地域コミュニティの現状と未来について
背景——なぜこの質問をしたのか
江東区は東京23区で現在最も人口が増えている自治体である。2023年4月のリクルートSUUMO住みたい街ランキング首都圏版でも豊洲が50位、清澄白河が61位と、本区から2か所が100位以内にランクイン。魅力のある住みたい自治体として広く認知されている。
人口増加はまちのにぎわい、地域経済の活性化、税収増による公共サービス向上の原資をもたらす歓迎すべき事象だが、同時に行政課題の増加も意味する。特に深刻なのは、新たに住民となった方々が町会に入らないという問題である。
私自身、白河二丁目町会の役員として毎月定例会に出席しているが、役員の高齢化は顕著で、ベテラン役員は年々病気等で引退していく。その代わりに若い人が役員会に入ってくることはなく、衰退の一途である。町会はまさに、このままいけば自然消滅する限界集落の様相を呈している。
町会はこれまで、住民同士の交流の場、地域の問題を議論し解決策を模索して行政に伝える代弁者、安全・防災活動、祭りなどの行事企画運営など、幅広い役割を果たしてきた。住民参加型の地域自治の一翼を担い、地域の発展や住民生活の質向上に寄与してきた組織である。
その町会が新規加入低迷と高齢化により消滅の危機にある。これは江東区が直面する最重要の構造的課題の一つであり、初登壇の本会議でこの問題を正面から取り上げる必要があると判断した。
質問の詳細
【町会のアップデート提案1:デジタルの活用】
若い世代は情報をオンラインで得る傾向があるため、町会の情報発信をインターネットやSNSなどのデジタルメディアを活用して行うことが重要である。町会のウェブサイトやSNSページを開設して、町会行事の告知や行事報告を行うなど、若い人たちがアクセスしやすい情報の伝え方をすることは有効な手段となる。
【町会のアップデート提案2:魅力的な活動の提供】
若い人たちは自身の興味や関心に合った活動に参加したがる。5月21日に行われた江東こどもまつりには13万人もの区民が来場した。これは若い人たちにとってこどもまつりが魅力的なイベントだったからである。町会でも、若い人が興味を持ちやすいトピックやテーマに基づいたイベントを開催することで、若い世代の参加を促すことができる。
【町会のアップデート提案3:町会の役割の変革とオープン化】
町会の役割や活動内容を見直し、若い人たちが参加しやすい環境を整えることが重要である。現状、ほぼ高齢者のみで構成される町会の役員会において、そこに若い人が入って意見し、アイデアを出すことは容易ではない。したがって、町会自身が組織のオープン化に取り組み、新しいアイデアや提案を取り入れる体制をつくることが必要である。
【核心——新たな地域コミュニティの形成】
以上のアップデート提案と並行して、本区は現在、町会に入っていない若い人たちや新規住民が主体の、町会と並列の新たな地域コミュニティの形成を検討すべき時期にある。
前区長は既存の町会を大変重視しており、町会と機能が重複するような地域コミュニティの形成には消極的であったと伺っている。しかし、現在の町会が必要なアップデートを行い、勧誘活動を続けたとしても、新規住民を取り込んで若返りを果たし復活するというシナリオは現実的ではない。
であれば、これまで町会が担ってきた地域自治の一翼を担う新たなコミュニティの形成を検討することは、行政の責任ではないか。ますます町会の高齢化が進み、いよいよ立ち行かなくなったときには、それに代わる地域コミュニティがなければ地域自治の機能が失われてしまう。その前に、まだ時間があるうちに新たな地域コミュニティの形成を考えなければならない。本区においては、今がその時期である。
今後の展開
町会のアップデート策については、答弁で示された「変革に積極的に取り組む町会・自治会への支援策検討」の具体化を継続的に求めていく。特にデジタル化支援の具体的メニュー(ウェブサイト作成補助、SNS運用支援、役員向けデジタル研修等)については、所管委員会で繰り返し提案を重ねていく必要がある。
最も重要な成果である「新たな地域コミュニティ形成が不可欠」との答弁を踏まえ、今後は「他自治体の取組事例等の研究」の進捗を所管委員会で継続的にフォローアップする。具体的な制度設計(既存町会との補完関係、新規コミュニティへの行政支援のあり方、子育て世帯・若い独身者・マンション住民など新規住民層の参加動機に応じた設計など)について、現場感覚を踏まえた提言を続けていく。
