江東区議会議員 中島雄太郎

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防災 決算審査特別委員会 2024年9月30日

「体育館での雑魚寝」を当たり前にしない——拠点避難所のTKBと通信環境を問う

📋 この質問のポイント

目的

東日本大震災で3,700人以上、熊本地震で226人(全死者数の約8割)が避難所生活等を原因とする災害関連死で亡くなっている。発災から48時間以内に質の高いTKB(トイレ・キッチン・ベッド)を整備することが災害関連死を減らす鍵とされる中、令和5年度決算を素材に、本区の拠点避難所の生活環境と通信環境の備えを点検する。避難所の通信環境については、令和6年度予算審査特別委員会で提言したスターリンク等衛星通信の導入検討の進捗を確認する。

質問

  1. 令和5年度の備蓄物資整備事業において、TKBに関連する備蓄品の購入は行われたか
  2. TKBを整備することの重要性について、本区の認識
  3. 発災し拠点避難所の運用が始まった場合、トイレ・キッチン・ベッドとして具体的に何が提供されるか
  4. 国内外の先進事例を研究し、災害関連死を極力減らせる快適な拠点避難所を運営できるよう備えるべきではないか
  5. プライバシー確保、感染症対策、ジェンダー・女性の視点に配慮した避難所運営の取組と今後の計画
  6. 拠点避難所公衆無線LAN維持管理事業(令和5年度約3,200万円)の経費の詳細
  7. 令和6年度予算審査特別委員会で提言したスターリンク等衛星通信の導入検討の進捗

答弁

令和5年度のTKB関連備蓄(防災課長)

液体ミルクを本区で初めて備蓄したほか、都の補助金を活用し携帯トイレ8万7,400回分(1避難所当たり1,000回分)を追加購入したと答弁した。

TKBの重要性認識と発災時の提供内容(防災課長)

避難所生活の環境の悪さが災害関連死につながった可能性が専門家から指摘されているとし、災害関連死の発生をなくしたいという考えの下、避難所の環境整備が重要と認識していると答弁。発災時は携帯トイレ・マンホールトイレ、暖房を兼ねた灯油式コンロによる温食提供のほか、今年度は栄養バランスに配慮したゼリー食を初備蓄し、段ボールベッドの備蓄を今年度から新たに開始(11月納品予定)。令和5年4月には株式会社ダスキンと避難所資機材の供給・設置に関する協定を締結したと説明した。

先進事例の研究(防災課長)

台湾やイタリアの取組が好事例として報道されていることに触れ、国内外の先進自治体の取組を研究し、引き続き避難所の環境整備に努めると答弁した。

要配慮者・ジェンダー配慮(災害時要配慮者担当課長)

要配慮者の別スペース確保・プライバシー確保・ジェンダー配慮設備は避難所管理運営マニュアルに規定済み。令和5年度は液体ミルクに加え授乳服を配備し、今年度は間仕切りテントの倍増や段ボールベッドの新規備蓄を実施。今年度から江東区介護事業者連絡会との意見交換により避難所での介護体制づくりの検討を開始し、女性の視点で区事業を点検するプロジェクト・スマイルでも避難所環境への意見を踏まえた検討を進めていると答弁した。

避難所公衆無線LANの経費(防災課長)

区の公共施設97か所に江東フリーWi-Fiを整備しており、うち拠点避難所69か所分の年間コストが約3,200万円(1か所当たり年間50万円、保守費を含む基本使用料)と説明した。

スターリンク導入検討の進捗(防災課長)

他社無線LAN・ポケットWi-Fi・スターリンク等について展示会等で情報収集し、他自治体の取組も研究中と答弁。スターリンクは本年8月に東京都より1台配備され、防災センター屋上で接続テストを実施し、災害時の有効性や強靱性は確認できたとした。この1台は災害対策本部での使用を想定しており、総務省の公共安全モバイルシステムの情報収集も含め、多角的に避難所の通信環境整備を検討するとした。

