低迷するがん検診受診率と今後の対策について
目的
がんは区民の死亡原因の第1位であり、受診率向上は区政の最重要課題の一つである。しかし本区のがん検診受診率は5がん全てで低調に推移している(国の目標値60%に対し、令和6年度は胃10.9%、肺5.6%、大腸20.9%、子宮頸29.2%、乳26%)。この現状への区の認識と、受診率向上に向けた目標管理・情報公開のあり方を質す。
質問
- がん検診受診率が5がん全てで低調に推移し、改善が見られない現状への区の認識
- 区が実施するがん検診の受診率について、目標値を設定していない理由
- 目標値がないままで、受診勧奨のアプローチの適否をどのように判断するのか
- 受診場所別(区の検診・職域・人間ドック等)の受診率の把握と、区民への公開
答弁
現状認識(歯科保健・医療連携担当課長)
がん検診は職域や人間ドック等でも受診されるため、区民アンケートを実態把握に活用しており、いずれかの場で受診したと回答した割合は令和5年度52.9%から令和6年度57.6%に増加傾向で、特に職場での受診が増えている。国の目標値60%には届いておらず、引き続き受診率向上に取り組むと答弁した。質疑を重ねる中で、肺がん・胃がん検診は他区と比べて区の検診の受診率が低く、受診率向上が必要との認識を示した。
区検診の目標値(歯科保健・医療連携担当課長)
区の検診は職域検診等を受けられない方などを対象としているため、区の検診に関しての目標値は設定していないと答弁した。国の調査では自治体実施検診の受診者は全体の2〜4割とされ、設定根拠となるEBMがないため設定できておらず、国の目標値60%を目指して取り組んでいるとの説明であった。
受診場所別の把握と公開(歯科保健・医療連携担当課長)
令和6年度のアンケートでは、職域21.1%、区の検診18.9%、人間ドック等17.6%で、がん検診を受けていない方が44%との内訳を答弁した。この受診場所別データは長期計画のアンケートとして公表済みであるとの答弁であった。
結果
区が実施するがん検診に受診率の目標値が設定されていないことが答弁で確認された。区は肺がん・胃がん検診の受診率が他区比で低く向上が必要との認識を示したものの、目標設定については設定根拠がないとの答弁にとどまった。港区が区実施検診の実績数値で目標管理を行っている例を挙げ、本区でも目標数値の設定と達成に向けた取組を求めた。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
330:
◯中島雄太郎委員 よろしくお願いします。低迷するがん検診受診率と今後の対策について伺います。
がんは、区民の死亡原因の第1位であり、とりわけ75歳未満での死亡は早過ぎる死として、社会的損失が大きいものです。統計的にも、がん検診の受診率が高い自治体ほど75歳未満年齢調整死亡率が低いという相関関係が示されており、受診率向上は区政の最重要課題の1つであります。
ところが、江東区のがん検診受診率は、5がん全てにおいて、令和4年度から令和6年度にかけて低調に推移し、改善が見られません。国は、がん検診の目標値を60%としているところ、本区の胃がん検診受診率は、令和4年度は10.2%、これが令和6年度は10.9%と横ばい。肺がん検診は、令和4年度は5.5%、令和6年度は5.6%と横ばい、都内最低水準。大腸がん検診は、令和4年度は22.2%、令和6年度は20.9%と微減。子宮頸がん検診は、令和4年度は26.2%、令和6年度は29.2%と微増。乳がん検診は、令和4年度27.2%、令和6年度26%と微減と、いずれも23区の平均か、それ以下にとどまっております。
特に大腸がん検診においては、プロセス指標において、令和4年度江東区は14.2%に対し、港区は26.7%、千代田区は25.5%とトップ区との差が10ポイント以上と大きく引き離されております。
そこで伺います。江東区のがん検診受診率がこのように5がん全てで低調に推移し、改善が見られない現状をどのように認識しているのでしょうか。
331:
◯歯科保健・医療連携担当課長 がん検診は、区が実施する検診以外に、職域や人間ドック等での検診があり、区の検診を優先して受診するわけではございません。このような状況におきまして、実態把握の方法の1つとして、区民アンケートを活用しておりまして、アンケート調査の結果では、50%程度の方がいずれかの場で、がん検診を受診していると回答しております。
しかしながら、国の目標値であります60%には届いていないため、引き続き受診率の向上を目指し取り組んでまいります。
332:
◯中島雄太郎委員 がん検診の受診率が低調に推移して改善が見られないことに対して、どう考えているかと聞いているのです。それに対して答えてください。
333:
◯歯科保健・医療連携担当課長 先ほどのアンケート調査で、令和5年度は52.9%の方がいずれかの場でがん検診を受診していると回答していたのが、令和6年度の結果では57.6%と増加傾向にございます。特に職場での受診が増加しており、がん検診を受けていないという方は減少しております。
ただ、先ほども申し上げたように、国の目標にはまだ到達しておりませんので、引き続き取組を進めてまいります。
334:
◯中島雄太郎委員 区民アンケートの結果、がん検診受診率が最新では52.9%から57%に伸びたと。しかしこれは、区民アンケートの結果というのは、区の行うがん検診のパーセンテージプラス、区民が自ら職場等で受けたがん検診のパーセンテージ、人間ドックで受けたパーセンテージ、これの合算が52.9%という自己申告の数字なんです。
私が聞いているのは、区の行っているがん検診の受診率が低迷しているのはなぜなのかということを聞いているわけなんです。そこに対して答えてください。
335:
◯歯科保健・医療連携担当課長 先ほども申し上げましたように、職域でのがん検診の受診の方が増えているような傾向がございますので、もしかしたら、そのために区の検診の受診ではなくて、職域で検診を受診されている方が増えたのかもしれませんが、そこのところは、きちんとした調査がまだできないので仮説にしかなりませんが、一応そういうふうには思っております。
