放課後児童支援員の処遇改善——委託料増額の実効性と、23区7区が先行するキャリアアップ事業への対応
目的
さきの本会議一般質問で、区は事業者の判断で放課後児童支援員の処遇改善が可能となるよう委託料を増額すると答弁していた。これを受け、令和7年度予算における増額の具体的な規模、その増額が確実に支援員の処遇改善に充てられるのかという実効性、そして国・都の補助を活用できる放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業を実施しない理由を確認する。
質問
- 令和7年度予算における江東きっずクラブ委託料の増額の具体的な金額と増加率
- 委託費の増額が支援員の処遇改善につながる根拠。事業者の裁量で使用される委託費が待遇改善に充てられる保証はあるのか
- 国3分の1・都3分の1・区3分の1の負担割合で財政的メリットのあるキャリアアップ処遇改善事業ではなく、委託費増額を選択した理由
- 23区内で既に7自治体が同事業を実施する中、先行自治体との待遇差が本区の支援員確保と質の担保に与える影響の分析
- 今回の予算措置で十分な改善が図られるのか。不十分であれば今後どのような追加措置を検討するのか
答弁
委託料増額の規模(地域教育課長)
令和7年度当初予算では委託料積算上の人件費単価等を増額し、昨年度までの積算方法との比較で総額約1億2,600万円、5.7%の増加。学校内1クラブ当たり(A登録200人・B登録90人の平均的規模)では約330万円、5.7%の増加となる。
処遇改善への実効性(地域教育課長)
増額は事業者ヒアリングで「応募者の獲得に必要な賃金設定が難しい」との声があったことを踏まえたもので、基本的には委託事業者の判断において処遇改善にも対応していくものと考えると答弁。一方で、既に十分な賃金水準にあると考えている事業者も存在するとした。
キャリアアップ処遇改善事業を実施しない理由(地域教育課長)
同事業は財政的メリットはあるがB登録の放課後児童支援員のみが対象で範囲が限られる。A登録の支援員を含むきっずクラブ全体の委託料を社会経済状況に見合ったものにするため、令和7年度予算では委託料の増額を選択したと説明した。
今後の判断(地域教育課長)
委託料改定の効果を毎年の事業者ヒアリングを通じて確認し、その上で令和8年度以降の予算編成においてキャリアアップ処遇改善事業の実施の必要性を判断すると答弁した。
結果
委託料増額の具体額(総額約1億2,600万円・5.7%増)が答弁で示された一方、増額分が支援員の待遇改善に充てられるかは事業者の判断に委ねられていることを確認した。キャリアアップ処遇改善事業については、区は令和8年度以降の予算編成で実施の必要性を判断するとの答弁にとどまった。最後に、同事業の早期実施に向けた前向きな検討を要望した。
その後の展開
この質疑で区は、令和7年度の委託料増額の効果を事業者ヒアリングを通じて確認した上で、令和8年度以降の予算編成において放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の実施の必要性を判断すると答弁した。
その後、令和8年度当初予算案において、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業が盛り込まれた。予算案の説明に際して財政課長に確認したところ、人材確保にはキャリアアップの仕組みが必要と判断したこと、経験のある支援員の定着の必要性が高まっていること、事業者の確保や人材募集をめぐる状況が直近で一層厳しさを増していることが、導入の背景として説明された。委託費の底上げとあわせて本事業を実施することで、安定した運営体制を整える狙いであるとのことである。
なお、この質疑の前提であった令和6年11月26日付の区長への予算要望書の提出から、予算案への計上に至るまでの経緯の詳細は、関連記事にまとめている。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
令和7年予算審査特別委員会 本文 : 2025-03-04
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273:
◯中島雄太郎委員 よろしくお願いします。放課後児童支援員の処遇改善について伺います。
さきの一般質問では、事業者の判断で支援員の処遇改善が可能となるように委託料を増額するという答弁がありました。令和7年度予算において、江東きっずクラブ事業者への委託費をどの程度増額したのか、具体的な金額と増加率をお示しください。
274:
◯地域教育課長 令和7年度きっずクラブ委託料改定の金額と増加率についてお答えいたします。
令和7年度当初予算では、委託料積算上の人件費単価等を増額しておりますが、昨年度までの積算方法との比較では、総額で約1億2,600万円、5.7%の増加となっております。また、学校内1クラブ当たりの平均的な規模として、A登録200人、B登録90人とした場合、1クラブ約330万円、5.7%の増加となります。
