荒れる区立公園──維持管理業務の入札制度と管理体制を問う
目的
区内複数の公園の定期的な視察を通じて、三好三丁目児童遊園・福富川公園をはじめとする区立公園の管理状況に懸念を抱いた。公園の荒廃の一因が維持管理業務の入札制度(最低制限価格の不設定・単価契約)にある可能性を指摘し、区の管理体制と契約制度の検証を求める。
質問
- 現在の区立公園の管理体制はどうなっているか。区として現状の公園維持管理事業が適切に行われていると考えているか
- 公園の維持管理業務の入札において、最低制限価格を設定していない理由
- 令和5年度の庭園緑地管理委託業務における平均落札率
- 単価契約の下で、区民に必要十分な業務数量と業者が実施する業務数量に乖離が生じていないか、どのようにチェックしているか
あわせて、福富川公園の池と周辺土壌について、速やかな詳細調査と池の浄化・土壌の入替え等の処置を要望した。
答弁
管理体制と現状認識(土木部長)
区立公園は大小合わせて172園。大規模な8園は指定管理者が管理し、親水公園など11園はシルバー人材センター会員が常駐して除草・清掃を実施、その他は職員による維持補修のほか清掃業者・造園業者に業務委託している。草刈り・除草は年3回程度を標準に実施しているが、気候変動の影響で植物が成長しやすい環境となり作業に追われている現状を認め、最も効果的な時期での除草等を検討するとした。福富川公園の浮遊物(スカム)は、井戸水を水源とする構造上の水量制限に気温上昇・土砂堆積が重なって発生しやすくなっているとし、随時改修等により対応すると答弁した。
入札制度(最低制限価格)
令和4年に発生した贈収賄事件を受け、令和5年度から希望型指名競争入札制度を導入。予定価格より低い落札額で契約する際は履行可能性を落札候補者に必ず確認しており、契約履行に特段の問題は起きていないとの認識から、現時点で最低制限価格の導入は予定していないと答弁した。
平均落札率
委託契約における一部業種のみの落札率は応札額の類推につながる可能性があり、公正な競争を妨げるおそれがあるため公開していないと答弁した。
単価契約と数量のチェック
樹木の成長速度や気象被害は年間を通じた定量化が困難なため、都度発注の単価契約としていると説明。作業内容・数量は仕様書や過去の実績を参考に区から委託業者への指示に基づき発注しており、業者が数量を決定しているわけではないとした。日常のパトロールや区民からの陳情により、適宜数量を追加していると答弁した。
結果
公園管理体制の全体像と、除草作業が気候変動により追いつかなくなっている現状認識を確認した。一方、平均落札率は非公開、最低制限価格の導入も予定なしとの答弁にとどまり、入札制度の論点では前進がなかった。福富川公園のスカムは随時改修等で対応するとの答弁を得ており、除草時期の見直し検討とあわせ、実施状況を引き続き確認していく。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
44:
◯6番(中島雄太郎議員) 江東新時代の会の中島雄太郎です。大綱2点について質問いたします。
最初に、区立公園の管理について質問いたします。
ここしばらく、区内の複数の公園を定期的に視察してまいりました。その結果、管理状況に深刻な懸念を抱くに至りました。特に、生活圏内にある三好三丁目児童遊園と福富川公園においては、問題が顕著です。両公園とも雑草が伸び放題となり、うっそうとした雰囲気が漂っています。さらに憂慮すべきは、親水公園である福富川公園の状況です。池は汚い浮遊物に覆われ、異臭を放っています。さらに深刻なことに、池の周辺の土壌までもが汚染された池の水によって黒ずみ、公園全体の景観を損ねています。
区立公園は、区民にとって多面的な意義を持つ重要な場所です。憩いの場であり、こどもたちの健全な成長を支える遊び場でもあります。また、地域コミュニティの形成・維持に欠かせない公共空間でもあります。本来であれば、区民全てが行きたくなるような魅力的な場所であるべきです。しかし、現状は残念ながらその期待に応えられていないと言わざるを得ません。
こうした状況を踏まえ、区長にお伺いいたします。現在の区立公園の管理体制はどのようになっているのでしょうか。また、本区として、現状の公園維持管理事業が適切に行われていると考えているのか、お聞かせください。