336:
◯中島雄太郎委員 ちょっと分かりにくいんですけれども、行政評価においては、本区のがん検診受診率というのは、最新では52.9%と示されているんです、目標値が60%に対して。しかしこれは、あくまで区民アンケートにおいて、この1年でがん検診を受けたかどうかという問いに対して、イエスと答えた人のパーセンテージであるわけです。
国の指針でも、住民アンケートの自己申告を受診率として用いるということは認めておりますので、そこについては否定するものではありませんが、全体のがん検診の受診率というのは、区の行うがん検診の受診率プラス、職場でのがん検診の受診率が積み重なって向上していくものなわけですね。それで、先ほどの答弁では、職域での、いわゆる勤務先での受診が増えたから、全体としての数字は伸びたかもしれないとおっしゃっているんですけれども、じゃあ、職域での受診率が伸びたからといって、区の検診の受診率が伸びなくていい、伸ばさなくていいということにはならないわけですよ。そこについて見解を伺います。
337:
◯歯科保健・医療連携担当課長 決して、区の検診の受診率が低くていいとは申し上げていなく、全体の受診率として、国の目標値である60%を目指して取り組んでいるということでございます。区の行っている検診も、もちろんまだまだ受診率が低いので、受診率向上に努めてまいります。
338:
◯中島雄太郎委員 それでは伺いますが、区の検診の受診率の目標というのは何%なんですか。
339:
◯歯科保健・医療連携担当課長 先ほども申し上げましたように、区の検診、職域検診、人間ドック等のいずれの場で受けても構わないし、一応、区の検診は職域の検診を優先して、それで職域の検診を受けられない方などを対象に区の検診を行っているので、特に区の検診に関しての目標値というのは設定しておりません。
340:
◯中島雄太郎委員 区の検診の受診率の目標を設定していないというのは、極めておかしなことだと思うんですよね。目標値を設定せずに毎年がん検診をやっていて、例えば、肺がん検診に関しては5.6%という数字なんですけれども、目標値がなければ、これに対してどう伸ばしていくのか、あるいは、対象者に対しての受診勧奨のアプローチが適切なのかどうかというのは分からないと思うんですけども、その辺はいかがですか。
341:
◯歯科保健・医療連携担当課長 確かに肺がん検診や胃がん検診は、ほかの区と比べて区の検診の受診率が低いので、まだまだ受診率向上が必要かと思います。
342:
◯中島雄太郎委員 そのとおりなんですけど、ですから、まだまだ受診率の向上が必要だと思いますという認識であるならば、目標数値を定めないと、どう取り組んだらいいのかも分からないと思うんですけれども。
343:
◯歯科保健・医療連携担当課長 目標値を定めるというのですが、目標値を設定する根拠が今のところ国の調査では、自治体が実施する検診の受診者は、全体の2割から4割といわれておりますので、その幅広い中でどういうところを目標設定していいのかというのは、うまくEBMがないので、なかなか設定ができないでおります。そのため、国の目標値であります60%というのを目指して、受診率の向上に努めているところです。
344:
◯中島雄太郎委員 分かりました。港区というのは受診率が高いんですね、先ほども述べたように。しかし、港区は行政評価において、区の実施するがん検診の受診率を明確に実績数値を用いて、それで目標に対して取り組んでいるわけです。それが当たり前だと思うんですよ。職域の検診があるから、区のがん検診の受診率は目標を定めなくていいということにはならないと思うんですよね。やはり目標を設定して、きちんとそれに向かって、それを評価し、努力しているから港区は高い受診率を誇っていると私は思うんです。ですから本区においても、しつこく繰り返しませんけれども、区の行うがん検診受診率に対して、きちんと目標数値を定めて、それを達成するための取組を行ってほしいと思います。
千代田区においては、行政評価において、本区と同様に区民アンケートを用いてはいるんですけれども、千代田区では、区の検診、勤務先の検診、人間ドックその他等、詳細にどこで何%の受診率があったかということを把握して、それを公開しているわけなんですね。
本区においても、先ほどからの議論があるように、区の検診、職域での検診等々があって、総合的にそれを合計したものの目標値が60%だというのであれば、千代田区のように区の検診、勤務先の検診、人間ドック等々をアンケートにおいては、やはりそこまで、そこまでと言ってもそこまで細かくないですけれども、そこぐらいまではやはり把握して、区民に対して公開すべきではないかと思うんですけれども、見解を伺います。
345:
◯歯科保健・医療連携担当課長 先ほど申し上げたように、区でも千代田区のように受診場所を区別したアンケートを実施しておりまして、その結果、令和6年度は区の検診のほか、職場、人間ドックのいずれかで検診を受けている人が57.6%、それから、職域でがん検診を受けていらっしゃる方が21.1%、区のがん検診を受けていらっしゃる方が18.9%、人間ドック等ほかのがん検診を受けている方が17.6%。ただ、がん検診を受けていないという方が44%ございますので、引き続き受診率の向上に取り組んでまいります。
346:
◯中島雄太郎委員 分かりました。職域等で分けた受診率についても、一応把握はされているということですけれども、それというのは、どこかで公表はされているのですか。
347:
◯歯科保健・医療連携担当課長 長期計画のアンケートでございますので、公表してございます。
348:
◯中島雄太郎委員 分かりました。ちょっと私はそれを見たことがなかったので、改めて確認をしてみます。
いずれにしても、自治体の受診率を上げて、がんによる死亡を減らすことが区政の最重要課題ですので、取り組んでいただきたいと思います。次の質問に移ります。
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