白河二丁目町会役員としての現場経験、清澄白河・深川エリアに根差した地域ネットワーク、都民ファーストの会議員として都議会の関連施策との接続——これらを活かして、本区の地域コミュニティ政策を前区政期のフレームから抜本的に更新していくための議論を、この質問を起点に継続していく。
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※ 江東区議会会議録より引用。読みやすさのため改行・句読点を一部調整しています。
◯6番(中島雄太郎議員) 次に、大綱2、地域コミュニティの現状と未来像について伺います。
江東区は、東京23区で現在最も人口が増えている自治体です。本年4月14日に公表されたリクルートのSUUMO住みたい街ランキング2023首都圏版においては、豊洲が50位、清澄白河が61位と、100位以内に本区から2か所がランクインを果たしました。現在、本区は魅力のある住みたい自治体として広く認知されております。
人口の増加は、まちのにぎわい、地域経済の活性化に直結するものであり、新しい区民が増えることは多様性の増加をもたらします。また、区の行政においては、税収の増加をもたらし、公共サービスを向上させる原資となります。
このように、人口が増えることは、本区に多大なメリットをもたらす歓迎すべき事象ですが、一方で、新規の住民が増えることは、行政課題が増加することも意味します。
特に本区において現在課題となっているのは、新たに住民となった方々が町会に入らないという問題です。私も、白河二丁目町会の役員として毎月定例会に出席しておりますが、役員の高齢化は顕著であり、ベテラン役員は年々病気等で引退していきます。しかし、その代わりに新たな若い人が役員会に入ってくることはなく、衰退の一途です。町会は、まさにこのままいけば自然消滅する限界集落の様相を呈しています。
これまで町会は、地域の生活環境やコミュニティの発展のために様々な役割を果たしてきました。住民同士の交流の場としての役割、地域の問題を議論し、解決策を模索して、その声を行政に伝える地域の代弁者としての役割、安全・防災活動、祭りなどの行事の企画運営など、幅広い役割を持っています。町会は住民参加型の地域自治の一翼を担い、地域の発展や住民の生活の質の向上に寄与してきました。その町会が、新規加入の低迷と高齢化により、このまま行けば消滅の危機にあるというのが、現在、本区が直面している課題です。地域コミュニティの主力である町会の現状について、区の認識を伺います。
本区の新しい住民は、主に子育て世帯やワンルームで暮らす若い独身者です。こういった若い世代を町会に勧誘するには、町会自体が若い世代に寄り添ったアップデートをしていくことが必要ではないかと考えます。
具体的に3点挙げます。
1点目は、デジタルの活用です。
若い世代は情報をオンラインで得る傾向があるので、町会の情報発信をインターネットやSNSなどのデジタルメディアを活用して行うことが重要です。町会のウェブサイトやSNSページを開設して、町会行事の告知や行事報告を行うなど、若い人たちがアクセスしやすい情報の伝え方をすることは有効な手段であると考えます。
2点目は、魅力的な活動の提供です。
若い人たちは、自身の興味や関心に合った活動に参加したがります。先日5月21日に行われた江東こどもまつりには、13万人もの区民が来場いたしました。これは、若い人たちにとってこどもまつりが魅力的なイベントだったからです。町会では、若い人が興味を持ちやすいトピックやテーマに基づいたイベントを開催することで、若い世代の参加を促すことができると考えます。
3点目は、町会の役割の変革とオープン化です。
町会の役割や活動内容を見直し、若い人たちが参加しやすい環境を整えることが重要です。現状、ほぼ高齢者のみで構成される町会の役員会において、そこに若い人が入って意見し、アイデアを出すことは容易ではありません。したがって、町会自身が組織のオープン化に取り組み、新しいアイデアや提案を取り入れる体制をつくることが必要ではないかと考えます。
以上3点、若い世代に寄り添った町会のアップデートについて御提案させていただきましたが、区の見解を伺います。
これまで述べたとおり、新しい住民、若い世代に町会に入ってもらうことは大変重要です。引き続き、加入率向上のための活動を続けていただきたいと思います。
