電気室を守ることは、在宅避難そのものを守ることです。

内水氾濫の仕組みは、前回の記事で詳しく紹介しています。

決算委員会で明らかになったこと

10月1日の決算審査特別委員会で、この問題を取り上げました。

  • 区の調査に回答した分譲マンション1,449件のうち、電気室の浸水対策が「対策済み」と答えたのは4.3%
  • 区も、多くのマンションが受変電設備を1階に置いていると推測している
  • 区は、止水板の設置助成について、受変電設備室やエントランスも含めた範囲で検討している

都にも浸水対策の補助(最大833万円)がありますが、守れるのは非常用電源だけで、受変電設備やエントランスは対象外です。そのすき間まで含めて区が助成を検討していることは、前進です。

区は調査をせず、管理組合に委ねた。それは間違っている

一方、私は、区が浸水のおそれのある区域のマンションを調べるべきだと求めました。区の答えは、受変電設備の把握は「まずは区民やマンション管理組合等において」行い、対策を「各自で検討することが肝要」。次回の実態調査は時期も内容も未定でした。

区が自ら調べることはせず、リスクの把握は管理組合に委ねる。 事実上、そういう判断です。私は、これは決定的に間違っていると考えます。

リスクは一様ではない

対策済みが4.3%ということは、95%以上は対策済みと答えていません。しかし、そのすべてが同じように危ないわけではありません。区の大雨浸水(内水)ハザードマップを見れば、浸水が想定されない場所もあれば、1メートルを超える浸水が想定される場所もあります。同じ「電気室が1階」でも、どこに建っているかで危なさはまったく違います。

だからこそ、まず必要なのは、本当にリスクの高いマンションをあぶり出すことです。

耐震化は「診断」から始めた

建物の耐震化では、行政はまず耐震診断で建物ごとの危険度を明らかにしました。「倒れるおそれがある」という診断結果があって初めて、所有者は改修の必要性を自覚し、行政は改修の助成を本当に必要な建物に届けることができました。

浸水対策も、診断 → 自覚 → 対策の順番であるべきです。区がマンションごとのリスクを判定し、その結果を管理組合に伝え、そのうえで助成を使って対策に取り組んでもらう。

耐震化で、診断をせずに「改修の助成を用意しました、各自で判断してください」と言う行政はありません。ところが浸水対策では、区はまさにそう言っています。

あぶり出しは、難しくない

区はマンションの所在地を把握しています。ハザードマップは10メートル四方の細かさで浸水の深さを示しています。この2つを重ねれば、浸水が深い場所のマンションは、現地に行かなくても洗い出せます。あとは対象のマンションにだけ電気室の位置を尋ねればよく、区が年2回管理組合に送っているダイレクトメールを使えば、大きな費用もかかりません。

管理組合には難しい判断でも、区がやれば難しくないのです。

調査をせずに「助成を検討」は、生ぬるい

リスクの高いマンションを調べないまま助成だけ用意しても、本当に必要なマンションに届くとは限りません。実際、都の最大833万円の補助も、前提となる「東京とどまるマンション」への登録は、区内のマンションのごく一部にとどまっています。制度があることと、必要なところに届くことは、まったく別です。

そもそも止水板の助成は、23区のうち16区がすでに実施しています。江東5区でも足立区、葛飾区、江戸川区が実施し、ないのは江東区と墨田区だけです。浸水リスクを抱え、マンションストックが全国最多の江東区が、まだ持っていない。この現状そのものが、問題意識の乏しさを表していると私は考えます。

危機感を、行動で示してほしい

区には、次のことを求めます。

  1. ハザードマップとマンションの所在地を重ね、浸水が深い場所のマンションを洗い出す
  2. 対象のマンションの電気室の位置を確かめ、リスクを判定して、個別に伝える
  3. 受変電設備やエントランスも対象とした止水板等の助成を、検討ではなく実現する

区は答弁で、マンションの浸水対策に「強い危機感」を持っていると述べました。その言葉が本当なら、危機感は答弁の中ではなく、行動で示してほしい。どのマンションがリスクの高いのかを、まず区が調べる。それが、危機感を持つ行政が最初にやるべきことです。

管理組合・住民の皆さんへ

私の住むマンションも、電気室が1階にある当事者です。区が動くのを待つ間にも、できることがあります。

  • 区の「大雨浸水(内水)ハザードマップ」で、マンションの場所の想定浸水深を確認する
  • 管理会社に、受変電設備と非常用発電機の場所を聞く
  • 理事会や防災委員会で、浸水の深さと電気室の位置を照らし合わせて話し合う

私も一人の当事者として、自分のマンションの備えを進めながら、区がリスクの高いマンションを調べるよう、議会で求め続けていきます。

江東区の暮らしに関するご意見・ご相談はお気軽にご連絡ください。

次の記事

新豊洲チームラボプラネッツ前の違法露店は1軒に、区道の残り幅は0.8m ―区が議会で答弁、次は看板と証拠収集へ

前の記事

江東区の内水氾濫対策、雨水ます約3万2千か所の管理に課題