以上でございます。
275:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。委託費の増額が放課後児童支援員の処遇改善につながるという根拠をお示しください。事業者の裁量で使用される委託費が、確かに支援員の待遇改善に充てられるという保証はあるのでしょうか、伺います。
276:
◯地域教育課長 今回の委託料の増額は、毎年実施しておりますきっずクラブ運営委託事業者に対するヒアリングにおいて、応募者の獲得に必要な賃金設定とすることが難しいという声が上がっていたことなども踏まえ、近年の社会経済状況の変化に対応するため実施したものであります。
このような状況から、基本的には委託事業者の判断におきまして、放課後児童支援員の処遇改善にも対応していくものと考えますが、委託事業者の中には既に十分な賃金水準にあると考えている事業者も存在しております。
以上でございます。
277:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。委託料を増額して放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業を実施しなかった、委託費の増額という選択をした理由について詳しく御説明ください。
特に以下の点について伺います。まず、キャリアアップ処遇改善事業は、国3分の1、東京都3分の1、江東区3分の1の負担割合であり、財政的メリットがあると考えられますが、この点をどのように評価されたのでしょうか。
次に、委託費増額に比べ、キャリアアップ処遇改善事業のほうが支援員の処遇改善に直接的な効果があると考えられますが、この点についてどのようにお考えでしょうか、伺います。
278:
◯地域教育課長 今回の委託料の増額は、きっずクラブA登録の放課後児童支援員や補助支援員の人件費単価、また事業費や法人管理費についても一部増額を図っており、A登録、B登録を合わせたきっずクラブ全体の運営委託料を増額しております。
一方、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業は、国及び東京都の補助事業となりますので、財政的なメリットはございますが、B登録の放課後児童支援員の処遇改善のみを対象としているため、対象範囲が限られております。したがって、同事業は、B登録の放課後児童支援員に限っては、直接的な処遇改善効果が期待されますが、それ以外のA登録の支援員をはじめとしたきっずクラブ全体の委託料を、現在の社会経済状況に見合ったものにするため、令和7年度予算では委託料の増額をしたところでございます。
以上でございます。
279:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。
23区内では、既に7つの自治体が先行自治体として本事業を実施しておりまして、先行自治体との給与面での待遇差が江東区の放課後児童支援員の確保と質の担保に影響を与える可能性について、区としてどのように分析されていますか、伺います。
280:
◯地域教育課長 きっずクラブ運営委託事業者の給与体系は、事業者ごとの判断で設定されておりますが、一般論としては、同種の仕事があった場合、より待遇のよいほうが選ばれるものと考えますので、そうした状況も踏まえまして賃金設定が事業者ごとになされるものと認識しております。
以上でございます。
281:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。
放課後児童支援員の処遇改善は喫緊の課題であると区としても認識されていると思いますけれども、今回の予算措置で十分な改善が図られると考えておりますか。十分とはいかないと認識されているのであれば、今後どのような追加措置を検討されているのでしょうか、伺います。
282:
◯地域教育課長 今回の委託料改定の効果につきましては、毎年実施している事業者ヒアリングを通じまして、処遇改善を含めた効果を確認してまいります。その上で令和8年度以降の予算編成において、放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の実施の必要性について判断してまいります。
以上でございます。
283:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。放課後児童支援員処遇改善キャリアアップ助成金の実施は、江東きっずクラブの運営の安定性と人材の質を高めるという点で、確実に区民にメリットがあると考えておりますので、ぜひ早期実施に向けて前向きな検討を要望して終わります。
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