年間約5,000万円のことみせ事業、成果指標は「登録店舗数」だけでよいのか
目的
ことみせ事業には年間約5,000万円の予算が投じられているが、事業実績報告書の評価指標は登録店舗数であり、店舗の売上げや集客の増加といったアウトカム指標が設定されていない。税金投入の妥当性を区民と議会に説明する観点から、効果検証の実態と成果指標のあり方を質す。
質問
- 登録店舗数以外に、売上向上や集客増加といったアウトカム指標を用いた効果検証を実施したことがあるか
- 店舗向けアンケート(回答率約20%・満足58%)を事業成果の根拠とすることの妥当性
- クーポン利用実績や店舗ごとの売上・来客数の推移など、具体的な成果指標の新設と継続的な効果測定・事業改善
- 掲載の有料化(月500円程度)により事業の需要を可視化し、予算規模を適正化する提案への見解
答弁
効果検証の現状(経済課長)
登録店舗数は活動量の一つの指標であり、それだけで事業全体の成果を判断しているわけではないとした上で、フリーマガジンへの追加配布要望、ウェブサイトの月平均約5万5,000件のアクセス(令和2年度をピークに減少傾向)、店舗アンケートの満足58%、イベント時のパネルアンケートで約8割の事業認知などを総合的に踏まえて評価していると答弁した。
アンケート評価の限界(経済課長)
回答率20%は高い数字とは考えておらず、回収は課題であると認めた。一方で、事業を進める中で不満などの声は現状聞いていないとして、一定程度の理解は得ているとの認識を示した。
成果指標の新設(経済課長)
売上げは業態・立地・季節要因など様々な要因が影響するため成果評価は難しく、クーポン利用実績の管理報告は店舗の負担につながることから慎重な検討が必要とした。その上で、より効果的な成果指標の在り方については改めて検討したいと答弁した。
有料化の提案(経済課長)
現在は登録時に1,000円の負担を求めている。有料化は事業の需要を測定し参加店舗の意欲を把握する手法として一定の意義があるものと受け止めるとした。ただし本事業は多様な店舗の魅力を広く発信することを目的としており、意欲の高い店舗に限定した展開は現時点では予定していないと答弁した。
なお、質疑の結びで求めた指標設定などの具体的な改善策は要望として述べたものであり、これに対する答弁はない。
結果
区はアンケート回答率20%を課題と認め、成果指標の在り方を改めて検討すると答弁した。有料化提案には需要測定の手法として一定の意義を認めたものの、導入は予定なしとの答弁にとどまった。年間約5,000万円の事業に対する効果測定と説明責任の問題として、指標設定の検討状況を引き続き確認していく。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
ことみせ事業の費用対効果と効果検証の在り方について伺います。
本事業、ことみせは、江東区の魅力ある商店を区内外に発信し、地域経済の活性化に寄与することを目的として、年間約5,000万円の予算が投じられております。しかし、事業実績報告書における評価指標は、ことみせ登録店数であり、事業本来の目的である店舗の売上げや集客の増加といった、いわゆるアウトカムを示す指標が設定されておりません。これでは、本事業が本当に掲載店舗の売上げや集客の増加につながっているかの効果を測定できず、税金投入の妥当性を客観的に判断することが困難であります。特に区民と議会への説明責任の観点からも、具体的な成果指標を示していない現状は大きな問題があると考えます。
そこで伺います。ことみせ事業について、これまで登録店舗数以外に、例えば、店舗の売上げ向上や集客増加といった、事業の成果を図るための具体的なアウトカム指標を用いた効果検証を実施したことがあるのでしょうか。あるならば、その具体的な内容と結果についてお示しください。
349:
◯経済課長 ことみせ事業につきましては、区内の魅力ある店舗を広く発信いたしまして、地域経済の活性化を図ることを目的としておりまして、長期計画に基づく主要事業として位置づけ、年度ごとの活動量を定めて進行管理を行っているところでございます。
登録店舗数は、その活動量の1つの指標として設定してございますが、施策の進捗状況を把握するための参考でございまして、それだけで事業全体の成果を判断しているわけではございません。実際には、事業の実施状況や店舗からの御意見、区民の反応など様々な要素を総合的に踏まえて評価を行っているところでございます。
例えば、フリーマガジンの配架状況につきましては、設置先から追加配布の要望が多く寄せられておりまして、発行部数の増加につながっているものと認識をしてございます。また、ウェブサイトのアクセス数につきましては、月平均約5万5,000件ありますが、令和2年度をピークに減少傾向にあることから、情報の更新や構成の見直し等の改善に向けた取組の必要性を感じているところでございます。
また、店舗向けアンケートにつきましては、回答率は例年20%前後となっているところですが、満足、とても満足と回答された店舗が58%ございまして、集客効果を実感した取組としては、情報誌とのお答えが半数を占めている状況でございます。
そして、区民向けのイベント開催時にパネルアンケートも実施しておりまして、直近では約8割の方に事業を認知いただいているとの結果が得られており、一定の事業周知の効果が得られているものと評価をしているところでございます。
以上でございます。
350:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。毎年アンケートを実施していると。おおむね20%の回答率であると。そして、満足していると答えた割合が58%であると。
しかし、これを考えていただきたいのですけれども、そもそも8割の方がアンケートに回答していないということ自体が、お店がこのことみせ事業を、自分の事業につながりのあるものと感じていないことの証拠ではないかと思うのです。アンケート結果は、昨年度は、ことみせの登録店舗数が1,033件なんですけれども、1,033件のうち20%が回答して58%が満足と答えたというのは、一見多いようですけれども、実のところ1,033件に対して明確に満足していると答えた件数は、120件に過ぎないわけですね。ですから、9割以上の店舗については、満足であるとは示していない。つまり、ことみせに対して、あってもなくてもどっちでもいいと考えている可能性もあるわけなのです。ですから、20%の回答率に対して58%が満足しているという結果は、ことみせの事業の成果を示すものではなくて、むしろ、ことみせというものが、登録店舗に経済的価値を与えていないことの決定的な証拠ではないかと私は考えるのですが、どうであるか見解を伺います。
