江東区議会議員 中島雄太郎

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福祉医療 本会議 2023年11月30日

男性のHPVワクチン接種に係る性教育について

📋 この質問のポイント

目的

女性の子宮頸がん罹患率を下げるには男性のHPVワクチン接種が有効であり、東京都では男性接種への費用助成事業が開始される見通しにある。しかし接種対象は小学6年生から高校1年生であり、性交渉によりパートナーにHPVウイルスをうつす可能性があるという知識を持たない年齢層である。接種事業を実効性あるものにするために必要な、踏み込んだ性教育に対する区の考えを確認する。

質問

  1. 接種対象となる男子児童・生徒に対し、性交渉でパートナーのウイルス感染が生じる可能性や、HPVワクチン接種が将来のパートナーを子宮頸がんから守ることを教える、踏み込んだ性教育に対する本区の考えを問う。

答弁

男性接種の検討状況(健康部長)

HPVウイルスは男性においても性感染症や陰茎がん・肛門がん・中咽頭がんの原因になるとし、男性への接種は女性への感染・子宮頸がんの予防にもつながると説明。厚生労働省の審議会で男性への定期接種の是非の検討が始まっており、安全性・有効性の評価を踏まえ、区として男性の予防接種を検討すると答弁した。

性教育の実施可能性(健康部長)

費用補助が実施された場合、対象男性やその家族への知識の周知・啓発や性教育が「必要」との認識を示した。一方、学習指導要領は妊娠の経過を取り扱わないとしており、ワクチン接種が任意であることも踏まえ、学校で統一的に行うことは現状では困難と答弁。ただし、産婦人科医等の外部講師による授業では、保護者の了解を得た生徒への個別指導として「出前授業のような形式で取り扱うことは可能」との見解を示した。

結果

統一的な学校性教育としての実施は困難との答弁にとどまったが、出前授業形式での実施は可能との区の見解を確認した。また、区が男性接種の検討と、費用補助実施時の周知・啓発・性教育の必要性を認めたことも確認した。都の助成事業と国の定期接種化の動向を注視し、出前授業の具体化を継続して求めていく。

その後の展開

質問時点(令和5年11月)では、東京都の男性HPVワクチン接種費用助成は開始見通しの段階であり、区は国の審議会の評価を踏まえて男性の予防接種を検討する、費用補助が実施された場合には周知・啓発や性教育が必要との認識を示していた。

その後、区は男性のHPVワクチン任意接種への費用助成を実施している。対象は接種日現在、江東区に住民登録のある小学6年生から高校1年生相当の男性で、令和8年度(2026年度)は平成22年4月2日から平成27年4月1日生まれの方が対象となっている。また、ワクチンの出荷制限の状況等を踏まえ、令和6年6月1日から令和7年3月31日までに1回以上接種し3回接種が終了していない方への延長措置が設けられた(延長措置は令和8年3月31日で終了。区ホームページ・令和8年7月時点)。

助成事業が実施されたことで、質問で指摘した前提──接種対象の男子児童・生徒への周知・啓発や性教育の必要性──は現実の課題となっている。答弁で「可能」とされた出前授業形式の性教育を含め、接種率向上に向けた取組の状況を、引き続き所管委員会で確認していく。

📄 議事録全文を読む

※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。

大綱2点目は、男性のHPVワクチン接種に係る性教育について質問いたします。
 女性の子宮頸がんの罹患率を下げるには男性のHPVワクチンの接種が有効です。その認識に基づき東京都では、男性のHPVワクチンの接種について、費用を助成する事業が開始される見通しです。しかし、HPVワクチン接種の対象となる男性の年齢層は、小学6年生から高校1年生となっています。そういった児童においては、性交渉自体が日常的な行為ではありませんし、また、性交渉によってパートナーにHPVウイルスをうつす可能性があるといった知識は、ほぼ全くないものと推察されます。つまり、女性の子宮頸がんの罹患率を下げるには、男性のHPVワクチンの予防接種の対象となる小学6年生から高校1年生、主に中学生の男子児童に対して、性交渉でパートナーのウイルス感染が生じる可能性があること、将来の大切なパートナーとなる女性を子宮頸がんから守るには、自分たちが今のうちにHPVワクチンを幅広く接種することが有効であること、そういったことを教える踏み込んだ性教育が不可欠であると考えます。男性のHPVワクチン接種事業を実効性のあるものにするために必須である、そういった踏み込んだ性教育に対する本区の考えを伺います。

39:
◯健康部長(北村淳子) 次に、男性のHPVワクチン接種に関わる性教育の実施についてです。
 子宮頸がんの原因となるHPVウイルスは、男性においても性感染症や陰茎がん、肛門がん、また、近年増加傾向にある中咽頭がんの原因になると言われております。
 現在、HPVワクチンは女性のみを対象に定期接種をしておりますが、HPVウイルスは性的接触により感染するため、男性に対して接種することにより、男性HPVを原因としたがん及び性感染症を予防するとともに、女性への感染及び子宮頸がんの発生に対しても予防することができると言われております。
 昨年8月からは、厚生労働省の審議会において、男性へのHPVワクチンの定期予防接種の是非について検討が始められております。区では、今後、審議会を経て公表される安全性や有効性の評価を踏まえ、男性の予防接種について検討してまいります。
 一方で、男性へのHPVワクチン予防接種の費用補助が実施された場合、対象となる小学校6年生から高校1年生相当の男性やその家族には、性交渉の相手方にHPVウイルスを感染させる可能性があるといった知識の周知、啓発や性教育が必要と考えております。
 現在、小中学校及び義務教育学校での性教育については、性教育の全体計画や指導計画を作成し、学習指導要領に基づき、発達段階に応じて行っております。
 中学校学習指導要領保健体育では、保健分野において、「思春期には、内分泌の働きによって生殖に関わる機能が成熟すること」や「成熟に伴う変化に対応した適切な行動が必要となること」といった内容を指導していることとし、その取扱いにつきましては、「妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする」としております。
 また、文部科学省が作成した生きる力を育む中学校保健教育の手引では、「こどもたちの心身の成長発達には、個人差があることから、全てを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にし、それらを関連させて指導することが重要である」と示しております。
 したがいまして、御提案の中学校のうちにHPVワクチンを接種することが有効であるといった、踏み込んだ性教育を学校において統一的に行うことは、その内容から妊娠の経過を取り扱うこととなり、さらに、ワクチン接種は任意であるため、現状では困難であると考えます。しかしながら、産婦人科医等、外部講師を招いて行う授業においては、東京都教育委員会が策定した「性教育の手引き」において、「学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に指導内容を保護者全員に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を行うこと」と示しておりますので、事前の準備や保護者の理解を得ることなど課題はありますが、出前授業のような形式で取り扱うことは可能であると捉えております。

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