ふるさと納税による税流出と江東区版ふるさと納税について
目的
ふるさと納税による本区の税流出は年々拡大しており、区財政と区民サービスへの影響が無視できない規模になっている。流出の実態(利用者数・累計額・全国順位)を数字で確認するとともに、区民への周知のあり方と、流入を増やす施策である返礼品つき「江東区版ふるさと納税」の考え方・実施体制・スケジュールを質した。
質問
- ふるさと納税を利用している区民の人数と、減収額の累計・近年の傾向・今後の見込み
- 本区の流出額の全国・23区での順位と、区民がふるさと納税に積極的な要因の分析
- 税流出の規模と財政への影響を区民に伝える啓蒙活動の実施状況と今後の予定
- 本区へのこれまでの寄附の受入れ状況
- 返礼品つき「江東区版ふるさと納税」の考え方・実施体制・返礼品開始までのスケジュール・想定する返礼品
答弁
流出の実態(課税課長)
令和5年度の利用者は8万1,393人で、納税義務者約30万4,000人の26%に相当。減収額の累計は平成21年度から約214億8,000万円。令和3年度約33億3,000万円、令和4年度約40億6,000万円、令和5年度約47億8,000万円と前年比約2割のペースで増加しており、当面この状況が続く見込みと答弁した。流出額の順位は令和4・5年度と2年連続で全国16位・23区で5位。
区民への周知(財政課長)
区報で流出額を「学校1校分の改築経費に相当」と分かりやすく伝えた実績があり、流出額が拡大している現状を踏まえ、今後も引き続き区民への周知を図っていくと答弁した。
寄附の受入れ状況(課税課長)
個人からの寄附は平成21年度からの累計で約1億6,500万円。令和4年2月開始のガバメントクラウドファンディングでは、令和4年度に1,941万1,000円(214人・241件)の寄附があった。
江東区版ふるさと納税(財政課長)
区の魅力を発信するシティプロモーションの一つの手段として導入を検討。実施体制は中間事業者・サイト運営事業者の活用を想定し、必要経費を令和6年度当初予算に計上できるよう検討中。中間事業者の選定・返礼品協力事業者の募集を経て、令和6年度中の寄附受付開始を目指すと答弁した。返礼品は江東ブランドやことみせの製品などのモノ消費と、観光プランや水辺の体験プログラムなどのコト消費を検討するとした。
結果
区民の4人に1人がふるさと納税を利用し、年間約48億円が流出している実態を数字で確認した。江東区版ふるさと納税については、令和6年度当初予算への経費計上と令和6年度中の受付開始を目指すとの答弁を得た。寄附がピークとなる年末(令和6年11〜12月)に返礼品ラインアップをそろえて受付を実施している状態を目指すよう要望した。開始時期の明言は「総合的に考えて検討する」との答弁にとどまったため、実施スケジュールの具体化を引き続き確認していく。
その後の展開
区はこの質問で、返礼品つきの江東区版ふるさと納税について、令和6年度当初予算への必要経費の計上と、令和6年度中の寄附受付開始を目指すと答弁した。
その後、区は令和6年10月10日に返礼品付きふるさと納税を開始した。区外在住者が江東区へ寄附を行った場合に、区の魅力発信やイメージ向上を目的として返礼品を提供するもので、寄附金は区政のさまざまな分野で活用するとしている。質疑で要望した、寄附がピークとなる年末前の開始が実現した形となっている。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
令和5年決算審査特別委員会 本文 : 2023-09-28
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236:
◯中島雄太郎委員 よろしくお願いします。ふるさと納税について伺います。
先ほど佐藤議員に対する答弁で、令和5年度における本区のふるさと納税による減収額は約48億円という答弁がございました。
それでは、人数としては、どれくらいの区民がふるさと納税を行っているのか伺います。
237:
◯課税課長 ふるさと納税を利用された人数ということでございますけども、令和5年度は、8万1,393名ということで、納税義務者約30万4,000人ですが、そのうちの26%に当たるという状況でございます。
以上でございます。
238:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。実に区民の4人に1人がふるさと納税を行っているということで、大変驚きました。私自身はふるさと納税を行ったことがないので、そんなにも世の中に浸透しているものなんだと、非常にびっくりしました。
次に、これまでのふるさと納税による減収額の累計はどのくらいになるのか伺います。また、ここ数年の傾向と今後の見込みについても教えてください。
239:
◯課税課長 ふるさと納税の減収額、寄附金、税額控除額の累計ということでございますけれども、平成21年度からの累計では、約214億8,000万円となってございます。
また、ここ数年の状況としましては、令和3年度が約33億3,000万円で利用者が約5万7,000人、令和4年度は約40億6,000万円で利用者は約7万人、令和5年度は、先ほど申し上げた、約47億8,000万円で利用者数8万1,393人と年々増加をしているところでございまして、前年比約大体2割ぐらいのペースで増えていっているという状況でございまして、当面はこのような状況が続いていくのではないかと思っているところでございます。
以上です。
240:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。毎年前年比2割のペースで増えているということは、4年後の令和9年には、100億円の大台を突破するということになるんですけれども、そういうふうになる可能性があるという理解でよろしいでしょうか。
241:
