101億円の繰入金減額と5,000円給付・入札不調──令和7年度補正予算第5号を総括質問
目的
令和7年度一般会計補正予算(第5号)は年度末の計数整理だが、そこには区の財政運営の制度や行政としての判断基準が表れる。限られた財源が、今の区民生活のために最適なタイミングで最大限の効果を発揮しているかという観点から総括質問を行った。
質問
- 税収等の上振れにより基金繰入金を約101億円減額し、100億円以上の余剰が生まれた中、他区が1万円相当の給付を行う中で全区民ポイント給付を5,000円にとどめた理由
- 増収分の多くを基金の温存に充てたことについて、緊急時における財源活用の優先順位の認識
- 土木費34億1,000万円の減額のうち、入札不調により着工に至らなかった事業の金額と、工事の遅れに対する区の認識
- 新庁舎建設をはじめとする大規模プロジェクトにおいて、「資金はあるがつくれない」事態を回避するための具体的戦略
答弁
給付水準の設定根拠(財政課長)
補正予算全体で国の交付金と同程度の一般財源(約20億円)を活用することで給付可能な額として、逆算的に5,000円と設定したと答弁。プレミアム付商品券やエネルギー対策補助金と合わせた総合的な対策として十分な内容との認識を示した。
緊急時の財源活用(財政課長)
特別区税・特別区交付金は景気変動に左右されやすく、義務的経費の増加や公共施設の将来需要を踏まえれば、一定の基金確保は安定的な区民サービス提供に不可欠と答弁。物価高騰下の支援と健全な財政運営の両立が何より重要との認識を示した。
入札不調の規模と対応(計画推進担当課長)
令和7年度最終補正における土木費減額のうち3億5,682万1,000円が入札不調による工事の遅れに起因すると答弁。工事の遅れは区民の暮らしに直結する大きな問題と受け止めており、令和8年度予算では最新の実勢価格や将来の物価上昇を見込んだ予算措置を行い、不調回避に努めるとした。
施工体制の確保(計画推進担当課長・新庁舎整備推進室長)
区内事業者との意見交換を踏まえ、令和8年度以降の工事について主要ハード事業の全体調整による発注時期の平準化を実施したと答弁。あわせて、長期計画の工事予定にアクセスしやすくするホームページの構成変更を予定しているとした。新庁舎については、デザインビルド(設計施工一括発注方式)を含む様々な事業手法を比較検討すると答弁した。
結果
5,000円という給付水準について、区の答弁は交付金からの逆算で設定したとの説明にとどまり、他区水準との差についての積極的な理由は示されなかった。一方、執行体制については、入札不調による未着工分3億5,682万1,000円という規模を確認したうえで、発注時期の平準化と、入札契約情報ページへの長期計画の工事一覧の掲載というホームページ構成変更の具体的な対応が示された。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
令和8年予算審査特別委員会 本文 : 2026-02-24
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117:
◯中島雄太郎委員 よろしくお願いします。江東新時代の会を代表し、令和7年度江東区一般会計補正予算(第5号)について総括質問を行います。
本補正予算は、年度末の計数整理ではありますが、ここには区の財政運営の制度や行政としての判断基準が如実に表れております。限られた財源が今の区民生活のために最適なタイミングで最大限の効果を発揮しているかという観点から質問をいたします。
まず、歳入と財源の活用について伺います。今回の補正第5号では、税収等の大幅な上振れにより、当初予定していた基金からの繰入金を約101億円も減額しております。結果として、100億円以上の余剰が生まれたわけです。将来への蓄えとして基金を確保すること自体は否定しませんが、問題は100億もの財源が浮くという読みの甘さと、その余力がありながら緊急時の政策実行が中途半端になっているという点です。
具体的に申し上げます。第4号補正で計上された全区民への5,000円相当のポイント給付の予算規模は約30億円であります。今回の補正で浮いた101億円を活用すれば、足立区や千代田区のように1万円給付を行っても、追加コストは約30億円で済み、それでもなお、70億円以上のお釣りがくる計算になります。他区では、千代田区、足立区、港区などが1万円相当の給付を行う中、本区がこれら他区の水準に見劣りする5,000円という額にとどめた理由を伺います。100億もの余剰金が発生する状況下で、なぜこの水準で妥当だと判断したのか、明確な答弁を求めます。
118:
◯財政課長 補正4号で計上いたしました5,000円相当の給付の水準といったところでございます。
まず、今回の補正5号における繰入金101億円の減額についてでございますが、歳入面における特別区税や特別区交付金の増収に加えて、歳出面では、決算を見据えた予算額の精査による減額により財源が創出されたことから、繰入金を減額したといったものになります。また、補正第4号で計上した暮らし応援給付事業ですが、物価高騰下の支援として実感していただけるような金額、かつ、補正予算全体、補正4号の全体で、国の交付金と同程度の一般財源を活用することで給付可能な額といたしまして、5,000円という金額を設定したものとなります。
さらに、本区におきましては、全区民を対象とした幅広い支援、今の5,000円も含めてですけれども、そのほかにもプレミアム付商品券ですとかエネルギー対策補助金などを同時に予算計上しておりまして、区民、区内事業者、地域経済といったところに効果が及ぶ総合的な対策の予算として取りまとめたといったところで、補正予算全体としては十分な内容になっていたというふうに認識してございます。