さて、建設関連の業界団体から興味深い指摘を受けております。公園管理が不十分である一因は、公園の維持管理業務の入札方法にあるのではないかというものです。具体的に申し上げますと、3,000万円以上の工事案件については、入札に当たって総合評価方式が採用されており、最低制限価格も設定されています。これにより、いわゆるダンピングを抑止する仕組みが機能しています。
一方で、公園の維持管理業務については、工事とは異なり、総合評価方式が採用されておらず、最低制限価格も設定されていません。そのため、予定価格を大幅に下回る金額での落札が可能となっています。このような状況下で、常識外れの低価格で事業を受注した業者が適切な業務遂行を行うことは極めて困難です。低価格の採算を合わせるためにいわゆる手抜きが発生し、それが現在の公園管理の不備につながっている可能性はないのでしょうか。
加えて、現状の公園維持管理業務は単価契約となっています。この契約形態では、行政サービスとして本来必要な業務であっても、業者の採算に合わない場合は実施されない可能性があります。つまり、業者側の経済的都合によって、公園の維持管理に必要不可欠な業務が取捨選択されてしまうおそれがあるのです。これもまた公園の荒廃を招く一因になっているのではないでしょうか。
これらの問題意識に基づき、区長に以下の点についてお伺いいたします。
第1に、公園の維持管理業務の入札において、最低制限価格を設定していない理由をお聞かせください。
第2に、令和5年度の本区の庭園緑地管理委託業務について、平均落札率は何%であったかを御教示ください。
第3に、契約形態を単価契約としていることで、住民にとって必要十分な業務の数量と実際に業者が実施している業務の数量に乖離が生じていないか、どのようにチェックしているのか、お答えください。
行政サービスにおいて「安かろう悪かろう」は決して許されるものではありません。区民にとってベストな入札になっているかは常に検証が必要です。
区立公園は区民全体の共有財産であり、その管理状態は地域の価値に直結します。一般のマンションでは、植栽がきちんと剪定されているかどうかが資産価値に影響するため、その管理については住民が厳しく監視をしています。いわゆる高級と言われるマンションで植栽が荒れているマンションなどありません。
同様に、区立公園も周辺地価に影響を与える重要な要素です。適切に管理された公園は周辺地域の価値を高めますが、逆に荒れ放題の公園は地価の低下を招きかねません。つまり、行政による不適切な公園管理は、区民の不動産価値を損なう可能性もあるのです。
同じ条件で近くに美しい公園がある住まいと雑草で荒れ放題の公園がある住まい、どちらの価値が高いかは言うまでもありません。たかが公園ではないのです。公園は区民の生活、心、資産価値に大きな影響を与える大変重要な施設であり、それは絶対に常に美しく維持管理されるべきなのです。自分の家の庭が荒れ放題で気持ちのいい人がいるでしょうか、いません。同様に、区立公園が荒れていて気持ちのいい区民もいないのです。行政は、区立公園に対して区民全員の庭という認識をこれまで以上に強く持つ必要があります。美しく整備された公園は、地域の魅力を高め、区民の生活の質を向上させる重要な要素です。
したがって、区は公園の美化を最優先課題として取り組むべきです。現状、管理が行き届いてない以上、最優先でもっと人と金を出すべきです。適切な管理体制を整え、定期的な手入れを行い、区民が誇れる美しい公共空間を創出してください。これは単なる景観の問題ではなく、区全体の価値向上につながる重要な施策であると認識すべきです。
今は荒れている福富川公園が開園したのは今から37年前の1987年。私は当時、小学生で、新しくできたこの公園に友達と自転車を走らせて毎週のように遊びに行きました。楽しい思い出がたくさんあります。こどもの私にとって、少し遠出をして楽しい時間を過ごしたこの公園は、記憶の中で緑と水の江東区の象徴のようでもありました。
今、私は週末にときとして自分のこどもを連れて福富川公園に行きます。近所だからです。そのたびに思います。なぜこんなに荒れているのか。記憶の中の美しい公園と目の前のうっそうとした公園の乖離は何なのか。自分の思い出の場所の記憶をこどもと共有できない悲しさ、本来あった公園の美しさを次世代に引き継げていない失敗、これは誰の責任なのかと考えると、残念ながら本区の責任としか言いようがありません。
