マンション投機と空室率上昇を踏まえた本区の住宅政策について
目的
本区の中古マンション平均価格は10年で約7割上昇し、国内外からの投機マネー流入により、住宅が実需から離れた投機対象となりつつある。千代田区の登記簿調査では新築マンション所有者の7割が非居住という実態も明らかになった。投機による空室率上昇は、実需層の居住困難と、防災力低下・管理不全・区財政への悪影響という二重の問題をもたらす。本区における実態把握と対応策を問うた。
質問
- 区内マンションへの投機マネーの流入や空室率の実態を把握しているか。把握していないのであれば早急に把握すべきではないか。
- 空室率の上昇がもたらす本区への影響をどのように認識しているか。
- 地元出身の子育て世帯が区内で住宅を取得できず区外に流出している状況を把握しているか。
- 「江東区に住み続けたいのに住めない」という声をどのように認識しているか。
- 区営住宅や中堅所得者向け住宅の供給、あるいは投機の抑制策を導入すべきではないか。
答弁
投機・空室率の実態把握(都市整備部長)
国や民間企業の調査結果等を活用して不動産市況や空室率の把握に努めているが、投機的取引と判断する明確な基準がないなどの課題から、体系的な調査は実施していない。他自治体の事例を参考にしながら、投機実態等の把握方法について研究するとした。
空室率上昇の影響
国の調査によると令和5年度の区全体の空室率は23区で最も低く、住宅ストックは有効に活用されていると認識。一方で空室率が上昇すると、建物の維持管理や合意形成、防災・防犯活動など区民生活への影響が懸念されるとし、動向を注視しながらさらなる住宅施策を検討すると答弁した。
子育て世帯の区外転出と定住意向
子育て世帯の近隣県への転出は住民登録により確認しており、若年層の流出に対して強い危機感を持っていると答弁。転出理由は不動産価格以外の要因も考えられるとした上で、子育て世帯のニーズ把握と住宅施策の充実を検討するとした。区政世論調査では区民の定住意向は9割に上り、重要な指針として全庁一丸で取り組むと答弁した。
住宅供給・投機抑制策
区内には公営住宅やUR賃貸住宅など公的住宅が23区中2番目に多く整備されており、区として新設する予定はないが、都が今後取り組むアフォーダブル住宅の供給において必要な連携を図ると答弁。投機的な住宅取得の抑制は区のみでの対応には限界があるため、国や都の動向を注視しながら区が取り組むべき施策を研究するとした。
結果
投機実態の体系的な調査は未実施であることを区が認め、把握方法の研究に着手する姿勢を確認した。若年層流出への「強い危機感」の表明、都のアフォーダブル住宅供給との連携方針は確認できたが、投機抑制策・住宅供給とも具体策は研究・検討段階の答弁にとどまった。実態把握の進捗を、引き続き委員会で確認していく。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
令和7年第3回定例会(第10号) 本文 : 2025-09-19
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25:
◯6番(中島雄太郎議員) 江東新時代の会の中島雄太郎です。大綱3点について質問いたします。
1点目、マンション投機と空室率上昇を踏まえた本区の住宅政策について質問いたします。
私は、豊かな水辺と都心への近接性を誇り、多くの人々が暮らし続けたいと願う江東区の住宅市場の現状について、強い危機感を抱いております。ここ数年、臨海部を中心にマンション価格は急騰し、その波は、中古市場を含めて区全体に広がっています。本区の中古マンション平均価格は、ここ10年で約7割上昇しており、直近3年でも依然として年10%程度の上昇を続けています。資産価値が上昇することは、一見喜ばしいことのように思えます。しかし、その内実は、国内外からの投機マネーの流入による影響が大きく、本来、区民の居住のために供給されるべき住宅が、実需から離れた投機対象となっているのです。事実、本年、千代田区が実施した調査では、千代田区内の新築マンション2棟を対象に登記簿を調べた結果、所有者の7割が実際には居住しておらず、転売目的等の投機による購入である可能性があるという驚きの実態が明らかになりました。これは決して千代田区だけの特殊な事例ではなく、本区臨海部でも同様の状況が進行していると考えざるを得ません。
とりわけ懸念されるのは、投機マネー流入によってマンションの空室率が上昇することです。空室率の上昇には二重の問題があります。
第一に、江東区に住み続けたいのに住めないという実需層の居住困難です。こどもの頃から区内で育ち、結婚して家庭を持ち、地元でマイホームを購入したいと願っても、投機による価格上昇と供給の硬直化により購入がかなわず、やむなく区外に流出してしまうケースが現実に生じています。