以上です。
119:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。様々なメニューがある中で、その一部として考えたときに、5,000円という水準になったというような答弁だったかと思うんですけれども、やっぱりまだちょっとよく分からないんですよね。5,000円の給付、区民の皆さん、大変感謝しておりますが、やっぱり中には1万円のところもあるのに江東区、ケチだねとか、そういうことを言う人もいるわけなんです。
そのときに、私としても、これこれこういう理由だから5,000円なんだと区民の方に説明したいという気持ちはあるんですけれども、なかなか、ではなぜ7,000円でなく、6,000円ではなく、1万円でもなく5,000円なのかといったところの論理的な説明というものがなかなか難しい。今の答弁を聞いても、と思うんですけども、改めてこの私の問題意識についてどう思いますか、伺います。
120:
◯財政課長 先ほどと繰り返しになる部分ございますけれども、国の交付金を活用し、かつ補正予算全体で国の交付金と同程度の一般財源、今回、補正4号で言いますと約20億円になりますけれども、それも活用することで給付可能な金額といったものが、ある意味、逆算的に考えたときに5,000円であったといったところで設定したところになっております。
以上です。
121:
◯中島雄太郎委員 分かりました。
今回の補正では、結果として増収分の多くが基金の温存へと充てられました。しかし、皆さんも御承知のとおり、今は深刻な物価高が続く有事であります。増収分を貯金に回して財政を厚くすることと、増収分を即座に区民生活の守りに投じること、この局面において、区民への直接支援を積み増すよりも貯蓄を優先したことが、今の苦境にある区民にとって本当に誠実な選択であったと言えるのか、緊急時における財源活用の優先順位について区の認識を問います。
122:
◯財政課長 緊急時における財源活用の優先順位でございます。物価高騰が続く状況におきまして、区の歳出面に対しても物価高騰の影響が出ていることを踏まえれば、物価高騰における適切な支援と、それから合わせて健全な財政運営といったものも、これを両立させるといったことがより重要になっている局面であるというふうに認識しております。
物価高騰下における支援につきましては、7年度においても積極的に実施しておりまして、当初予算におけるプレミアム付商品券やエネルギー対策補助金、また、補正4号における暮らし応援給付事業など、国や都の財源も活用しながら、区民や区内事業者の支援を継続して実施してまいりました。また、8年度予算におきましても、重点的な取組の一つとして物価高騰下における区民、区内事業者への支援を位置づけまして、積極的な施策展開を図っております。
一方で、本区の主要な財源でございます特別区税、それから特別区交付金はいずれも景気変動に左右されやすく、また、この間出ている税制改正の議論なども踏まえれば、決して楽観視できる状況ではないとも認識しております。また、区では扶助費等の義務的経費も増加を続けておりまして、仮に歳入状況が変わったとしても、義務的経費の財源は確保する必要があることですとか、また、公共施設の改築・改修等の将来需要を踏まえて、一定の基金確保につきましても、安定的な区民サービス提供には不可欠であると考えております。
区としては、財源をどちらか一方に偏らせるのではなく、物価高騰下における支援などの区民サービス向上はもちろん、将来に向けた健全な財政運営といったものと、この2つの両立、これが何より重要だと考えております。
以上です。
123:
◯中島雄太郎委員 バランスというところだと思いますが、もちろんそれは大事だとは思うんですけれども、本当に今の物価高騰というのは、極めて異常な事態になっていると思いますので、そこのところについては、従来の考え方のバランスではなく、もうちょっとフレキシブルに考えてもいいのかなと、私としては思います。
次に、移ります。次に、歳出について執行体制の課題を伺います。今回の補正では、土木費全体で34億1,000万円もの大幅な減額となっています。この減額の要因には、資材高騰や人手不足の影響も大きいと考えられます。
そこで2点伺います。まず、この減額分のうち、入札不調により着工に至らなかった事業の金額は幾らになるのか、具体的な規模を伺います。次に、この入札不調等による未着工分について、区はどのような認識をお持ちでしょうか。金額の多寡に関わらず、南砂の道路改修など、地域住民との約束であるはずの事業が滞っている現状は行政サービスとしての異常事態ではないでしょうか。この現状をどれほど深刻な区の経営リスクとして捉えているのか伺います。
124:
◯計画推進担当課長 まずは、1点目の具体的な規模でございますが、令和7年度の最終補正における土木費の減額のうち、3億5,682万1,000円が、入札不調による工事の遅れに起因するものとして減額しているところでございます。
次に、現状をどう捉えているかでございますが、公共工事は区民の皆様が安全・安心に暮らしていただくために必要なものであり、工事の遅れは区民の皆様の暮らしに直結する大きな問題であると受け止めているところでございます。そのため、これまでも入札不調が生じた場合には、直ちに原因究明の上、要件緩和や予算措置等の対応を行ったところで再入札を行うなど、影響の最小化に努めているところでございます。また、令和8年度予算におきましても、足元の資材価格及び労務費等の最新の実勢価格や将来の物価上昇を見込んだ予算措置を行っており、引き続き入札不調の回避に努めてまいります。