◯課税課長 今後のふるさと納税の制度の見直しとかそういうものによって、どの程度伸びていくかというのを正確に推計していくのは非常に困難でございますが、仮に2割ずつ、もし伸びていたとすれば、そのようになる可能性もあるということでございます。
以上です。
242:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。
それでは、次に、非常に流出しているということが分かったんですけれども、ここ数年における本区の流出額の全国と、23区での順位はどのような状況にあるのか伺います。
243:
◯課税課長 ここ数年における本区の全体の順位といいますか、状況でございますけれども、令和3年度が全国で13位で、23区では3位でございました。それが令和4年度と令和5年度は、2年連続で全国で16番目、23区では5番目ということで、上位に位置しているという状況が続いているというところでございます。
以上です。
244:
◯中島雄太郎委員 全国的に見ても本区は非常に流出額が多い、つまり、ふるさと納税を利用している方が多いということなんですけれども、なぜ本区の住民は、これほどふるさと納税に積極的なのか、区としては、どのように分析をしているか伺います。
245:
◯課税課長 江東区がなぜ上位にいるかというところで、正確なところまでの分析というのはなかなか難しいところではございますが、やはり制度がある程度浸透しているというところで、例えば地方から来られた、江東区、東京に位置しておりますので、地方から来られた方々が御自分のふるさとに対して、ふるさと納税をするという方も中にはいらっしゃるのかなというところも一つの要因としては、あるのかなと思っております。
以上です。
246:
◯中島雄太郎委員 大変な流出が続いているわけですけれども、このふるさと納税、国の制度ですから、決して、この制度を利用している人が悪いなんていうことは一切ないわけなんですけれども、やはり本区としては、区民サービスの受益と負担の観点から見ても、ふるさと納税で50億円近い区民税が流出していて大変困っている、区民サービスのさらなる充実に悪影響を及ぼしているというような啓蒙活動みたいなものはされているんでしょうか。
東京23区の大田区も、令和5年度は、本区とほぼ同じ50億円が流出しているんです。その大田区が、7日前の9月21日に、大田区のホームページに区民税が大田区から流出していますという泣きのページをつくっているんです。そこでは、流出した50億円は大田区の公園や道路の維持管理経費1年分ですというようなことで、分かりやすく流出額の規模と区の財政へのダメージを伝えているんです。
本区として、そのような何か、ふるさと納税でこれほど流出していますと、大変なんですといったような啓蒙活動は、これまでされてきているんでしょうか。また、これからはどうされる予定なんでしょうか、伺います。
247:
◯財政課長 ふるさと納税流出に伴います、区民への周知という部分ですか、そういった部分でお答えさせていただきますと、本区におきましては、今年はまだやっておりませんけれども、区報におきまして、実際にこれだけの額が流出していますという形で区民の皆さんにお伝えするといったところで、今、大田区のお話がありましたけれども、本区は学校1校分の改築に要する経費に相当しますよという形で、区民の皆さんにお知らせをして、それだけ区の財政といいますか、区民サービスに影響がありますよというような形で、なるべく分かりやすくお伝えしようという形で掲載したことがございますけれども、今後につきましても、先ほど御答弁もさせていただきましたけれども、流出額が47億9,000万円という形でだんだん大きくなってきているという現状がございますので、そういった部分については、これからも引き続き、区民の皆さんに現状を知っていただくといった点で、周知のほうを図っていきたいと、これからも進めていきたいと思ってございます。
以上です。
248:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。これまでは出ていく話でしたけれども、今度は入ってくるほうの話を伺いたいと思います。
これまで本区は返礼品を設けて、ふるさと納税に取り組んできたということはないわけなんですけれども、それでも、ふるさと納税が始まってから、本区に対して寄附がどれくらいあったのか、その状況を教えてください。
249:
◯課税課長 本件に対する寄附の受入れ状況についてでございます。
個人からの寄附ということでございますけれども、平成21年度からの累計で、約1億6,500万円という状況でございます。寄附額は年によって多い年もあれば少ない年もあるという状況でございますが、令和4年2月から、ふるさと納税サイトを活用したガバメントクラウドファンディングを開始しまして、そのような寄附を募ったところ、令和4年度におきましては、1,941万1,000円で、214人の方から241件の寄附を、個人の方からいただいたという状況でございます。
以上です。
250:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。つまり、本区の現状は非常に、これまで累計で220億に近い金額、そして直近では年度で50億円が流出しているけれども、入ってくる、いわゆる寄附のお金は非常に微々たるものであると。
ふるさと納税が続く限り、区民がふるさと納税を利用すること、つまり、流出を止める手だてというというのは、有効なものはないわけなんですよね。ですから、区の財政へのダメージを少なくするには、入ってくる額を多くするしかないということになるかと思います。
そこで、江東区版ふるさと納税について質問します。本会議の答弁の中で、返礼品つきの江東区版ふるさと納税を実施していくとのことでしたが、本区として、どのような考え方で、江東区版ふるさと納税を進めていくのか、区の見解を伺います。
251:
◯財政課長 江東区版のふるさと納税につきまして、どのような考え方で進めていくのかといった点についてお答えさせていただきます。
