江東区議会議員 中島雄太郎

江東区議会議員|中島雄太郎

議会質問

防災 本会議 2026年6月11日

物価高騰下におけるマンション計画修繕への支援と在宅避難対策について

📋 この質問のポイント

目的

本区は分譲マンションのストック戸数が全国の市区町村で最多(13万2,149戸)です。物価高騰や人手不足で修繕工事費が上昇しており、総会で承認された計画修繕が発注できずに凍結される事例も生じています。区が防災の柱に据える在宅避難は、建物の基本性能が保たれていることが前提です。そこで、計画修繕の停滞を防災上の課題として捉え、区の認識と支援策を問いました。

質問

  1. 物価高騰と人手不足で計画どおりの修繕を進められないマンションが増える事態をどう認識し、実態をどの程度把握しているか。
  2. 計画修繕の停滞が在宅避難の前提を損なうという連関を、区はどう認識しているか。
  3. 区内マンション4,242件に対し登録81件(2%未満)にとどまる東京とどまるマンション制度は、計画修繕の停滞という課題に対して実効性を持つ制度か。
  4. 東京とどまるマンション登録マンションが行う計画修繕等に対し、区独自の助成制度を創設すべきではないか。

答弁

実態把握(都市整備部長)

修繕工事費は上昇傾向にあり、計画修繕の実施時期や施工内容の見直しを迫るなど、建物管理に影響を及ぼしかねないと認識していると答弁しました。一方、計画修繕は各管理組合が主体であるため区による網羅的な把握は難しいとし、区の事業等を通じて区民の声を聞きながら施策を検討するとしました。

在宅避難との連関(都市整備部長)

在宅避難は建物の安全性が前提であり、計画修繕の停滞は円滑な実施に影響を及ぼすおそれがあると認識していると答弁しました。既存の支援策として、計画修繕に関わる調査費用の助成、相談会、専門アドバイザー派遣を挙げました。

東京とどまるマンションの実効性(都市整備部長)

計画修繕の停滞で登録マンションの対策が不十分になれば、制度としての実効性の担保が難しくなることが懸念されると答弁しました。各マンションに計画修繕や日頃の管理を適切に行うよう促していくとしました。

区独自の助成(都市整備部長)

都が登録マンションの防災備蓄資機材購入費を補助していること、区がマンション管理計画認定制度等を推進してきたことから、区独自の助成制度を創設する考えはないと答弁しました。一方で、高経年マンションの増加を見込み、マンションニーズに応じた継続的な支援が必要との認識を示しました。

結果

区は、計画修繕の停滞が在宅避難の円滑な実施に影響を及ぼすおそれがあること、また東京とどまるマンション制度の実効性担保が難しくなる懸念があることを認めました。

一方、実態把握は「網羅的には難しい」、登録マンションへの区独自助成は「創設する考えはない」との答弁にとどまりました。継続的な支援の必要性については認識が示されています。

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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。

 大綱2点目、物価高騰下におけるマンション計画修繕への支援と在宅避難対策について質問いたします。
 民間調査会社の東京カンテイが本年1月に公表した調査結果によれば、分譲マンションのストック戸数が全国の市区町村で最も多いのは本区であり、その数13万2,149戸に上ります。本区はマンションという私的インフラの維持が日本のどこよりも重い意味を持つ自治体です。
 マンションの長期修繕計画は、10年単位で過去に建てた工事費の見積りを前提に、毎月の修繕積立金の額を設計しております。積立金は自動では増えず、増額するには管理組合総会での重い合意形成を要します。すなわち、長期修繕計画は、過去の物価水準に縛られたまま現在の物価高騰には追従できない構造になっているのです。
 そして、今、近年の急激なインフレ、資材価格の高騰、建設業の人手不足により、工事費は計画策定時の想定を大きく超えて上昇を続けております。その結果、計画に位置づけられ、総会で承認された修繕工事が見積りの高騰によって発注できず、凍結や延期に追い込まれるマンションが続出しかねません。現に、私が関わった区内のマンションでも、計画されていた共用部の長尺シートの張り替え工事について、当初見積りから数百万円単位の値上げがなければ受注できないと業者から伝えられ、工事の凍結が決定いたしました。これは個々の管理組合の努力不足ではなく、社会全体の物価高騰がもたらした構造的な問題です。
 そこでまず、区の認識と実態把握について伺います。物価高騰と人手不足により、計画どおりの修繕が進められないマンションが増加する事態を区はどのように認識し、その実態をどの程度把握しているのか伺います。
 次に、この問題が本区の防災戦略の根幹に関わる点を申し上げます。
 本区は人口の8割強がマンション住民であることを踏まえ、災害時の避難所の過密を防ぐため、在宅避難を防災対策の柱に据えてまいりました。しかし、その在宅避難が成り立つ大前提は、マンションの建物そのものが外壁、防水、給排水といった基本性能を健全に保っていることであります。計画された修繕が物価高騰によって先送りされ、建物の劣化が放置されれば、在宅避難の前提そのものが足元から崩れてまいります。すなわち、マンションの計画修繕がインフレで滞る事態は、単なる各管理組合の家計の問題ではなく、区の防災戦略の根幹を揺るがす問題なのです。区は、計画修繕の停滞が在宅避難の前提を損なうというこの連関をどのように認識しているのか伺います。
 その上で、区が支援の中心に据えてきた制度について伺います。
 本区は、マンション防災の中心に、東京とどまるマンションを位置づけてまいりましたが、その登録は、区の実態調査による区内のマンション4,242件に対し、僅か81件、2%にも満たない水準にとどまっております。これは都内のどの自治体でも一様に見られる低迷であり、現行の制度が管理組合が真に必要とする支援を欠いていることのあらわれではないでしょうか。区は、この東京とどまるマンションが計画修繕の停滞という課題に対して十分に実効性を持つ制度となっているのか、その実効性をどのように認識しているのか伺います。
 その上で、区独自の支援策について提案いたします。東京とどまるマンションに登録したマンションが行う在宅避難の前提を支える計画修繕等に対して、区が独自に助成する制度を創設すべきと考えますが、区の見解を伺います。
 これは物価高騰で凍結されかねない修繕を後押しすると同時に、未登録マンションへの強力な登録インセンティブともなり、かつ対象が登録済みに限られるため、財政負担も限定的な費用対効果の高い施策です。区は都のこの制度を自ら推奨してきた以上、それを実効あるものへ育てる責任があります。日本一のマンションストックを抱え、在宅避難を防災の柱とする本区こそ、その認識を区独自の支援という具体的な行動へと進めるときに来ているのではないでしょうか。区民の生命と暮らしの安全を守るための前向きな答弁を期待し、次の質問に移ります。

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