結果

区がTKB整備の重要性を認識し、段ボールベッドの新規備蓄(今年度・11月納品予定)、ゼリー食・液体ミルク・授乳服の備蓄、介護事業者連絡会との検討開始など、避難所環境の具体的な充実策を確認した。

令和6年度予算審査での提言のフォローアップとして問うたスターリンクについては、都からの1台配備と接続テストにより災害時の有効性・強靱性が確認されたとの答弁を得た。ただし現状は災害対策本部用の1台にとどまるため、拠点避難所への早期導入を要望した(要望に対する答弁はなし)。引き続き委員会で進捗を確認していく。

📄 議事録全文を読む

※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。

101:
◯中島雄太郎委員  よろしくお願いします。
 拠点避難所の生活環境と備蓄物資の整備について質問いたします。
 自治体の行政能力の進化は、平時ではなく災害時にこそ試されます。区民の安心安全を確保するためには、平時からの備えが不可欠であることは言うまでもありません。本日はこの認識に基づき、災害時における拠点避難所の生活環境について質問させていただきます。
 災害時に避難所生活等が原因で亡くなる災害関連死の深刻さについて、まず触れさせていただきます。2011年の東日本大震災では3,700人以上、2016年の熊本地震では226人もの方が災害関連死で亡くなられました。熊本地震の場合、これは全死者数の約8割に相当します。日常とはかけ離れた避難所生活が心身に与える負担は想像以上に重く、災害そのものから生き延びても、避難所の生活環境の不備により命を落とす方が多いのが現状であります。これは人災的な側面があるとも言えるのではないでしょうか。行政が災害関連死を防ぐことの重要性を正しく認識し、被災者が過大なストレスを感じることのない行き届いた避難所の生活環境を事前に整備できれば、防げた可能性がある死だからです。
 近年、避難所生活が原因の災害関連死を減らすには、TKBを整備することが重要であると指摘されています。TKBとは、トイレ、キッチン、ベッドの略です。発災から48時間以内に被災者に安心を与える質の高いTKBを整備することが、災害関連死を減らす重要なポイントだと言われています。具体的には、必要十分な数の快適なトイレ、温かくおいしく十分な量の食事を提供できるキッチン、そして安らかに眠れるベッド、これらを避難所に備えることが必要不可欠なのです。
 そこで、以下の点について区の見解をお聞かせください。
 まず、令和5年度の備蓄物資整備事業においては、主に食料品の備蓄に予算が割かれたようですが、TKBに関連する備蓄品の購入は行われたのでしょうか。

102:
◯防災課長  令和5年度の備蓄でございますが、区では、液体ミルクを本区で初めて備蓄を始めたほか、携帯トイレ8万7,400回分、こちら1避難所当たり1,000回分でございますが、都の補助金を活用いたしまして追加購入したところです。
 以上です。

103:
◯中島雄太郎委員  ありがとうございます。
 続きまして、TKBを整備することの重要性について、本区はどのような認識をお持ちでしょうか。

104:
◯防災課長  過去の大きな災害で発生した関連死につきまして、専門家による分析では、避難所の劣悪なトイレ環境、栄養が偏った食事、床での雑魚寝など、避難所生活の環境の悪さが避難者の健康状態を悪化させ、災害関連死につながった可能性が指摘されてございます。本区では災害関連死の発生をなくしたいという考えの下、避難所の環境改善、環境整備が重要であると認識してございます。
 以上です。

105:
◯中島雄太郎委員  ありがとうございます。現在、災害が発生し、拠点避難所の運用が始まった場合、トイレ、キッチン、ベッドはどのようなものが区民に提供される予定でしょうか、具体的に教えてください。