江東区版のふるさと納税につきましては、区の魅力を発信する形になります、シティプロモーションの一つの手段という形で導入のほうを考えているといったところでございます。当然ながら、ふるさと納税として、寄附金を受け入れるといったことも大変重要な部分ではございますけれども、返礼品の発掘だとか創出などを通じまして、本区のさらなる魅力を区内外へ広く発信するとともに、区内の経済振興を図ることが重要な視点であろうと捉えてございます。返礼品によりまして、区の魅力がPRできるように準備のほうを進めていきたいと考えてございます。
以上です。
252:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。シティプロモーションの一つの手段として、まず、実施するということでしたが、江東区版ふるさと納税を実施するに当たり、どのような体制で運用をしていくことを予定しているのか、区の見解を伺います。
253:
◯財政課長 返礼品つきの江東区版ふるさと納税の実施に当たっての実施体制といったところの運用ですけれども、実際、実施体制といたしましては、現時点におきましては、まだ具体的な実施体制というのは決まっているといったわけではございません。
しかしながら、現在、他自治体への視察などを通じまして、返礼品付きの江東区版ふるさと納税の実施に向けて、具体的な検討のほうを進めているといった中で、やはり寄附者に対する返礼品の提供には業務が多岐にわたっているといったところから、区といたしましては、中間事業者ですとかサイトの運営事業者、そういったところを活用する実施体制というものを想定しておりまして、その必要経費につきましては、来年度の予算、6年度当初予算ですけれども、そちらのほうに計上出来るように、今、検討を進めているといった状況でございます。
254:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。6年度に関連経費の予算計上を予定しているとの答弁がありましたが、来年度から実施するに当たり、返礼品を開始するまでのスケジュールとしては、どのようにお考えでしょうか、区の見解を伺います。
255:
◯財政課長 返礼品開始までのスケジュールといった点の御質問でございます。
現在も事業者などといろいろとヒアリングをして情報収集に努めているといったところですけれども、現時点での予定といたしましては、先ほど御答弁しましたけれども、6年度の当初予算のほうに関連経費を予算計上して、その後、中間事業者の選定ですとか、返礼品の協力事業者、そういったところの募集などを行った上で、令和6年度中に寄附の受け付けが開始できるように準備のほうを進めていきたいと考えてございます。
以上です。
256:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。6年度中にスタートということですけれども、ふるさと納税は、その特性からいって、年末の11月、12月に寄附のピークとなる傾向があります。皆さんも、年末になるとテレビCMがふるさと納税一色になってうんざりされていると思うんですけれども、来年、およそ今から1年後となる令和6年の年末には返礼品のラインアップをそろえて寄附の受け付けを実施している、そういう状態になっているというスケジュールの理解でよろしいでしょうか。
257:
◯財政課長 スケジュールの部分につきましては、今まさに各事業者さんともいろいろ話をしながら情報収集に努めているといった中で、なるべく早いタイミングでできるように検討のほうを進めていきますけれども、いかんせん今までやったことがないといった部分がございますので、実施するに当たっては、混乱のないような形で区としても取り組んでいきたいといった部分がございますので、総合的に考えて、スケジュールのほうを、これから具体的に検討を進めていきたいと考えてございます。
以上です。
258:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。1年遅れるごとにどんどん、要するに入りも1年先送りになるわけなので、ぜひ来年、約1年後のピークに合わせて、実施をしていただきたいと要望しておきます。
本区では、ふるさと納税に対する返礼品として、どのようなものを想定しているんでしょうか。区の見解を伺います。
259:
◯財政課長 ふるさと納税の返礼品としてどういったものを想定しているかといったところでございますけれども、本区では、先ほど御説明したとおり、シティプロモーションといった視点から考えているといった部分からいきますと、例えば、江東ブランドですとか、ことみせをはじめとした国内の産業の製品、あと食材を活用したもの、要は物の消費と言われるもの、また、宿泊施設や飲食店などと組み合わせた観光プランであったりとか、本区の歴史だとか文化、水辺を活用した体験プログラムであります、コト消費と言われるものを返礼品という形で検討のほうを進めていきたいなというところを考えてございます。
先ほどの御答弁と重なりますけれども、今後、具体的な検討を進めていくといった部分がございますので、そういった中で、区の魅力発信につながるような返礼品が準備できるように検討のほうを進めていきたいと考えてございます。
以上です。
260:
◯中島雄太郎委員 ありがとうございます。なかなかシティプロモーションと競争力のある返礼品というものを両立させることというのは難しいとは思いますけれども、シティプロモーションばかりに偏ってしまっても、なかなか難しいところもありますし、その辺の両立というのは大変かと思いますけれども、所管も決まっていないということですので、ここは全庁一丸となって、歳入に直結する事柄ですので、1年後、ぜひスタートしてほしいと思いますので、そのことを要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。
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