それと同時に、本区は、現在、町会に入っていない若い人たちや新規住民が主体の、町会と並列の新たな地域コミュニティの形成を検討すべき時期ではないかと考えます。
前区長は既存の町会を大変重視しており、町会と機能が重複するような地域コミュニティの形成には消極的であったと伺っております。しかし、現在の町会が必要なアップデートを行い、勧誘活動を続けたとしても、新規の住民を取り込んで若返りを果たし、復活するというシナリオは現実的ではありません。であれば、これまで町会が担ってきた地域自治の一翼を担う新たなコミュニティの形成を検討することは行政の責任ではないでしょうか。ますます町会の高齢化が進み、いよいよ立ち行かなくなったときには、それに代わる地域コミュニティがなければ地域自治の機能が失われてしまいます。その前に、まだ時間があるうちに新たな地域コミュニティの形成を考えなければなりません。そして、本区においては、今がその時期であると考えます。町会の現状、その未来、そして新しい地域コミュニティの形成について、区の考えを伺います。
以上で私の質問を終了いたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
51:
◯地域振興部長(堀田誠) 次に、地域コミュニティの現状と未来についての御質問にお答えいたします。
まず、区の認識についてです。
令和4年度の町会・自治会への加入率は56.6%で、平成28年度以降、連続して低下しております。また、昨年度、全ての町会・自治会長に対して実施した町会・自治会活動に関するアンケートの結果、役員の高齢化や担い手の不足、行事への参加者の減少などが課題として挙げられており、御指摘のように、今後、町会・自治会が安定的な運営を継続していくことが非常に難しくなっていると認識しております。
次に、町会加入促進の取組についてです。
町会のアップデート策についての御提案は、具体的な内容で、いずれも現在、町会・自治会が抱えている課題に対する有効な解決策になり得るものと認識しております。
一方で、デジタル化の推進につきましては、高齢化が進んだ現在の町会・自治会においては、デジタル機器の操作に不慣れな方々への丁寧なフォローアップが必要になってくると考えております。
また、若い世代が関心を持つプログラムの開催につきましても、新たな活動に対する担い手不足の現状を克服していく必要があります。
さらに、若い世代が、町会・自治会に参加しやすい環境に変えていくことにつきましても、若い世代の方々が町会・自治会の運営に携わる際の時間的な制約など、対応が難しいことも想定されます。
このように、御提案の内容を実施していくには、解決すべき点もあると考えられますが、町会・自治会が、現在の厳しい運営状況に対する認識を踏まえて、変革への第一歩を踏み出すことは重要なことであると考えております。
区といたしましても、今後、変革に積極的に取り組む町会・自治会に対して、一例として、町会・自治会活動のデジタル化に向けた支援等も視野に入れながら、適切な支援策について検討してまいります。
次に、新たな地域コミュニティの形成についてです。
町会・自治会は本区における地域活動の主要な担い手であり、この立場は今後も変わらないと認識しております。しかしながら、近年の加入率低下や、安定して活動に取り組むことが困難になってきているという現状は、地域コミュニティの希薄化を進行させることにもつながり、防犯や防災、環境美化などの地域活動の停滞につながります。
こうした状況に対して、地域の様々な活動をいかに活発化させるかという視点に立って、区として対応を考えていく必要があると考えております。そのためには、町会や自治会を中心としつつも、NPOや市民団体、企業や大学など、地域の様々な担い手を結びつけ、地域が一体となって地域の課題解決に取り組むことができるような、新たな地域コミュニティの形成について考えていくことが不可欠であると認識しております。
今後、自ら活発に活動し、地域課題を解決していくことができるコミュニティをつくり出すために、他自治体の取組事例等の研究を進めるとともに、地域の方々の声を丁寧に聞きながら、地域とともにその在り方について考えてまいります。
江東区の暮らしに関するご意見・ご相談はお気軽にご連絡ください。
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