新江東清掃工場の縮小と交付金——有料化してもしなくても区民負担が増える構造を問う
目的
清掃一組の施設整備計画では、5工場の規模拡大と新江東清掃工場の縮小を盛り込んだ上でも、令和20・21年度に焼却余力が5%程度まで低下する。全量焼却体制を維持できるのか、国の交付金要件と区民負担の関係はどうなっているのかを確認し、新江東の縮小を悲願としてきた江東区がごみ有料化にとるべき立場を問うた。
質問
- 令和20年度には清掃工場の平均稼働年数が27年に達し、想定外の故障やごみ量の増加も考えられる。5%という余力で全量焼却体制は本当に維持できるのか
- 循環型社会形成推進交付金の算定で有料化の検討が要件となっていることを踏まえ、検討が形式にとどまり続けた場合、新江東を含む6工場の建替事業で交付金が満額交付されない可能性はないか。その場合の不足分は各区の分担金、つまり区民負担となる理解でよいか
- 第6次計画原案には建替事業の事業費が一切明記されていない。総事業費の見込額、交付金で賄える割合、交付金が想定どおり交付されなかった場合の23区分担金への影響額は試算されているか
- 新江東の1,800トンから1,200トンへの縮小はアンバランス是正の中核であり長年の悲願だが、有料化によるごみ減量なしで縮小すれば余力は5%まで低下する。是正を確かに実現するためにも、本区こそ有料化を積極的に推進する立場に立つはずではないか
答弁
焼却余力(清掃一組・計画担当課長)
焼却余力は9%が必要と考えており、十分な余力がある状況ではないと認めた。5%の中では搬入調整等により23区全体で何とか処理できると考えているが、一組にできるのは搬入調整が限界であり、引き続き23区でごみ減量を進めてもらう必要があるとした。
交付金と区民負担(清掃一組・計画担当課長)
交付金の要件では、国の基準ごみ量から算定される施設規模の上限を超える分は対象とならず、家庭ごみ有料化を実施する場合はこの上限を適用しないことが示されている。これまでの交付額は事業経費全体の約25%であり、上限が適用された場合は交付額が減額になる見込みで、減額分は各区の分担金または施設整備基金で賄うことが考えられると答弁した。
事業費の試算(清掃一組・計画担当課長)
将来の事業経費と各区の分担金について、各区の財政主管の協力を得ながら試算・確認を進めており、見通しがまとまった段階で報告すると答弁した。また、23区は事業系ごみが多い特別な状況にあるとして、交付要件の適用の例外とならないか環境省と協議中であるとした。
区の見解(清掃リサイクル課長)
全量焼却体制の維持には23区としてごみ減量リサイクルに率先して取り組むことは間違いないとしつつ、有料化が最良とは限らず、古紙の搬入規制や手数料の増額など様々なごみ減量策の効果を見極めるため、これから23区として検討を引き続き行うとの答弁にとどまった。
結果
清掃一組は、余力5%が十分ではないこと、有料化を実施しない場合に交付金が減額となる見込みであること、その不足分を分担金等で賄う構造にあることを認めた。有料化をしてもしなくても区民負担が増えうる構造が答弁で確認された一方、区の答弁は有料化を選択肢の一つとして検討を続けるとの内容にとどまった。
まとめでは、検証委員会の答申が昨年10月の提出から約5か月間非公開とされていた経緯に触れ、焼却余力・交付金・区民負担の構造を区民に正直に説明し、情報を開示した上で判断を仰ぐべきだと強く求めた。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
令和8年清掃港湾・臨海部対策特別委員会 本文 : 2026-03-26
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30:
◯中島雄太郎委員 先ほど焼却余力のお話がありました。最低9%は確保していくというお話であったかと思いますけれども、今回の施設整備計画では5工場の規模拡大と新江東の縮小を盛り込んだ上でも令和20年・21年度に焼却余力が5%程度まで低下をいたします。これは5工場の規模を拡大した上での数字です。
かつ、令和20年度には清掃工場平均の稼働年数が27年に達します。この原案の63ページにも明記されておりますけれども、「清掃一組の清掃工場は平均の稼働年数が20年を超えており、今後、故障停止日数が増加していくことが懸念されます。」と明記されておるんですけれども、20年、今は20年ですけれども、令和20年には27年になるわけです、平均稼働年数からすると、当然想定外の工場のトラブル等は十分考えられるわけです。