以上でございます。
125:
◯中島雄太郎委員 なかなか大変かと思うんですけども、よろしくお願いします。
最後に、未来への蓄えについて伺います。今回、公共施設建設基金へ約68億円を積み立てましたが、近隣自治体で、中野サンプラザの計画凍結や世田谷区役所の工期遅延が発生しているとおり、もはやお金があれば建物が建つ時代ではありません。
私は先日、豊島区で進んでいる池袋西口の再開発を手がける三菱地所のプロジェクトリーダーから示唆に富むお話を伺いました。現在、ゼネコンから手がなくて現場がつくれないと言われてしまえばそれまでであり、大規模プロジェクトになればなるほど、相当前から物件の着工順などの調整を行っておかなければ、計画どおりに進めることは不可能であるとのことでした。従来の設計、入札、着工という時間感覚は通用しません。竣工時期から逆算し、早い段階で施工体制のめどをつける、逆算の施工へのアップデートが不可欠です。
新庁舎建設をはじめとする今後の大規模プロジェクトにおいて、数年先を見据えた事業者との戦略的対話など、資金はあるがつくれない事態を回避するための本区の具体的戦略を伺います。
126:
◯計画推進担当課長 御質問のうち、新庁舎建設を除いた一般論の部分につきまして、私から御答弁させていただきます。
近年の入札不調の発生状況や区議会における御議論も踏まえまして、本区においても庁内で対応案の検討を実施してまいりました。その過程で、区内事業者との意見交換を実施しましたところ、発注時期のさらなる平準化がポイントとして挙げられておりましたので、令和8年度以降の工事につきましては、事業に支障のない範囲で主要ハード事業の全体調整を行いまして、発注時期の平準化を図ったところでございます。
また、情報発信につきましても、事業者の皆様が次年度以降の工事予定を掲載している長期計画の情報にアクセスしやすくなるよう、ホームページの構成変更を予定しているところでございます。
127:
◯新庁舎整備推進室長 それでは、新庁舎につきましては、私から御答弁させていただきます。
新庁舎建設に係る早期の施工体制確保ということでございますけども、例えば設計段階から施工者が計画に関わる設計施工一括発注方式、いわゆるデザインビルドなどがございまして、自治体の工事発注においても多数の実績がある発注方式がございます。また、設計建設維持管理運営を包括的に民間に委ねる方式など、従来の分割発注と異なりまして、施工業者が早期からプロジェクトに関わることによって、資材のほか、人的な手配を想定しながら進めるといった事業手法もございます。
新庁舎の建設に当たりましては、これらを含め、様々な事業手法を比較検討し、選択していく考えでございますけども、民間ノウハウの活用の側面に加えまして、業務内容に対する区民や区の意向の反映のしやすさ、あるいは財政負担の平準化など、バランスを見て総合的に事業手法を判断していきたいというふうに考えてございます。いずれを選択する場合におきましても、建設市場の動向を注視しつつ、最少の経費で最大の効果を上げることができるような手法を選択し、適正価格の算定にも努めてまいりたいというふうに考えてございます。
以上です。
128:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。新庁舎建設は建設市場の人手不足、資材高騰などで非常に市場環境が厳しくなっている中で、これをしっかり建てるというのは皆さんの腕の見せどころだと思いますので、ぜひ建設市場の動向を注視しつつ、取り組んでいただきたいと思います。
計画推進担当課長のほうからありました、建設事業者の皆さんが次年度以降の工事予定、長期計画の中の工事予定にアクセスしやすくなるように、ホームページの構成変更を予定しておりますというふうに答弁がありましたけれども、もう少しこの部分、ホームページの構成変更について詳しくお聞かせください。
129:
◯計画推進担当課長 入札参加事業者の方が本区のホームページを御覧になる場合には、直近年度の発注予定工事一覧というのが掲載されております、入札契約情報というカテゴリーにアクセスされることがほとんどだろうというふうに認識しているところでございます。
一方で、先ほど申し上げました長期計画の情報といいますのが、施策・計画という別のところにございまして、なかなか事業者の方がそこまで入ってこられるというのは想定しづらいのかなといったところがございましたので、先ほど申し上げました入札契約情報というページの中に、長期計画の先ほど申し上げた一覧のようなものを載せる形で、そこの情報にもアクセスしやすくなるようにといったところに対応していきたいといったところでございます。
以上でございます。
130:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。工事事業者、建設関係者の方々もやはり先を見通して、人の確保等々を行わなければ、なかなかうまく事業を回していけないという状況は、これは間違いなくあると思いますので、ぜひそういった事業者の方の声に耳を傾けて、長計の中の工事に限らず、事業者の方が必要としている情報を届けるというところについては、引き続き注力していただきたいというふうに思います。
以上で終わります。
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