福富川公園の池とその周辺の土壌については、速やかに詳細な調査を実施し、池の浄化や土壌の入替えなど、適切かつ迅速な処置を行うことを強く要望いたします。
46:
◯土木部長(石井康弘) 区立公園の管理についての御質問にお答えします。
まず、現在の区立公園の管理体制についてですが、本区の区立公園は大小合わせて172園あります。そのうち、竪川河川敷公園などの大規模な公園8園は指定管理者が管理し、その他の公園を区が管理しております。
区が直接管理している公園のうち、比較的面積の大きい親水公園などの11園は、日中、シルバー人材センターの会員が常駐し、簡易な除草作業や清掃業務を実施しております。
その他の公園については、職員による維持補修をはじめ、清掃業者、緑地を管理する造園業者などに、それぞれの作業内容に応じて業務を委託しております。
なお、三好三丁目児童遊園や福富川公園に雑草が多いとのお尋ねですが、年3回程度を標準として草刈り、除草作業を実施しているところですが、近年、気候変動の影響により、植物にとっては成長しやすい環境となり、草刈り、除草作業に追われているのが現状でございます。したがいまして、植物の生育状況を踏まえ、最も効果的な時期での除草等を検討してまいります。
また、福富川公園の浮遊物についてですが、本公園は、区内で唯一、淡水を水源とした親水公園で、井戸水を利用していることから、くみ上げる水量に制限があります。これらを循環させながら水辺を形成していることから、異常気象による気温上昇、水量不足に加え、経年による土砂の堆積の結果、水面にスカムと呼ばれる浮遊物が発生しやすくなっているところです。スカム等の浮遊物に関しては、随時改修等により対応してまいります。
次に、現状の公園維持管理事業が適切に行われているのかとのお尋ねですが、清掃や緑地管理作業の委託に関する履行確認については、仕様書に基づいて行われているかを現場で確認するとともに、委託業者から提出された書類や作業記録写真等により完了検査を実施しております。
次に、公園の維持管理業務の入札において、最低制限価格を設定していない理由についてですが、区では、令和4年に発生した贈収賄事件を受け、契約制度に関わる見直しとして、令和5年度より希望型指名競争入札制度を導入しております。
公園の緑地管理委託では、工事業種である造園の格付保持を必要な条件としており、予定価格よりも低い落札額で契約を結ぶ際には、委託仕様書にのっとった履行が可能かどうかについて、必ず落札候補者に確認をとった上で締結しております。
希望型指名競争入札制度の導入によるメリットは、新規事業者の参入や育成により、受け手となる事業者の範囲を広げ、結果として効率的な事業実施に結びつけることであり、現状では契約履行に関して特段の問題は起きていないと認識していることから、現時点では最低制限価格の導入は予定してございません。
次に、本区の庭園・緑地管理委託事業における平均落札率についてですが、委託契約における一部業種のみの落札率は、応札額の類推につながる可能性があることから、公正な競争を妨げるおそれがあるため公開してございません。
また、契約形態を単価契約にしていることについてですが、公園の樹木や草花は、季節や日当たり、その樹種などによって成長速度が異なります。また、病虫害や台風などの気象被害は事前に予測することが困難であります。そのため、樹木の手入れなどの緑地管理は、年間を通じて定量とすることが困難であることから、総価契約とせず、状況に応じた管理とするため、必要となる都度発注し契約する単価契約としているところです。
また、区民にとって必要十分な業務の数量と実際に業者が実施している業務の数量に乖離が生じていないか、また、どのようにチェックしているのかについてですが、年間で行うべき作業内容、作業箇所及び業務の数量については、仕様書や過去の実績を参考に、区から委託業者への指示に基づいて発注しており、委託業者が数量を決定しているわけではございません。
また、日常のパトロールによる異常を発見した際や、区民からの陳情により数量を追加するなど、適宜対応しているところです。
区としては、引き続き、樹種や地域特性、育成状況に応じた維持管理に努めてまいります。
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