106:
◯防災課長  まず、現時点で拠点避難所のトイレが使用できなかった場合には、発災初期段階では携帯トイレを提供し、状況によっては仮設トイレ、いわゆるマンホールトイレを設置することとしてございます。キッチン、食事に関しましては、暖房機器を兼ねた灯油式のコンロを配備してございまして、こちらでお湯を沸かしたり、調理をして温かいものを提供するようにいたします。
 また、今年度は栄養バランスに配慮したゼリー食を初めて備蓄いたしました。また、ベッドにつきましては、今年度から新たに段ボールベッドの備蓄を行うこととし、11月の納品を予定してございます。さらに、区独自の事前の備蓄には限界があるという中で、令和5年4月に株式会社ダスキンと避難所に必要な資機材の供給や設置について協定を締結いたしました。事業者の力も借りながら、避難所の環境整備に努めてまいりたいと考えてございます。

107:
◯中島雄太郎委員  ありがとうございます。災害のたびに、メディアで目にする体育館での雑魚寝の光景を私たちは当たり前のものとして認識してしまっている傾向があります。しかし、これは避難民にとって命に関わる劣悪な環境であるという認識を持つべきではないでしょうか。災害時だからみんなで我慢するのは当たり前、不便や不自由に耐えるのは当たり前といった精神が災害関連死を招くのです。
 本区においては、国内外の先進事例を研究し、災害関連死を極力減らすことができる、我慢や不便のない快適で充実した拠点避難所を運営できるよう備えるべきだと考えます。この点について区の見解を伺います。

108:
◯防災課長  区では近年、頻発、激甚化する災害に備えまして、防災・減災対策に取り組んでいるところでございます。こうした中で、発災時に何とか無事に避難所に避難してこられた方々の命、安全安心を守るために、ハード・ソフト両面における避難所の運営体制の充実が重要であると考えてございます。一部の報道等を見ますと、台湾やイタリアでの取組が好事例として度々放映されてございます。今後も国内外の先進自治体の取組を研究するなど、引き続き避難所の環境整備に努めてまいります。
 以上です。

109:
◯中島雄太郎委員  ありがとうございます。避難所の環境整備は単に物資を備えるだけではなく、避難者の尊厳を守り、心身の健康を維持するための重要な取組です。特に高齢者や障害者、乳幼児を抱える家族など、配慮が必要な方々にとっては避難所の環境が生命線となります。
 また、避難所運営においては、プライバシーの確保や感染症対策、ジェンダー、女性の視点に配慮した設備の設置なども重要な課題です。これらの点についても本区の取組や今後の計画をお聞かせください。

110:
◯災害時要配慮者担当課長  高齢者、障害者、乳幼児などの要配慮者の方々が拠点避難所に避難してこられた場合には、一般の方々とは別のスペースを確保することやプライバシーの確保に努めること、ジェンダーに配慮した設備を設置することなどについては、江東区避難所管理運営マニュアルに定めているところでございます。
 感染症対策につきましては、令和2年度に新たに策定した江東区避難所管理運営マニュアル(水害編)において、新型コロナウイルス感染症対策を考慮した避難所運営を定めております。
 備蓄物資についてですが、令和5年度には、先ほど説明いたしました液体ミルクのほか、授乳服も配備いたしました。今年度も、間仕切りテントの倍増や段ボールベッドの新規備蓄など、要配慮者の避難所生活の視点から備蓄の充実に努めております。
 また、今年度より、江東区介護事業者連絡会と要配慮者対策に関する意見交換の場を設け、福祉専門職や介護事業所等の参画による避難所での介護体制づくりなどについて検討を開始いたしました。
 さらに、今年度創設された女性の視点を生かして区の事業を点検するプロジェクトチーム、プロジェクト・スマイルにおいても、避難所の環境について意見が出されており、意見に対する検討を進めております。今後につきましても、年頭に発生した能登半島地震での課題、過去の大規模災害の際に被災地に支援に入った経験のある本区保健師の意見なども踏まえ、配慮を要する方々への備蓄や体制の拡充などを引き続き検討し、拠点避難所環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

