人間ドック助成は医療費削減につながるか──特定健診との効果比較検証と助成額引き上げを提案
目的
本区は特定健康診査を受診せず人間ドックを受けた区民に8,000円を助成しているが、23区でこの助成を行っているのは7区のみ。区民の健康管理の選択肢を広げる取組として評価しつつ、人間ドック受診が生活習慣病の早期発見・医療費削減につながっている可能性をデータで検証し、助成事業を戦略的に運用すべきではないかを問うた。
質問
- 人間ドック助成の過去3年間の助成件数と特定健康診査対象者に占める割合、特定健診受診率の推移との比較を問う。
- 令和7年度予算で助成件数1,018件を見込んだ積算根拠を問う。
- 特定健診受診者と人間ドック受診者の間で、生活習慣病の早期発見率(特定保健指導の対象となる割合)に差異があるか、あるとすれば要因をどう分析しているかを問う。
- 両事業を並行実施することによる財政負担と健康増進効果の評価、今後のバランス調整方針を問うとともに、特定健診の区財政負担(1件1万4,000円)に照らし、人間ドック助成額の引き上げを提案した。
答弁
助成実績の推移(医療保険課長)
助成件数は令和3年度513件(対象者の0.87%)、令和4年度623件(1.12%)、令和5年度772件(1.47%)と増加傾向。特定健診受診率は毎年度40%程度と横ばいだが、受診率の現状維持の一助となっていると答弁した。
令和7年度予算の積算根拠(医療保険課長)
令和6年度8月までの実績が前年比120%だったことから令和6年度見込みを926件とし、周知の進展等を踏まえ10%程度の増を見込んで1,018件と積算したと答弁した。
早期発見率の把握状況(医療保険課長)
人間ドック受診者と特定健診受診者は健診結果の取得方法が異なるだけで、その後の保健指導につなげるプロセスに違いがないため、分けての分析管理は行っていないと答弁した。
財政負担と今後の検証(医療保険課長)
区の財政負担は特定健診が1件当たり1万4,000円相当、人間ドック助成は上限8,000円。区民負担は特定健診0円に対し人間ドックは3万〜6万円。事業のバランスは他区の動向や人間ドック受診者割合の推移等を踏まえ検討するとし、受診者の医療費動向の比較など詳細な分析は難しいところがあるとしつつ、「提案も含めて今後は検証してまいりたい」と答弁した。
結果
特定健診受診者と人間ドック受診者の早期発見率・医療費の差異について、区が現状では分けて把握していないことを確認した。その上で、両者を分けた追跡・検証と、検証結果に基づく人間ドック勧奨戦略の検討、助成額の引き上げを提案し、区は提案を含めた今後の検証を行う考えを示した。検証の進捗と助成額の扱いを、引き続き所管委員会で確認していく。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
令和7年予算審査特別委員会 本文 : 2025-03-05
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121:
◯中島雄太郎委員 よろしくお願いします。特定健康診査と人間ドックの助成事業について伺います。
本区においては、特定健康診査、いわゆる普通の健康診断を受診せずに人間ドックを受けた人に対して8,000円を助成するという事業を行っていますけれども、人間ドック助成事業の過去3年間の助成件数と、特定健康診査対象者に占める割合をお示しください。また、この期間の特定健康診査受診率の推移と比較してどのような傾向が見られるか、伺います。
122:
◯医療保険課長 人間ドックの助成件数と健康診査対象者に占める割合ですけれども、令和3年度は助成件数513件、0.87%、令和4年度は助成件数623件、1.12%、令和5年度は助成件数772件、1.47%になります。
人間ドック助成制度の周知が年々進んでおりますため、助成件数は増加傾向にあり、健康診査対象者に占める割合は増加しております。特定健康診査受診率は毎年度40%程度と横ばいでありますが、受診率の現状維持の一助となっていると考えてございます。
123:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。年々着実に増え、人間ドックを選択するという方が増えているということなんです。これ意外なんですけれども、23区で人間ドックの助成を行っているのは7区だけなんです。被保険者の健康管理方法について多様な区民ニーズに応える選択肢を提供しているということは、区民の健康増進に寄与するとてもいい取組だと考えております。
令和7年度予算において、人間ドック助成件数については、1,018件ということを見込んで予算計上されているんですけれども、この積算根拠を御説明ください。過去の実績や区民ニーズ調査などを踏まえて、どのような分析をされたのでしょうか、伺います。
124:
◯医療保険課長 予算作成時の令和6年度の最新実績は8月分であったため、令和5年度と令和6年度のそれぞれ8月までの実績値を比較したところ、前年比120%でした。このため、令和6年度の助成件数の見込みを、令和5年度の確定している助成件数772件掛ける1.2の926件としました。令和7年度につきましては、国保加入者の減少が見込まれるとともに、令和元年度の本事業開始当初以来周知も進んだため、増加率につきましては、令和6年度の予測値から10%程度の増と見込み、1,018件としました。なお、令和3、4年度は見込み件数以上の申請があったため予算流用も行ってございます。
以上です。
125:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。令和6年度の見込みが926件ということで、これも増えているんです。
人間ドックを選択する区民の方と特定健康診査、いわゆる普通の健康診断を受診されている方の間で、生活習慣病の早期発見率に差異は見られるでしょうか。つまり、特定保健指導の対象となる割合が普通の健康診断を受けた人と人間ドックを受けた人で違うのかというところについて教えていただければと思います。そして、違いがあるとすれば、その要因をどのように分析されていますか、伺います。