その上、人口の想定外の増加や景気回復による事業系ごみの増加などによって少しでも計画から狂ってしまったら、全量焼却体制が維持できなくなりかねない水準であるというふうに私は考えるんですけれども、この5%という余力で全量焼却体制は本当に維持できるとお考えですか、伺います。
31:
◯清掃一組・計画担当課長 今御質問いただきました焼却余力、令和20年度・21年度5%といったところでございます。こちらについては、焼却余力の説明をさせていただいたところで9%というところが必要というふうに考えてございます。ですので、余力として十分な余力があるという状況ではないというところは御承知いただいているとおりでございます。
ただ一方で、5%については処理できる余力としてございますので、この中で搬入調整等を行いまして、23区全体の中で何とか処理できるというふうに今考えているところでございます。
ただ、やはり我々としてできるところは、そういった清掃工場、どこの清掃工場で処理するかというところを搬入調整するのが限界でございますので、引き続き23区のほうではごみ減量のほうを進めていただいて、その状況を見ながら個々に対応していきたいというふうに考えてございます。
32:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。
一組さんのほうも5%というのは極めてバッファーとしては薄いという認識を持たれているということは確認できました。やはりそういった、こういう5%という余力になっているという以上、将来、ごみ減量が引き続き必要であるという認識であると、私もそれはそのとおりであるというふうに思います。
清掃工場の建て替えに関しては国の循環型社会形成推進交付金を活用していると理解しています。検証委員会では委員から、現在の建設コストは、清掃工場の、1トン当たり約2億円、新設予定の5工場で日量1,800トン、総額約3,600億円規模との指摘がありました。新江東を加えれば、この建設コストはさらに膨らみます。
また、同じ検証委員会の中で23区代表からも、先ほど言及いたしました国の交付金が確保できない場合、清掃工場の実質建設コストが増加し、各区の分担金に跳ね返る、交付金の確保は何らかの形で考えていかなければならないとの発言がありました。
交付金の算定において有料化の検討が要件になっていることを踏まえれば、有料化の検討が形式のものにとどまり続けた場合、交付金の算定に不利に働き、新江東を含む6工場の建替事業において交付金が満額交付されない可能性があるのではないでしょうか、伺います。また、その場合の不足分は、まさに検証委員会において23区代表が指摘したとおり、各区の分担金、つまり、区民が負担することになる理解でよろしいでしょうか。2点伺います。
33:
◯清掃一組・計画担当課長 循環型社会形成推進交付金についての御質問でございます。
今、国のほうから示されております交付金の要件ですと、清掃工場の施設規模の適正化というところが目的として要件のほうが示されてございます。この要件の中では、国のほうが示します基準となるごみ量といったところから算定されます清掃工場の施設規模上限としまして、交付金の対象として認めるということになってございます。家庭ごみ有料化との関連としましては、家庭ごみ有料化を実施する場合についてはこの上限を適用しないというところが併せて示されているところでございます。
これまでの交付額につきまして、事業経費全体の約25%という実績がございますけれども、この要件に基づきまして、施設規模の上限のほうが適用された場合については交付額が減額になる見込みというところでございます。ただ、どの程度減額になるかについてはまだ確認中でございまして、具体的にはちょっとお示しすることができない状況でございます。
財源として交付金のほうが減額となった場合については、その分、清掃一組の財政構造上、分担金のほうで賄うと、あるいは施設整備基金というものがございますので、そちらに積み立てた基金のほうを活用するといったことが考えられるところでございます。
以上でございます。
34:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。
つまり、有料化によるごみ減量の抑制によっては、分担金というものが増えて、区民負担が増える可能性があると。基金の活用も考えられるというお話がありましたけども、つまり、ごみ有料化をして区民の負担が増える、これはあるでしょう。しかし、ごみ有料化をしなくても、交付金が減って、分担金が増えて、区民の負担が増える可能性がある。いずれにしても、どっちにしたって負担が増える構造にあるということは今確認できたと思います。
この第6次計画原案では、6工場相当の建設、建替事業について、その事業費が一切明記されていません。総事業費の見込額と、そのうち交付金で賄える割合の想定、交付金が想定どおりに交付されなかった場合の23区分担金への影響額について試算はされていますか、伺います。