111:
◯中島雄太郎委員  ありがとうございます。今年度から新たに段ボールベッドの備蓄を開始したということで、これは朗報だと思います。引き続き、TKBの整備の重要性というものを認識した上で、拠点避難所の環境、生活環境の質の向上について取り組んでいただきたいというふうに思います。
 続きまして、拠点避難所公衆無線LAN維持管理事業について伺います。
 避難所における公衆無線LANの重要性は非常に高く、災害時、避難所での公衆無線LANは、単なる便利さを超えた重要な役割を果たします。まず、災害関連情報の収集や安否確認の手段として不可欠です。携帯電話網が混雑や遮断された際の代替通信手段としても機能し、情報不足による不安や孤立感を軽減します。さらに、避難所運営の効率化にも寄与し、スタッフ間の連絡や物資管理に活用できます。したがって、その無線LANの通信の品質は、災害時に区民の生命に関わるものであり、大変重要です。令和5年度においては、本事業におよそ3,200万円が使われていますが、経費の詳細を御説明ください。

112:
◯防災課長  区では、平成29年に策定しました公衆無線LAN整備方針に基づきまして、本庁舎をはじめ、区の公共施設、計97か所に公衆無線LAN、いわゆる江東フリーWi-Fiを整備してございます。そのうちの拠点避難所69か所にかかる公衆無線LANの年間コストとして、令和5年度決算ベースで約3,200万円となってございます。1拠点避難所当たりは年間で50万円となってございまして、経費の内訳としましては、保守費を含めた基本使用料となってございます。
 以上です。

113:
◯中島雄太郎委員  ありがとうございます。本年3月の令和6年度予算審査特別委員会において、私は本区の拠点避難所の公衆無線LANについて、その品質とコストについて大変に問題があるから、地上インフラに依存せず、高速通信が可能なスターリンク等の衛星通信の導入を早急に検討すべきという提言をいたしました。調査研究するという答弁でしたが、進捗を伺います。

114:
◯防災課長  現在、コストの点、さらには災害時の強靱性の点から、他社製品の無線LANやポケットWi-Fi、スターリンク等、様々な手法やサービスについて、東京ビッグサイトでの展示会に赴くなど、情報収集を行ってございます。あわせて、ほかの自治体の取組についても研究しまして、本区にとって何が最適であるかという検討を進めてございます。
 なお、スターリンクにつきましては、本年8月に東京都より1台配備されてございまして、防災センターの屋上で設置の準備や動作確認、接続テストを実施いたしました。災害時の有効性や強靱性は確認できたところでございます。
 このスターリンクは1台ということで、災害対策本部の運営で使用することを想定してございます。本区では、公衆無線LANの環境整備と併せまして、避難所運営を行う上での避難所と区役所間の通信機能の安定的な確保という点も、防災DXを進めていく上でのポイントと考えてございます。
 現在、総務省では、災害時に使える携帯電話技術を活用した公共機関向けの通信システムとして、公共安全モバイルシステムというものを推進してございます。そちらの情報収集も始めたところでございまして、引き続き、多角的な視点で災害時の避難所の通信環境の整備に向けて検討してまいります。
 以上です。

115:
◯中島雄太郎委員  ありがとうございます。先週、9月23日に公表された報道の動画を見たんですけれども、能登半島の被災者のところに馳知事が伺って、何か不自由ありませんか、不便ありませんかと聞いているんですけれども、被災者の方がスターリンクだと。とにかく今すぐスターリンクをヘリに乗せて持ってきてくれと、そういうことを訴えておりました。やはり避難所生活において通信ができないということは、かように深刻な問題なんですね。我々、じゃあ、例えば今、スマホやタブレットが一切使えなくなったらどうなるのかということを想像していただければ、拠点避難所における通信環境の整備というものの重要性が分かるかと思います。スターリンクが1台導入されて、その有用性というものは実証されたということなので、一刻も早い拠点避難所へのスターリンクの導入を要望いたしまして、質問を終わります。

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