第二に、防災力の低下や管理不全、さらに区財政や地域経済への悪影響です。居住者が少ないと災害時の共助力が弱まり、管理組合の担い手不足によって建物の維持が難しくなります。人口が減れば地域経済の需要も落ち、区の住民税収の減少を通じて財政にも影響が及びます。
このように、投機による価格高騰と空室率の上昇は、江東区の持続可能性を揺るがす重大な課題です。区民の多くは、江東区に住み続けたいとの強い定住意向を持ちながらも、現実には、住宅取得の困難さから区外に流出する世帯が生じています。資産価値上昇の光だけではなく、影としての区民の流出やコミュニティの脆弱化に正面から向き合う必要があります。
そこで伺います。区は、区内マンションへの投機マネーの流入や空室率の実態について把握しているのでしょうか。また、把握していないのであれば、早急に把握すべきと考えるが、区の見解を伺います。
空室率の上昇がもたらす本区への影響について、区はどのように認識しているのでしょうか、伺います。
地元出身の子育て世帯が区内で住宅を取得できず、区外に流出している事例が生じていますが、区はこの状況を把握しているのか伺います。
江東区に住み続けたいのに住めないという声に対して、区はどのように認識しているのか伺います。
住宅価格高騰による「住みたいのに住めない」問題を緩和するために、区営住宅や中堅所得者向け住宅の供給、あるいは、実需ではない投機の抑制策を導入すべきと考えるが、区の見解を伺います。
江東区は、臨海部の再開発によって華やかな都市景観を得ました。しかし、その裏で、地元の人が地元に住めないまちになりつつある現実があります。資産価値の上昇を喜ぶ一方で、その影の部分である区民の流出や空室率上昇の弊害を見過ごすことはできません。区として、誰もが住み続けられる江東区を守るための具体的な施策を早急に検討、実行するよう強く求め、次の質問に移ります。
27:
◯都市整備部長(立花信行) 次に、マンション投機と空室率上昇を踏まえた本区の住宅政策についてです。
まず、区内のマンションへの投機的な資金の流入や空室率の実態の把握についてです。
区では、国や民間企業の調査結果等を活用して、区内における不動産市況や空室率の把握に努めているところですが、投機的な不動産取引の把握に当たっては、投機的取引と判断する明確な基準がないなど課題があることから、現時点では体系的な調査は実施しておりません。区といたしましては、他自治体の事例を参考にしながら、投機実態等の把握方法について研究してまいります。
次に、空室率の上昇が区に与える影響についてです。
国の調査によると、令和5年度において、区全体の空室率は23区で最も低く、区内の住宅ストックは有効に活用されているものと認識しております。一方で、空室率が上昇すると、マンション等における建物の維持管理や合意形成、防災や防犯活動など区民生活への影響が懸念されます。
区としましては、引き続き、区内における空室率の動向等を注視するとともに、マンションの管理に係る支援等を通じ、良質なストックの形成を図るなど、空室率の維持に向けたさらなる住宅施策を検討してまいります。
次に、子育て世帯の区外転出に係る把握についてです。
子育て世帯の近隣県への転出は、区として住民登録により確認しており、本区の未来を担う若年層の流出に対して強い危機感を持っております。
一方で、区民の転出理由は、介護等の家庭の事情や転勤、働き方の変化による価値観の多様化など様々であり、子育て世帯の転出は不動産価格以外の要因も考えられるものと認識しております。
区としましては、子育て世帯による区外転出の抑制に向けて、区民の声に耳を傾けながら、子育て世帯のニーズを把握するとともに、住宅施策においては、子育て世帯に対する施策の充実を検討してまいります。
次に、「住み続けたいのに住めない」という声に対する区の認識についてです。
令和5年度の区政世論調査では、区民の定住意向は9割に上っており、江東区に住み続けたいという思いは区政にとって重要な指針であると受け止めております。
区としましては、区民の定住意向に寄り添った施策を多角的に展開する必要があるものと認識しており、今後も全庁一丸となって取り組んでまいります。
次に、区営住宅や中堅所得者向けの住宅供給並びに投機的住宅取得の抑制策についてです。
区内には公営住宅やUR賃貸住宅など公的住宅が23区中2番目に多く整備されており、公的住宅等を区として新設する予定はありませんが、都が今後取り組むアフォーダブル住宅の供給において、区として必要な連携を図ってまいります。
また、投機的な住宅取得の抑制については、区のみでの対応には限界があるため、国や都の動向を注視しながら、区が取り組むべき施策について研究してまいります。
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