また、江東区はかつての夢の島に象徴されるように、23区のごみ処理の負担を歴史的に引き受けてきた区であります。現在も新江東清掃工場は23区で最大の焼却能力を持ち、23区全体のごみ処理を支える中核的な役割を担っております。その新江東を1,800トンから1,200トンに縮小することはアンバランス是正の中核であり長年の悲願であります。
しかし、一廃計画原案が示すとおり、有料化によるごみ減量なしで新江東を縮小すれば、焼却余力は令和20年度には5%まで低下することを踏まえれば、アンバランスの是正と有料化によるごみ減量は事実として切り離すことができません。
こういった流れを論理的に考えれば、23区で最も大きなごみ処理の負担を担い、そのアンバランスの是正を求めてきた本区こそ、その是正を確かに実現するためにも、有料化によるごみ減量を積極的に推進する立場に立つはずだと考えます。区の見解を伺います。
35:
◯清掃一組・計画担当課長 御質問いただきました、まず、試算といったところ、事業経費の試算という部分でございます。
現在、こちらの、今回お示ししました清掃工場の施設整備計画に基づきまして、将来どれぐらい事業経費がかかるか、各区の分担金がどれぐらいになってくるかというところについて、各区の財政主管の御協力を得ながら、将来の見込みについて試算というか確認をしておるところでございます。ちょっとまだ具体的なところについてお示しできる段階にありませんけれども、今後そちらの見通しがまとまった段階で報告のほうさせていただきたいというふうに考えてございます。
それから、交付金について、交付金で示されている要件どおり適用しますと先ほど申し上げたとおり、交付額が減額というふうな形で見込んでいるところでございますけれども、23区部におきましては事業系ごみが非常に多いという実態がございます。
理由としまして、昼夜間人口、昼間の人口が多いという状況ですとか、それから、観光客などインバウンドによる影響といったところも見込まれるところでございます。そういった状況もありますので、23区が特別な状況にあるというところについては、環境省のほうにも交付要件の適用の例外とならないかについて今協議のほうを行っているところでございます。
以上でございます。
36:
◯委員長 ほかにございますか。
37:
◯清掃リサイクル課長 ごみ有料化の御質問ございました。区の見解はということでございます。
全量焼却体制を維持するためには、23区としてごみの減量リサイクルに率先して取り組むと、これは間違いないことかというふうに思ってございます。その上で、今の中島委員のお尋ねですと有料化が最良の策だというようなお話でございましたけども、我々としては様々なごみ減量策があるかと思ってございます。今回検証委員会また区長会でも示されてございますけども、古紙の搬入規制ですとか、手数料の増額、そういったところも含めて、どれが最良なのか、あるいはどういった、それぞれのごみ減量策でどの程度効果があるのか、その辺りきちっと見極めていくために、まさにこれから23区として検討を引き続き行っていくというところでございます。
以上でございます。
38:
◯委員長 ほかございますか。
まとめてください。
39:
◯中島雄太郎委員 ごみ有料化によるごみ減量がベストだとは思っていないと、それはそういう考え方もあると思います。
しかし、本区の悲願である新江東の縮小が必要であれば、ごみ減量は不可欠であるわけですね。ベストではないかもしれないが、非常に有力な施策の一つであるという、有料化が。ですから、検証委員会も早期に実現すべきだと答申をしているわけですね、区長会に対して。そして、有料化によるごみ減量化をしなければ、焼却余力は5%という綱渡りになること、そして、有料化をしなくても、先ほど議論にあったように、交付金の減額によって結局区民負担が増えること、これらは全て正直に区民に丁寧に説明すべきであるというふうに私は考えます。その上で区民が有料化を受け入れるかどうかの判断を仰ぐのが民主主義のあるべき姿ではないでしょうか。
検証委員会の答申は昨年10月に提出されていながら、区長会は今年3月19日まで5か月間非公開にしていました。区民、都民に情報を出さずに、有料化をする、しないといったような、その議論の過程を示さずに結果だけを提示するということは、判断の主体として区民を尊重しているとは私は思えません。区民に対して誠実に情報を開示し、説明を尽くしていただくことを強く求めて、質問を終わります。
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