126:
◯医療保険課長 まず、生活習慣病の早期発見率につきましては、検査結果を各受診者がどの程度使用しているか、例えば結果を見て再度検査を受ける方、医療機関を受診する方がどの程度いるかなどについては不明でありまして、現状の把握はしておりません。
また、人間ドック受診者と江東区の特定健康診査受診者につきましては、健診結果の取得方法が異なるだけでありまして、その後の各種保健指導につなげるプロセスについては違いがないため、全て特定健康診査受診者として捉えてございます。そのため、特に分けての分析管理を行っておりません。一般的に人間ドックのほうが検査項目が多く、様々なオプションが設けられておりますため、特定健康診査受診者と比較することが難しいところでございます。
127:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。現状、普通の健康診断と人間ドックを受けた人が特定保健指導に、要するに特定保健指導につながった率について分けて捉えていないということなんですけれども、これは分けて捉えないと駄目だと思うのです。当然人間ドックのほうが検査項目も多くて詳細に検査するわけですから、恐らく生活習慣病等について、普通の健康診断よりも早期発見の率は多分高いんだと思うのです。
そうすれば、早期発見がなされれば、その後の早期治療等につながって医療費削減等にもつながる可能性があるわけですから、つまり、そういうことを把握しないと、本区として戦略的に、もし人間ドックのほうが長期的に見て医療費削減の効果が高いということが分かれば、人間ドックのほうを勧奨していくというほうに戦略を切っていかなければいけないわけであって、そこの普通の健康診断を受けた方、人間ドックを受けた方の生活習慣病の早期発見率の違いというところはきちっと分けて、調査・追跡をしないといけないと思います。
人間ドックの助成事業と特定健康診査事業を並行して実施することによる区の財政負担と健康増進効果についてどのように評価されていますか。今後、これらの事業のバランスをどのように調整していく方針でしょうか、伺います。
128:
◯医療保険課長 区の財政負担におきましては、1件当たり特定検診1万4,000円相当、人間ドック助成上限額8,000円を支出しているため、特定健診に係る経費のほうが負担は大きいところです。一方で、区民負担につきましては、1件当たり特定健診0円、人間ドックは3万円から6万円の負担が生じているところでございます。
健康増進効果につきましては、今まで把握できていなかった区の健診以外を受診する方の健診結果を把握できるようになったことによりまして、その方々を含めた被保険者の健康状況を把握し、必要に応じて保健指導につなげることが可能になること、そして、人間ドックの助成件数が例年増加しておりますことから、特定健診の受診率の向上につながることが期待できると考えます。
以上によりまして、両事業とも継続して実施してまいりますが、事業のバランス、すなわち負担割合のバランスのことと考えますが、そのことにつきましては、他区の動向や特定健康診査対象者に占める人間ドック受診者割合の今後の推移等を踏まえ、検討してまいります。
129:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。NTT西日本高松診療所予防医療センターというところが行った研究によると、普通の健康診断を3年間受けた人、同じく人間ドックを3年間受けた人をグループに分けて調査したところ、普通の健康診断を受けたグループよりも人間ドックを受けたグループのほうが、40代男性の場合は5年間にわたって約14万円医療費が低かった、50代男性においては33万円も医療費が低かったという研究があるんです。つまり、人間ドックを受診することによって、病気の早期発見・早期治療を行えば、長期的には医療費の削減につながる、健康増進につながる、こういう可能性が強く示唆されております。
ですから、本区においてもこの人間ドック助成事業、平成元年から開始しておりまして、データのほうもかなり蓄積されていると思いますので、普通の健康診断を受けた方と人間ドックを受けた方について、医療費がどうだったのかという検証はできると思うのです。ですから、そういった検証を行って、これから特定健康診査事業について、人間ドックをどういうふうに勧奨していくのか、あるいは現状維持でいくのかとか、そういうことを検討していただきたいと思います。
それで、さっきの答弁でありましたけれども、現状、区の財政負担においては特定健康診査、いわゆる普通の健康診断では、区の財政負担は1万4,000円ということであるわけですから、人間ドックの助成についても、過去の答弁を見ますと、他区と合わせているというような形で8,000円というようになっていると思うのですけれども、普通の健康診断の財政負担が1万4,000円であるならば、せめてそこぐらいは、1万4,000円ぐらいまでは助成費用を上げて、区民の方が人間ドックを選択しやすいというような環境をつくってほしいと思いますけれども、伺います。
130:
◯医療保険課長 先ほど申し上げ上げましたとおり、例えば人間ドックを受診した方とそうでない方の保健指導対象となった方の数値こそは把握できておるんですけれども、その後の医療費の動向と比較する等、詳細な分析までは難しいところにありますが、今中島委員のおっしゃるような提案も含めて今後は検証してまいりたいと思います。
以上です。
131:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いします。
終わります。
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