避難所Wi-Fiは一般家庭より貧弱な回線——大規模災害時に通信は機能するのか
目的
拠点避難所に配備されている公衆無線LANが、大規模災害時に実際に機能する設計になっているのかを検証する。回線の仕様・コストの妥当性を確認した上で、能登半島地震で有用性が示された衛星通信を含む、通信手段の多重化(マルチチャンネル化)を求める。
質問
- 拠点避難所の公衆無線LANはどのようなものか。コストも併せて問う。
- 契約している回線の仕様(速度)を問う。
- 200Mbpsの一般的な光回線で200台接続は実質的に機能しないのではないか、区の見解を問う。
- 一般的なフレッツ光の契約に1か所年間50万円のコストがかかる理由を問う。
- 大規模災害時に電柱倒壊等で光ファイバーが断線し、回線自体が使えなくなるリスクをどう考えるか。
- 衛星通信(スターリンク)の避難所への導入について、コスト面も含めた検討状況を問う。
答弁
事業概要とコスト(防災課長)
平成29年策定の公衆無線LAN整備方針に基づき区施設95か所に「江東フリーWi-Fi」を整備し、全体で年間約5,500万円。うち拠点避難所69か所分の維持管理経費は年間3,500万円、1か所当たり年50万円。震度5強で閲覧制限が自動解除され、体育館と昇降口の2か所のアクセスポイントで各200台の接続が可能と答弁した。回線は一般的なフレッツ光(200Mbps)の契約であるとした。
回線の実効性(防災課長)
200台が一斉に利用した場合には「十分に閲覧ができない、そういうリスクというのはあるかなと認識している」と答弁した。費用については、災害時に登録不要・制限時間短縮となるオプションや保守・コールセンター対応を含む委託契約であり、金額としては妥当と考えるとの答弁にとどまった。
災害時の断線リスク(防災課長)
東京都の被害想定でも電柱の倒壊やケーブルの損傷で通信機能が止まる想定が出ているとし、区としても「新たな通信手段の確保というのは必要だと認識している」と答弁した。
衛星通信の導入(防災課長)
スターリンクについては、東京都が輪島での対応が有効だったとして令和6年度予算に整備費を計上し、本区にも配備されると聞いていると答弁。通信手段の多様化は重要であり、衛星通信サービスはその一つの方策として、公衆無線LANとしての使用可否やコスト面も含めて調査研究するとした。
結果
避難所Wi-Fiが一般家庭よりも貧弱な回線で運用されている実態を質疑で確認し、区も一斉利用時に閲覧できないリスクと、災害時の断線を踏まえた新たな通信手段確保の必要性を認めた。衛星通信については、都の令和6年度予算による本区への配備予定が示され、区独自の導入についても調査研究するとの答弁を得た。今後、配備の実施状況と通信手段の多重化の進捗を委員会で確認していく。
その後の展開
区はこの質問で、200メガbpsの回線では多数の同時接続に耐えられないこと、大規模災害時には電柱倒壊や光ファイバーの断線により固定回線自体が使えなくなるリスクがあることを認め、通信手段の多様化は重要として、衛星通信サービスについてもコスト面を含め調査研究すると答弁した。
その後、令和6年度に東京都からスターリンク1台が本区に配備され、区は防災センター屋上で設置準備・動作確認・接続テストを実施した。区はこの検証により、地上インフラに依存しない衛星通信として災害時に一定の有効性と強靱性を有することを確認したと答弁している。
また、令和8年度予算案には本事業に約5,009万円が計上され、Wi-Fi6・オープンローミング対応の可搬型アクセスポイントへの機器更新と、固定回線からモバイル回線への切替えを含む事業の見直しが行われた。
一方、バックボーン回線を携帯回線に切り替える構成には、固定回線が持っていた携帯網からの独立性が失われるという新たな課題がある。この点については、令和8年度予算審査特別委員会の質問で改めて取り上げ、衛星通信との二重化と契約前の実機テストの実施を求めている。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
44:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。期待しております。
次の質問に移ります。
次は、総務費から、拠点避難所公衆無線LAN維持管理事業について伺います。
拠点避難所に公衆無線LANを配備しているということですけれども、どのようなものでしょうか。コストも併せて伺います。
45:
◯防災課長 公衆無線LANの事業の御説明になりますけれども、区では平成29年に策定しました公衆無線LAN整備方針というものに基づきまして、本庁舎をはじめ、区の公共施設95か所に公衆無線LAN、いわゆる江東フリーWi-Fiというものを整備しまして、年間のコストとしましては、全体で約5,500万円となってございます。拠点避難所のこの事業につきましては、拠点避難所69か所分の維持管理経費を計上してございまして、年間で3,500万円。1拠点避難所当たりは、年で50万円となってございます。
なお、拠点避難所では、平時、閲覧制限をかけてございまして、区のホームページしか見られませんが、震度5強を観測した場合には、自動的に制限が解除されまして、普通に御覧いただけるという形になります。また、拠点避難所では、体育館と昇降口の2か所にアクセスポイントを整備してございまして、それぞれ200台での接続が可能となっている、そういうものでございます。
46:
◯中島雄太郎委員 200台の接続が可能ということですけれども、この回線のいわゆる速さ、要するにどういった回線を契約しているのか、そこについて伺います。
47:
◯防災課長 この回線になりますけれども、いわゆるフレッツ光という一般的な光回線になりまして、それぞれアクセスポイントの回線のパイとしましては、200メガbpsというもので一般的な光回線の契約となっているところでございます。
48:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。200メガbpsって、一般的なフレッツ光ということで、これで200台が接続できるというのはあり得ない話なわけです。200メガbpsというのは、現在は、一般家庭、私のうちもそうですけれども、1ギガbpsぐらいの契約なわけであって、一般家庭の回線よりも貧弱な回線なわけです。恐らく200メガbpsですと、スマホ二、三台つないで誰かが動画を見たらもういっぱいいっぱいというような状況でして、これでは、いざ大規模災害が起きて避難所に避難民の方々が来られたときに、当然、通信というのは大変重要なわけです。安否確認、情報収集、あるいは、つかの間の娯楽、そういったことはほとんどできないというふうに私は考えるんですけれども、私のこの見解についてどう思いますか、伺います。
49:
◯防災課長 確かに昨今の、例えば動画の普及等によって、回線は非常に容量を使いますので、そういう意味では、200台の方々が、万が一、一斉にこのサービスを利用した場合には十分に閲覧ができない、そういう可能性というのは、リスクというのはあるかなと認識しているところでございます。
50:
◯中島雄太郎委員 その契約している回線自体は、一般的なフレッツ光なわけです。つまり、各家庭でも契約しているというもの。そういうものを契約していて、その費用が年間、69か所の拠点避難所で3,500万円。先ほど話がありましたけれども、年間50万円。月に直すと4万円強。普通のフレッツ光なんですよ、これ。何でそんな費用がかかるんですか、伺います。
51:
◯防災課長 これは全体的には委託契約ということで契約をしているものではございますけれども、普通の回線にプラスアルファでオプションがございます。平常時は制限時間60分での登録制となってございますけれども、災害時には制限時間が15分になると。登録も不要になって使えると。そういう仕組みになっています。切替えは、震度5強で災害モードに自動切替えで、オンライン上で切替えができるというような仕組みになってございます。災害時により多くの方々に利用しやすくなる機能が付加されているということになります。
また、契約につきましても、保守やコールセンターの対応も含めた契約となってございますので、拠点避難所、日頃、不特定多数の方が利用するような施設じゃないという、そういう特性もございますので、金額としては妥当だと考えているところでございます。
52:
◯中島雄太郎委員 分かりました。ちょっとしつこいですけれども、要するに普通のNTT回線なわけですよ。ただし、これ、拠点避難所で大規模災害が起こったときに使うということを想定しているわけなんですね。しかし、大規模災害が起こったときには、当然、電柱も倒れる。すると、光ファイバーは電柱から敷設されているわけですから、電柱が倒れて、あるいは建物が倒壊して光ファイバーが断線すれば、当然、この回線は使えないわけなんですけれども、そこについて、特に専用回線とかでもなくて、一般的な契約の光回線を契約していて、恐らく大災害時にはそういった全くつながらない可能性があるということについては、区としてどう考えているんでしょうか。
53:
◯防災課長 中島雄太郎委員御指摘のとおり、東京都の被害想定でも電柱の倒壊、ケーブルの損傷で通信機能が止まる。そういう想定も確かに出ているところでございますので、区としましては、やはりそういう状況も踏まえて、今後、新たな通信手段の確保というのは必要だと認識しているところでございます。
54:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。先般の大変痛ましい能登半島地震では、衛星通信のスターリンクの有用性が明らかになりました。ニュース報道等も幾つか出ております。このスターリンクというのは、全く電線、電柱とか、光ファイバーとか関係なく、このぐらいの人の力で、大人1人で持ち運べるアンテナと電源さえあれば、宇宙と通信して光回線並みの速度で通信できるという大変利便性の高いものです。これが直近の大規模震災においては非常に活躍している。現在も有効に活用されております。
現状のNTT回線がある。しばらくは使っていくということもいいと思いますけれども、災害時においては、やはり先ほど話もあったように、NTT回線が使えないという当然リスクもあるわけですから、重層的なチャンネル、要するにマルチチャンネルの情報ネットワークの整備が重要というふうに考えます。機材もアップデートをしていくべきで、衛星通信というものを避難所に導入する。昨今、今日も未明に千葉のほうで不穏な地震も続いております。災害というのは明日来るかもしれません。それに当たっては、やはり現状のNTTの回線では拠点避難所の通信というのは非常に不安なんです。ですから、早急に衛星通信を避難所に導入すべきというふうに私は考えておりますけれども、現状どう考えているのか、コスト面も含めて検討しているのかどうかというところを伺います。
55:
◯防災課長 衛星通信ですけども、今、中島雄太郎委員から御指摘がありましたスターリンクの整備につきましては、東京都が輪島での対応が有効だったとしまして、令和6年度の予算に整備費が計上されまして、本区にも配備されると聞いてございます。地震と水害という本区はリスクがある中で、通信手段の多様化というのは、御指摘のとおり重要だと考えてございます。新たなサービスですとか、災害の強靱性、また、コストについては追求していかなければならないと考えてございまして、衛星通信サービスはその一つの方策かなと考えてございます。いろいろサービスがあるようでございますので、情報収集をいたしまして、それが公衆無線LANとして使用が可能なのかですとか、また、そのコスト面も含めて調査研究させていただきたいと考えてございます。
56:
◯中島雄太郎委員 ぜひ、よろしくお願いします。
以上で終わります。
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