351:
◯経済課長 アンケートの回答率につきましては20%ということで、我々としてもこちらは高い数字とは考えておらず、今後はきちんとアンケートを回収していくということは、1つの課題であると考えているところでございます。
ただ一方で、事業者自身も事業運営にかなり大変な思いをしているところもございますので、そこの店舗への負担というところも考えて、アンケートの内容・項目といったところは考えて、より返していただくような方法を考えていく必要があるかなと考えているところでございます。
ことみせ事業全体の評価でございますけれども、あくまでアンケートの結果は、抽出した上でのパーセンテージを示しているものでございますので、中島委員もおっしゃるとおり、お答えいただいていないところについては不明ではあるんですけれども、特に事業を進めていく中で、不満とかそういった声も現状では聞いていないところですので、一定程度の御理解はいただいているものと認識してございます。
以上です。
352:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。
アンケート等で事業の成果というのを測定しているということですけれども、やはり明確に数字で分かるという指標がないと、5,000万円もの税金を投入しているわけなので、区民の理解にも、やはりなかなか本当に5,000万円をかける価値があるのかどうかというところは、説明がつかないと思うんですよね。ですから今後、事業の本来の目的、掲載店舗の客数を伸ばす、売上げを伸ばすといった本来の目的の効果を上げているかということをはかるために、クーポン利用実績、店舗ごとの売上げや来客数の推移など具体的な成果指標を新たに設定して、継続的な効果測定と事業改善に取り組む考えがあるのでしょうか、見解を伺います。
353:
◯経済課長 売上げの推移ですとか、クーポン利用実績で成果指標を考えてみてはどうかという御質問だと思います。
売上げ等につきましては、店舗ごとの業態や立地、季節要因など様々な要因が影響するものでございますので、そちらで事業の成果を評価することは難しい面があると考えてございます。
また、クーポンの利用実績につきましては、以前の店舗向けのアンケートにおきまして、クーポンを使われたことがありますかという質問はしたことがございますが、今現状、1枚1枚、何枚使われたかですとか、そういった利用実績の管理報告等を店舗側に求めることは店舗側の負担にもつながることから、その実施には慎重な検討が必要かと考えてございます。
評価につきましては、先ほど御答弁したとおり様々な事業の実施状況、また店舗からの評価などを踏まえて、総合的な視点で事業の成果を評価しているところでございます。
また、成果指標の持ち方につきましても、主要事業を管理する企画課とも相談をしながら決めたところでございますが、今後につきましては、より効果的な成果指標の在り方については、改めてまた検討していきたいと思います。
以上です。
354:
◯中島雄太郎委員 クーポンの利用実績の把握などは、店舗の負担にもなることからそれを考慮しなければいけないということは、確かにそれはそうなんですけれども、しかし一方で5,000万円もの税金を投入しているわけなので、それに対する区民への説明責任、議会への説明責任というものがあるわけですから、やはりそこのところは店舗への配慮ということばかりを優先するのではなく、やはりきっちりと説明責任を果たしていただくような効果測定をお願いしたいと思います。
私はここで1つ提案をするんですけれども、現状、なかなか実際に客数につながっているか、売上げにつながっているかというのは把握が困難ということですので、いっそのこと、ことみせを有料化してはどうかと思うんですよ。月に500円、年間6,000円ぐらいの掲載料を取る。そうすることによって、月500円であれば、お客さんが1人、2人来ればペイできるわけですから、本当にことみせに価値を感じている、ことみせがないと困るという店舗には、払っていただけると思うんですよね。それによって、ことみせに対して本当にどれぐらいの需要があるのか、ことみせがどれぐらい必要とされているのかということが、明らかになると思うのです。
それによって、本当にことみせを必要としている店舗にサービスを集中することによって、コストパフォーマンスも上がりますし、当然、予算規模も適正化されると思います。現状の課題である効果測定の曖昧さを解消し、事業の費用対効果を高める効果があると思うんですけれども、この有料化案に対して見解を伺います。
355:
◯経済課長 現在、ことみせ事業の参加に当たっては、月額費用というものは設定しておりませんが、登録時には1,000円の御負担をいただいているという状況でございます。また、登録後のこの事業への関与度合いにつきましては、中島委員御指摘のとおり、店舗ごとに差があることは区としても認識をしているところでございます。
御提案の有料化につきましては、事業の需要を測定し、参加店舗の意欲を把握する1つの手法として一定の意義があるものと受け止めております。しかし、本事業は区内の多様な店舗の魅力を広く発信するとともに、個店同士の連携による取組を支援することで、地域全体の活性化を図ることを目的としているものでございます。そのため、意欲の高い店舗に限定した展開につきましては、現時点では予定はございません。
現状としましては、ホームページやSNSを持たない小規模店舗ですとか、また、事業への協力に余裕がない店舗につきましても、魅力的な店舗はあるものと考えておりまして、そうした店舗にも御参加いただけるように、区としては引き続き積極的に呼びかけをしてまいりたいと考えております。
以上です。
356:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。必ずしも客数であるとか、売上げであるといった数字ばかりではなくて、様々な効果を狙ってこの事業を行っているという説明は理解いたします。しかし、繰り返しになりますけれども、5,000万円を投入する価値があるのかどうかというところについては、やはり曖昧さを残してはいけないと思いますので、そこについては指標を設定するなど具体的な改善策を求めて、私の質問を終わります。
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